「プロジェクトY」 星のふるさと・冬まつり
~厳冬の麻生池 風前水面の浮上作戦~ 完結編
多大な時間を費やし、遂に完成した「水燈籠」。
だが、その水燈籠を繋ぐ「糸」の問題が祝原と荒川に立ちはだかった。。
開催を判断する期限はもう目の前に迫ってきている。
水燈籠を一列並べる為に必要な長さは最長200m。
少なくとも数kmの長さの「伸びない」糸が必要となった二人を救ったのは、
財団事務局の次長・森松だった。。。
「丈夫で伸びない糸だったら、コンバインで使う紐がいいのではないか?」
森松からの情報は、農業用の結束紐の事だった。
一束の長さが長大で、かつ機械での使用にも耐える耐久性があり、
しかも安価であった。
さらに森松は、その紐の企業協賛までとりつけたのだ。
さっそくその紐を用意した祝原と荒川の二人は、手を刺すような冷たさの湖面に
結束紐を張り、水燈籠を浮かべた。。
10分、20分、30分.........
時間だけは刻々と進んでいく中、湖面に浮かんだ水燈籠は揺らぐどころか、
真っ直ぐに、そしてしっかりと燈籠の光を灯し続けているのであった。。
完成だ。。。
祝原と荒川だけが見つめる湖面に浮かぶ水燈籠。
ゆらぎのある灯りを見つめていると、不思議と寒さを感じることは無かった。
その後、細かな修正を加えた水燈籠は無事に「第5回 星のふるさと 冬まつり」の
メインイベントとして麻生池の湖面に800個の明かりを灯した。
祝原の頬を伝う涙を照らしながら。。。