サッチの取材日記
星野村の本星野という地区に、源太窯はあります。
秋色に染まった景色の中にひっそりと「源太窯」という看板が見えてきました。
看板からも、その人柄が伝わってくる感じ。
さぁ、いよいよ山本源太さんとご対面です!
お会いする前に、源太さんの著書「土泥棒」と「蛇苺」を読んでおきたいと思い、
星野支所の方に探していただいて、この日に備えていたサッチ。
著書からにじみ出てくる激しい部分と優しい部分。
源太さんの繊細さが伝わってきて、柄にもなく少し緊張しておりました。
しかし、いざお会いしてみると、なんとも穏やかで、暖かい方。
源太さんは、焼き物に魅せられ、星野に魅せられ、43年目だそうです。
そんな源太さんが作る作品は、暖かくて、柔らかくて、
土が、自分が焼き物に生まれ変わったことを喜んでいるみたい。
奥様に出していただいたお茶とナツメと栗(とってもおいしかったです♪)が
のっていたのも、もちろん源太さんの器。食べ終わった後も、
器を見て楽しめるって、なんて贅沢なんだろうって思いました。
そして、焚き火を前にお庭でインタビュー。
素敵な木製のベンチがあって、そこに並んで、パチパチ木の爆ぜる音を聞きながら、
穏やかな雰囲気でお話を聞くことができました。
それにしても、久しぶりに焚き火に当たったなぁ。懐かしい。
本星野の時が止まったかのような町並みと、
源太さんと奥様の優しいお人柄に触れ、
なんとも言えない、豊かな気分になれたサッチたち3人。
こんな生活もいいなぁ。
源太さんに許可をいただき、詩集の一番初めに出てくる詩を掲載します。
この詩を読んだ、福岡の詩人「丸山豊」さんが、源太さんを星野に呼んだんだそうです。
「火夫」
扉は閉ざされた
ぬりこめた泥を最後に
釜内(かま)の器はもはや
誰のものでもない
小さく願うのではなく
まして突き放したわけではない
火を入れてうずくまり
火が火の力で熟れるのを待つ
風はやみ想念は消え
ただ薪のはぜる音を聞く
火は火を呼んで燃え盛り
みよ煙は紫にたちのぼる
そのときだ土が柔らむのは
器は火を食らい
型を崩さず火に溶ける
衣を太古へ脱ごうとして
土が耐えているとき
もう内(なか)をのぞかない
手にとれそうで犯しがたい
みづからにひきこもる器との
なんと透明な間隔