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【その6】 楽曲が出来てから物語書いてます

作演出の阿久根です。

さて、大塚さんが執念で企画を通してスタートしたラジオドラマ作り。

実は、このドラマで大切なのは、何より楽曲だったりします。

ぼんやりとした、あらすじを書いただけで、まだいろんな情報を集めていた頃に、大塚さんから箏奏者の河原さんを紹介していただきました。

最初逢った時の河原さんったら、

「私、協力はしますけど、いろいろ出来ませんから」

なんて言ってまして、無理難題をフッかける前にガッチリ予防線を張られました。

なので、僕と大塚さんは―――

「うんうん、いいですいいです、そんな無理しなくて。今ある楽曲をちょっとアレンジしてもいいですし、作るんであれば1小節くらいでも構いませんので」

「そうですかー、すみませーん」

「ううん、いいのいいの」

なんつってね...
まー...こー...アレですよ。
まずは安心させときました。

で、ですね、
居酒屋でビールを飲みつつ物語の内容を説明したんですけど...
まだ1行も書いてないから、かなりザックリと、どんな空気が欲しいかだけ言いまして。
んで―――
近々にテスト版みたいなものを作ってほしいってお願いしてたら、その2日後くらいに曲が上がってきたんです。

妹さんにマイク持たせての自宅録音だったらしいですけど、それを聴くとしっとりとして雰囲気がよかったので、
その曲を『月のしらべ』というタイトルにしました。

それを聴いて、「これはもう少し出来そうだ」と判断した僕は、その次に河原さんに会った時、ベッタベッタに褒めました。

もーねえ、
まさにイメージどおりだっただの...
あれを聴いたらストーリーが出来上がっただの...

言ってね...

でもホントのことですよ。
確かに、『月のしらべ』と命名した曲を聴いて、中国部分の物語は書いてますからね。

で、

「出来たら登場人物の男女に1曲ずつほしいかなー」

って言いまして...
そしたら河原さんが「どんなのですか」なんて訊いてきたから、

「陽のひびきって曲が欲しいんです。姜琰は月で静、甘沢は太陽で動なんです。だから、荒々しいハデなやつが」

と、言って、更に調子に乗って

「それら2曲が最後入り混じるようにしてほしいんです。というより、それで『月のしらべと陽のひびき』という曲が完成するみたいなのを作って欲しい、いえ、作って下さい、お願いします」

てな風にね...

まー
そしたら河原さんキレ気味に言いましたよ。

「最初と話が違う」

ってねーっ、はっはっはっはっはー!
ま、言いますわね、フツー。
で、

「1小節でもいいって言ってたのにィー」

と言う河原さんに対して「だって河原さんが上げてきた曲が良かったからねー」なんてこと言ってノセようと試みたり...

で、出来たのが『陽のひびき』です。

河原さん070303_1506~02.JPG

上は収録した時の河原伴子さんです。
物語が中国なので衣装がチャイナしてます。
弾いているのは日本箏。

で、下が河原さんから紹介していただいた古箏(こそう)奏者の江舟(こうしゅう)さんです。
日本箏は演奏する前に弦を張り、終わったらとっちゃうんですけど、古箏は弦を張ったままケースに仕舞ってました。
古箏は、音も大きく響くように設計されてます。
ワビサビといいますか...静かに深く耽美を探る響きの日本箏に対して、古箏の音はゴージャスで優雅な音です。
同じ箏でありながいろいろと違うんですねえ。
月のしらべと陽のひびきは、この箏2つが入り混じる物語なんです。

江舟さん070303_1506~01.JPG

舞台は河原伴子さんが妹の抄子さんと演奏します。

まあ、お二方とも海外に演奏に行ったり、姉の伴子さんはアメリカ在住だったりして、本番までなにかと大変ですけども、舞台では姉妹の息のあった演奏を聴かせてくれると思います。

本人たちこれ読んでるかなあ...

とにかく、もーねえ、すっごい演奏してくれますよ。

もーそれはそれは最高のねッ!

よし、これでプレッシャーかかったろ。
ではまた。

作演出 阿久根知昭

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