作演出の阿久根です。
えー
今日は収録と編集の話です。
まず収録の話なんですけど、
『月のしらべと陽のひびき』は、ホンが上がったすぐでは、キャストは、ブッチさんと渡辺しか決まってませんでした。
とりあえず、局の一室を借りて本読みを始めたんですけど、ブッチさんが忙しくて時間とれず、渡辺だけの読みチェック。
なので、ブッチさんが読む主人公、甘沢のセリフ部分は僕が読んで稽古してました。
で、ブッチさんの時間が取れて、渡辺と読み合わせする時は、まだキャストされていないホカの役、女主人、編集者、相国(しょうこく)のセリフを、僕が入れるということをしていたんです。
ある日、僕が女主人の役を演じていると、ブッチさんから
「もう、阿久根さんでいいんじゃないのー、合ってるし」
と言われ、ちょっと照れつつ―――
「いえいえ、そんなあ、へへへ」
なーんて言って謙遜してみたりして...
でも、そのあとすぐ、女主人役に岩城朋子さんが決まったので、それはやらずに済みまして。
で、また別の日に、まだ決まってなかった軽薄な編集者の役を演じていると、本部長から
「いいんじゃないの、阿久根君で」
と言われ、これもまた照れながら―――
「いえいえ、そんなあ、へへへ」
なーんて言って謙遜...
でも、これもすぐあとに縄田さんがキャストされたからやらずに済みまして。
で
...
...
気が付いたら僕
めちゃめちゃ憎たらしい悪役の相国をやるハメになっていました。
はからずも役者デビュー。
この役をやってから、僕はめっきりおじいちゃんと思われるようになりました。
僕としては、この役は大塚さんしかいないと思ってたんスけどね。
――――
で、収録し終わると編集です。
ここから大塚さんが活躍するワケです。
ラジオドラマを聴いた方には分かると思いますが、実は、この『月のしらべと陽のひびき』は、劇中、【間】に重点が置かれています。
このラジオドラマは【間】が壮大なイメージを広げる時間なんです。
最初に編集して上がってきたものを聴いて、僕は大塚さんにもっと【間】を入れてくれるように頼みました。
【間】を入れてほしいところを指定しといたら、次に再編集されて上がってきたものは、もー絶妙な【間】が入ってました。
指定してなかったところまで、いい【間】を入れてくれてた(笑)。
大塚さん、何度もこの作品を聴いたと言ってましたけど、それは本当なんだと思いましたね。
もう作品の隅から隅まで熟知している編集になってた。
これが無かったら...
賞は獲れてなかったと思う。
これからポッドキャストで聴く方、聴いたけどもう一度聴こうと思っている方、いろんな【間】を楽しんで聴いてみてください。
作演出 阿久根知昭