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【その9】 ラジオドラマとは違う舞台の効果

オッス、おら相国。

というワケで相国(しょうこく)を演じた作演出の阿久根です。

大塚さんの記事で冷や汗モンの事件が綴られておりましたが、あの

『収録した音の中に、ミキシングの機械のノイズが入ってた』

という報告を聞いたとき、
取り直しも不可能なんつーことを言われたので、
もー僕は覚悟しましたよ。

『紀元前の中国の市場にはミキシングの機械が置いてあった設定にしよう』

ってね。

置いてあった理由は、やっぱ

『古代中国のDJはワンマンでやってたから』

でしょうね。

で、第2案の打開策として風の音だったんですけど、まあ、そっち採用になりまして...

で、あの風の音。

最初聴いた時は「台風やないですか!」とケチつけましたけど、手前の風の音の向こうから、微かに箏の音が聴こえてくるんですよねえ。
まるで風に揺らいでいるように...か細く頼りなく...

結果、いい効果になりました。

古代中国にミキシングマシンが置いてある設定でなくて良かったですねっ。

と、いうワケで、舞台にもそれくらいの効果が...いや!それ以上の効果がほしいっっっっ!!!!

なーんて考えて、サラウンドの音を丁寧に作って、観客席をぐるっと含めた空間を、より立体的なドラマ空間に仕立て上げようと思っています。

市場の喧騒。
夏の夜の虫。
優しい雨音。
春の鳥の声。
王宮の空間。

お客さんは、座った席によってドラマの体感具合がいろいろ違ってくるという音構造。

あと、
冒頭の甘沢登場位置も細かく設定します。
甘沢は市場のどの辺りに位置していて、どっちの方向に歩いていたのか。
また、箏の音は、どちらの方向から聞こえてくるのか。

ラジオドラマって音だけのモノなんで、いくらでもイメージが広がって、結構立派な世界が出来上がっちゃいますよね。

舞台は見えていて、見渡せば限られた空間がアリアリと分かるので、ラジオドラマには出来ないことを、盛り沢山に用意しないといけません。

それに、舞台のお客さんは、ラジオドラマを聴いて、ストーリーを知った上で観に来る可能性が高いので、ただ「ラジオドラマを舞台上でやってみました」じゃ話にならないんです。

ラジオドラマとは別物。

というより、ラジオもいいけど、舞台もいい。
両方楽しめる、というのが理想です。

まずはラジオドラマ越え...いや、
ラジオドラマ超え。

今、僕は、そこで戦っております。

楽しませるものを、盛り沢山にするための努力をしています。

舞台用の細かな音作りには、機械のノイズは入りませんので安心してくださいな。


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