ナニ?トカラ行った?
大塚さん...
いーねーぇ、またそんなとこ行って。
最近「俺アメリカ行っていないから」とか言ってたのに(チッ)
というフテった入りで、今日は中国戦国春秋の刑罰について書きます。
物語で、ある刑罰が出てくるんですけどね、これも今の時代では考えられないものだったりします。
物語の刑罰が具体的にどんなのかは言いません。
知らない方はドラマを聴いてください。
昔の刑罰には人権なんてものは微塵もありませんでした。
それも、見せしめ的罰が多いため、かなり残酷。
と、いうことで、戦国春秋の五刑を紹介します。
墨(ぼく)
劓(ぎ)
宮(きゅう)
刖(げつ)
殺(さつ)
の五つ。
では、軽いものから説明します。
まず―――
墨(ぼく)
顔に入れ墨をするんです。
黥(げい)とも言います。
項羽(こうう)に仕えて秦を打倒し、のちに劉邦(りゅうほう)の元で活躍した黥布(げいふ)は、本名は英布なんですけど、刑罰を受けて顔に墨を入れられたので通称が黥布になりました。
でも、これは結構最近まであった刑罰です。
中国だけではなく、日本にも長くありましたので。
黥布の時代より、ずっと進んだ宋の時代なんて、一兵卒から軍に入ると、逃亡を防ぐために顔に入れ墨をする習慣がありました。
罰でなくとも顔に墨を入れられちゃう時もあったんですね。
あと、日本で言うと、
時代劇を観ていると、腕に入れ墨の2本ラインがあると「おめえ、島帰りだな」と、島送りになった前科者であることが発覚するシーンがありますよね。アレも罰ちゃ罰です。
藩によっては、「犬」という字を額に入れたところもあったようですね。
で、その次が―――
劓(ぎ)
鼻削ぎの刑です。
鼻の穴が正面から丸見えになるんですが、これは顔に墨を入れる罰を超えるとコレになります。
一般民はまず顔に墨を入れられたあと、また罪を犯してコレになることが多いので、顔に入れ墨で鼻の穴丸見えという悲惨な人相になります。
その次―――
宮(きゅう)
いわゆる去勢ですね。
男性の中心にぶら下がっているものを切っちゃうやつです。
昔の中国には宦官(かんがん)という方々がいて、この方たちは皆さん去勢された方たちでして、アレがなければオカシなことにならないだろうということで、後宮(王や皇帝の奥様方がいらっしゃる場所)に出入りできたりするんです。
だいたい捕虜とか献上奴隷なんかが宦官にされるんですけど。
ま、野心でいっぱいの輩は、自ら宦官となり、そこで幼い太子とお近づきになって操り人形に仕立てたり、王が可愛がっている妃に近づき、あることないこと言いつけたりして、気に入らない者を粛清したり...結構暗黒面が目立つ方々です―――
...辱めを受けさせる罰としての宮は、そういうのとは違います。
宮刑を受けた有名な人といえば、『史記』を編纂した司馬遷(しばせん)です。
司馬遼太郎氏のペンネームの元になった方ですね。
彼は太史令だった時に、戦争で破れ、敵方に投降した友人を弁護したために、王の怒りを買い、死刑を言い渡されたのですが、『史記』を綴ることが出来なくなってしまうため、生きながらえるために恥を忍んで宮刑を受けるように頼んだのでした。
彼が宮刑を選んでなかったら、多くの英雄たちは、無名のまま終わっていたでしょう。
というより、多くの故事も残らず「先んずれば人を制す」「四面楚歌」「臥薪嘗胆」「背水の陣」「鳴かず飛ばず」という言葉も生まれてなかったですね。
僕個人としては「酒池肉林」という言葉が好きですけど。
丁度、『月のしらべと陽のひびき』を書くころ、大塚さんが史記を読んでいて、僕がここにある五刑に触れたら、この宮刑の惨めさあたりが司馬遷絡みで響いたらしく、この刑罰を物語のどこかに反映させるかどうかで、ブッチさんも含めて議論になりました。
で、次―――
刖(げつ)
足斬りの刑です。
足斬りとは言っても実際は膝蓋骨(しつがいこつ)、いわゆる膝の皿をえぐり取って歩けなくする刑罰で、臏(ひん)という字が膝蓋骨を意味することから、臏が刖と同じ意味で使われるようになりました。
『孫子の兵法』で有名な孫子って、春秋時代にいた孫武(そんぶ)と、その100年後の戦国時代にいた孫臏(そんぴん)の2人がいたりします。
司馬遷は、孫臏は孫武の孫だって言ってますけどね...よく分かりません。
孫臏は、友人にその才を妬まれて罠に落ち、足斬りの刑に処せられ、顔に入れ墨を入れられて二度と表舞台に出られないようにされました。
孫臏の【臏】は、実は、足斬りの刑に処せられた意味で呼ばれた名前です。黥布と似てますね。
孫臏はのちに、そのすぐれた兵法で、自分を陥れた者を見事に屠るんですけどね。
で、最後が―――
殺(さつ)
これは、もう死刑ですね。
これはこれでいろんな残虐なものがあるんですが、いろいろありすぎるので、この五刑では書かないことにします。
月のしらべと陽のひびきを書くにあたっては、いろいろな情報を固めていったワケですよ。
大塚さんが海外に遊びに行ってる間にも、グチを言いながらねーっ。
ま、書いて演出してしまえば、あとは収録したものを編集する地獄にハマったのは大塚さんでしたけどね。
大塚さんは編集中に『月のしらべと陽のひびき』100以上聴いたらしいですよ。
その話を大塚さんから10回くらい聞きました(笑)
こうやって刑罰のことを書いておけば、大塚さん、今度は刑罰を見に、またどっか行ってくれると思います。
期待してます。
作演出 阿久根知昭
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