サッチの取材日記
八女伝統工芸館には、番組が始まってから幾度となく足を運んでいます。
入り口を入って、まっすぐ進むと、それはそれは見事な仏壇があります。
大きさは日本一!
以前もブログでご紹介していますが、
今回取材に訪れた日には、この仏壇のすす払いが行われていました。
一年の埃を払い、ご先祖に感謝をする年収めの行事。
若手の職人さんたちが叩きなどを持って、丁寧にすす払いをしてらっしゃいました。
仏壇のお掃除をしながら、金箔がはがれている所などをチェックして、
補修をしていくんだそうです。
この仏壇がいつまでも美しいのは、こういう作業をされてるからなんですねぇ。
さて、今回インタビューをしたのは仏壇の宮殿(くうでん)部分を作ってらっしゃる職人さん、
大坪さんです。
仏壇は、一人で全工程を行うのではなく、木地造り、宮殿造り、彫刻、金具造り、蒔絵、
そして組み立て部門と、大きく分けて6つの分業で出来上がるんだそうです。
宮殿造りを15歳のときにお父様に弟子入りして、40年以上。
難しいところはないですか?という質問に、
「今はないねぇ」
とさらりと答えてくださいました。
写真を見ていただくとわかると思いますが、とにかく緻密。
たくさんの木が組み合わさって、お寺の屋根の部分=宮殿が出来上がります。
実はこれ、ブロックみたいにパーツを組み合わせて重ねてあるんです。
「やってみるね」と言われ、いくつかパーツをはずした後、元の形になるように
組み合わせていこうとしたんですが、まずどれがどこにあったのか全くわからず、
途方にくれる有様(泣)。
結局、これはそこ、あ、それは逆、そしてこれは裏・・・など、
大坪さんにナビゲートしていただきながら、スタッフと二人がかりで完成。
ふーーー。これは大変な作業ですよ、大坪さん。
組み合わせるだけでこんなに工程が多いのに、そのパーツを一つの四角い木地から
切って削って彫って作っていくんですもんね。
正に「尊敬」の一言に尽きます。
「座って作業をすることが若いときは辛かったし、
何度家出しようと思ったか知れない」と話していらっしゃいましたが、
その苦労を乗り越えて、職人技を披露してくれている大坪さんに、
八女伝統工芸館で会うことが出来ます。ぜひ訪ねて行ってみてください。
そして魔法の手から、宮殿が作られる様子をじっくりご覧ください。
仏壇を見る目が変わります。
無くしたくない、伝統の技です。