fmfukuoka

2009年8月アーカイブ

善導寺の庭木.JPG

また、おおつかで、すみません。

どうも、このところ阿久根先生、別の仕事でお忙しいようで、
ちっともこのブログを更新してくれません。

だもんで、無理やり「SEの話その3」を書いてみます。
もう飽きた、といわないでください。

今日はSEはリズムをはずさないとSEにならない、というテーマです。

というのも、
「月のしらべと陽のひびき」の中盤、姜琰(きょうえん)が市場で踊り、
そのあと請われて宮殿に行き、そこでまた踊る、というシーンがあります。
どちらも甘沢(かんたく)の箏(こと)の演奏に乗って・・・。

つまり、踊りのシーンが2種あるわけです。

「踊りの音」ってなんだろう?と悩みました。

ラテンのフラメンコなどだったら、靴の音と手拍子で、
イメージはつきます。

しかし、月と陽の時代設定は、紀元前の中国。およそ2,200年前。
なーんのデータも資料も、ありゃしません。

考えようによっては、何でもアリ、ともいえるのです。

市場の音楽は箏の演奏に合わせて、にぎやかに打楽器をくっつけまして、
明るいイメージ。
しかし、それだけでは、踊るというイメージが出てこない・・・。

そこで思いついたのが、姜琰が髪飾りをしていて、
それが「チャラリン」と鳴る、という設定。

最初、音楽のリズムに合わせて「髪飾り」の音を入れていってみました。
ところが、これが、ただのリズム楽器の音にしか聞こえないのです。
そりゃあそうです。
リズムに乗っければ、リズム楽器になるのは、
分かっていそうなものなのに・・・。

おおつか、作ってみるまで、気づきませんでした。
アホです。

困りました。

それで今度はわざとリズムをずらせていってみましたするとどうでしょう。
ちゃんと踊っている姜琰が見え始めてきたではありませんか。

踊る姜琰のリズムとは、
リズムを少しずらせて、髪飾りの音が鳴る。

うまくいったようです。

もちろん2番目の宮殿での踊りのシーンでは、ゆったりとした音楽に、
ゆったりとした髪飾りのリズムで、優雅な舞を表現してみました。

姜琰が踊っているように、聞こえます、よねぇ?

ラジオとは、想像させるメディアです。
そして、
ラジオドラマとは、イマジネーションの世界です。

わたくしは、SEのことを調子に乗って説明しすぎたのかもしれません。
イマジネーションは、みなさんのモノなのですから、
制作者が押し付けるものではないはずなのです。

分かっているのですが・・・。

このブログに対する、ご意見、ご要望などありましたら
「コメント」に書き込んでいただければ、うれしいです。

阿久根先生が答えてくれると思いますので、
よろしくどうぞ。


プロデューサー:大塚和彦

善導寺の廊下.JPG

善導寺の屋根.JPG


おおつかです。

みなさん、目を閉じてみてください。
なにが、聞こえますか?

セミの音、近所のTVの音、公園で遊ぶ子供たちの声、
遠くを走る列車やクルマの音・・・。
近くに田畑があれば、ひょっとしたらカエルや虫の声など、
聞こえるかもしれません。

ラジオとは、そういうものです。
音だけの世界。
それがラジオです。

さらにラジオドラマのSEとは、そういった事柄を「想像」させるための、
手法なのです。
SE=サウンド・エフェクトの略。

エフェクトとは「効果」のことですから、
SEとは音響効果ということになります。

今日は、そんなSEのさらに効果的な使用方法をお話してみます。


ラジオドラマの多くは、主人公や登場人物が移動します。
たとえば、
「月のしらべと陽のひびき」の冒頭部分で、
甘沢(カンタク)が市場を歩いていると、遠くから箏(こと)の音が聞こえてくる。

引き寄せられるように「歩いていく甘沢」。
そうすると次第に「箏を弾いている姜琰(きょうえん)のそばに近づく」

この上の2行をSEで表現すると、

1> 甘沢の足音
2> 左奥から中央へ。
3> 右奥から、かすかに聞こえる箏の音
4> 少しづつ音が大きくなりながら、中央に寄っていく。

という工夫をすることにより、
甘沢と姜琰の出会いのシーンが生まれています。

2人の会話中は、左に甘沢、右下に姜琰。
はにかみながら話をしていると、右奥からバアさん登場。

バアさんも右奥から次第に中央に歩み寄るのですが、ここでも、
足音と声のレベルを、少しづつ上げていっています。

そんな風にSEと音のレベルを調整することにより、
少しでもイメージの世界を広げていただこう、
とわたしたちは、努力しているのです。

そろそろ窓の下のセミの音が、小さくなってきました。
セミって、何故、夜になると鳴き止むのでしょうか?


善導寺の床.JPG

はすの花20%.JPG

海南島の滞在先で見つけた蓮の花


おおつかです。

先日の音楽の打合せのあと、
阿久根先生から『「月のしらべと陽のひびき」で使ったSE(効果音)は持っているんでしょうね。』といわれ、
『いやあ、ないと思う』というと、すごくしかられてしまいました。

だって、あれ編集したのはもう3年も前の話ですよ。
元素材を持っているわけない。

でも律儀なおおつか、探しました。
見つかりました!

阿久根先生、なんとかなりそうです。

このラジオドラマのSEについてのお話。

「月のしらべと陽のひびき」は最初からポッドキャストで無料配信したい、
と考えていたので、音楽はもとより、SEもすべてオリジナル音源です。

(今年、ギャラクシー賞の大賞をいただいた「ラジオドラマ・聞こえない声?有罪と無罪?」も、
同じくオリジナル音源だけで構成しています)

たとえば、甘沢(かんたく)が兵士に引きずられていくシーンは、
スタジオで、
1>服がこすれる音
2>ドタバタとする音(これは重いバッグをドタバタと引きずりました)
3>足音

この3つを作り、合成したものです。

また、姜琰(きょうえん)が、琴の演奏を聴きつけ、もしや甘沢の演奏では、
と思い、宮殿を走るシーンは、実際に姜琰役の渡辺の足音です。
スタジオで走るように足踏みしてもらいました。
それに服がこすれる音を合成したものです。

SEというのは、本当にそのままのものを使うとニセモノに聴こえてしまう、
という性質を持っています。
案外、イメージで作りこんだほうが、本物っぽく聴こえるものが多いのです。

でも、月と陽で印象的な市場の音は、本物の市場で収録しました。
それも中国で。

というと、なんだか予算がたっぷりあるドラマのようですが、
これは、個人的に中国の海南島に旅行したとき、録音したものです。
日本の市場は「へい、いらっしゃい、いらっしゃい」だとか、
「安いよ、安いよ!」などという大声がこだましているので、
中国の市場という設定では使えません。

だから、中国語が飛び交っている市場の音が必要だと感じていたのです。

中国はもともと大好きな国なので、あちらこちら旅行しています。
このときも偶然、海南島の旅行を計画していただけなのです。
「なにかあったときのため」とコンパクトMDレコーダーを持って行っていたのです。

「おおつか、エライなあ。」
とは、誰も言ってくれませんでしたけど・・・。

海南島の夕焼け.JPG

海南島、三亜の夕焼け


【その12】今は音作り

どうも、作演出の阿久根です。

大塚さん、夏はレジャーシーズンだから、今、凄く忙しいみたいで、全然記事アップしてくんないから、また僕が書くことにします。

僕も忙しくてなかなかここに顔出せなくて申し訳ないです。

ホカの仕事の合間に、こっちの舞台のことをやってるんですが、先日、作曲をしていただく岩崎大輔さんに曲の発注をしたところなので、少し余裕が出来ました。

明日は、博物館でやってるチンギス・ハーン展で渡辺がモンゴルの民族ダンス踊るらしいので、観に行ってきます。

大塚さんも岩崎さんも観に行く予定ですね。

...

で、

あと、今の段階で、ぼちぼちやっとくことと言えば、ステージの効果音作りのイメージ固めですかね。


音響IMG_0422.jpg
そんなに大きなセットではないですけど、こーゆーので音を組み立てます。

音響効果に関しては、甘沢の歩く市場はどういう規模の、どんな感じのものかを決め、その市場のどこら辺をどこに向かって歩いているのか、図面を作成せねばなりません。

そして、どっちから箏の音が聴こえてきて、どれくらいのペースで歩いてそこへ向かってゆくのかの演出プランを練らなければ。

そこでは、こんなのを使う予定です。
これを使って、甘沢が、前に後ろに、右に左に歩くのを演出するのです。

あと、場面も、枕草子のように、季節ごとにある趣のある時間をこれで作ります。

雨のシーンは、雨の降る音が会場を包み、2人だけに伝わりあう会話を演出。
音響IMG_0423.jpg
夏の夜は会場のあちこちにいろんな虫が鳴きますし、春は飛び交う鳥の声が会場に響きます。

大塚さんには、先日、鳥の声を使いたいから、持ってる音を貸してくれって言ったんですけど、

「だって大量にあるんだよー!CDMDだけの部屋があって大変なんだからー!」

と言われて、なんとなく断られました。

まあ、「面倒」って言ってるのだけは伝わりました。

それでも、音は出させますけどね。この企画のプロデューサーで、自分で音も持ってるんですから。

「必要だったら、香港に市場の音を録りにいってもいいよ」

と、ちょっとレジャーに絡みそうだったら、ニヤッとして、あっさり引き受けてくれるんですけどね。


とにかく、今は音の素材集めを、ぼちぼちとやってるとこです。


大塚さん、どっか遊びに行く前に、記事なんかアップしてくださいね。

作演出 阿久根知昭

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