3月9日のゲストは 押尾コータローさんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はこはまもとこです。

今回のゲストは押尾コータローさん。 #押尾コータロー

2002年ソロギタリストとしてメジャーデビューし、同年全米メジャーデビュー。
以降、オープンチューニングやタッピング奏法などを駆使した独創的なプレイは国内外を問わず熱狂的な支持を受け続けています。

そんなスーパーギタリストが選んだドライビングミュージックは、70年代後半の歌謡曲から選びたいとなんとゴダイゴの「モンキー・マジック」。

「我々の世代は70代後半の音楽って結構盛り上がるんですよねえ」
ギターを抱えた永遠のギター小僧は眼の前で満面の笑顔。

この日は若き押尾コータロー少年の思い出から始まりました。


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「ちょうど10代の頃。 一番ラジオとか聞いてカセットに録音してた頃ですから。とはいえこのゴダイゴは初めて買った LP ですね。

その『西遊記』。堺正章さん、西田敏行さん、岸部シローさん、それに夏目雅子さんが出てて超豪華なメンバーの『西遊記』なんですけども。なんかね、すごくコミカルな面白い番組なのにちょっと外国人ぽいサウンドが入っていてそれがこのゴダイゴなんですよ。最初外国の人なのかな?と思ってて、英語で歌ってるし。そこが魅力でしたね

で、エンディングの『ガンダーラ』は日本語で歌ってて、日本語で歌ってる感じがかっこいいんですよ。 『日本語でも歌ってあげるよ』みたいな感じがかっこいい~みたいな(笑)。英語のほうが得意なのに日本語で歌ってくれたみたいなプレミア感がありましたね。 勝手にそういうふうに思い込んでいましたけど(笑)」

楽しそうに話す押尾さん。
同じ世代の方なら共感できそうな。そしてそんな思い出と一緒にこの曲、ドライブが楽しくなりそうです。

「最近はリマスタリングって言って今の時代にあったマスタリングって作業があるんですが、あの頃は持ち上げきれなかった部分の音量を太くもちあげるっていう。またそれを今カーステで聞くっていうと、すごくいいんですよね」


そんな少年時代から幾年月。

様々な出会いを重ねて今や押しも押されぬ世界のアコースティックギタリストとなった押尾コータローさんは2月20日に、ソロ名義として2年3ヶ月ぶりとなるオリジナル・フルアルバム『Encounter』をリリースしました。

今回のテーマはズバリ「出会い」。『Encounter=様々な人、事、モノとの出会い』から生まれた14曲が収められています。

「2年3ヶ月ぶりって随分開いているなって感じがするんですけど、僕はこの前にですねDEPAPEPEっていうギターデュオと『DEPAPEKO』っていうふざけたユニット名でアルバムを出したんです。だから結構アルバム出してるんですけどね。」

DEPAPEKOではPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」もカバーされていました。

「そそそ、あれがキッカケなんですけどね。DEPAPEPEがバレンタインコンサートするからゲストに出て下さいって言われて、DEPAPEPEのゲストってあんまりゲスト感ないなって思いつつ、向こうも、そんなにゲスト感ないまま呼ばれて(笑)あのふたりとも長いんですよ。

で、『チョコレイトディスコ』をね、三浦(三浦拓也)がこうやって(イントロの部分を実際に弾く)、徳ちゃん(徳岡慶也)がDEPAPEPEの中でメロディをやってるんで、じゃあ俺が伴奏的な(ボディを叩く)こうやったらうまくいくんじゃないかなと思ってアレンジして持っていったらそれがうまく行ってですね」

そんなDEPAPEPEとの楽しい共同作業を重ねている最中から、すでに今回のアルバムの準備は始まっていたそうです。

「アルバムを作りながら『じゃあ押尾さん次のソロアルバムもお願いします』って。だからDEPAPEKOのレコーディングしながら次のアルバムも考えてたんです。そうやって思うと『2年3ヶ月ぶりいやあ待たせましたね』って、ずっと作っとったわアルバム!みたいな感じなんですけどね(笑)」

笑顔でそんな話をしながらも時折抱えたギターをポロンポロンと爪弾く押尾さん。
いつも片時も手放さないギター。そんなギターがつないできた出会いがこのアルバムには詰まっています。

平昌オリンピックの開閉会式式典の音楽監督を努めた梁邦彦さんとの出会いも「久音 -KUON- feat. 梁 邦彦 ~ジョンソンアリラン変奏曲~」として収められています。

「梁邦彦さんとの出会いがあって韓国の有名な『アリラン』という曲をもっと韓国でも盛り上げたいと。古き良きいい曲っていうのを若い人たちは聞かなくなったっていう、日本でもそうじゃないですか。やっぱいい曲は伝えていかないといけないっていわれて。

『アリラン知ってますよ!アーリラン♪って、日本でも有名ですよ』っていったら『ジョンソン・アリランをやってほしい』と言われて、ジョンソンってだれなんですか?ジョンソンが歌ってんのかなと思ったら、地方のアリランっていうのがあって、それをやってほしいと。

聞くとメロディがちょっと違うんですよ。(一節歌う)メロディがマイナーなんですよね。でま、それはいいとして。そんな有名な曲を日本人が勝手にアレンジしていいのかっていう緊張感があって、それを梁さんに聞くと、とにかく色んなアレンジをされてて梁さんのアルバムにはロックバージョンとかちょっとEDMバージョンがあったり。それに勇気づけられて、あ、押尾もなんかこうギター小僧が喜ぶようなアレンジしてテクニック満載のアリランで興味のない地元の韓国の若い子たちが、押尾の曲で『あ、アリランていい曲やな』ていうアレンジにしたんですよね。

まそんな出会いもあったりしてですね、その曲では梁邦彦さんにも実際ピアノで入ってもらって。なかなかかっこいいアリランが出来たなって思って」


同じくプレイヤーとしての出会いとして忘れられないという、クラシックギタリスト朴葵姫(パク・キュヒ)さんに提供した曲「Harmonia」のセルフカバーも収められています。

「朴さんがね、僕のことを随分前から知ってたらしくて、押尾コータローをネットで見つけてくれていたらしいんですね。押尾コータローいいなってクラシックの方がね。で、曲を作って欲しいって。僕、鉄弦ですよ。向こうはクラシックギターのナイロン弦でもうめちゃくちゃ可憐で素晴らしいテクニックの持ち主でしかも綺麗な方なんですよね。そんな方にお願いされて、じゃあ朴さんが弾いててうっとりするような曲を作ろうと思ってタイトルも『Harmonia』てタイトルに。もう朴さんのために朴葵姫のために作った曲で、まさかそれをウチのディレクターがセルフカバーしましょうよって。いやそれは俺が弾くって前提で作ってないんだけどって」

ジャンルもギターの種類も異なる方の楽曲を作るっていうのは、実際どういうことを思って作るのか興味がありますね。

「だから、自分は弾かないって思って作ったんですね。彼女が弾くから良いんだって思って作って。だからそこで苦しみましたけどね。でもまあ、時間が経つとそんなカバーもアリかなって思いながら。ただちょっとテクニックがすっごい難しいんですよ。ハーモニクスが(実際に弾いてみせる)コレちょっとわかりにくいと思うんですが。だから朴さんには『とてもかわいらしい曲なんですけど、演奏方法がかわいくないんです』て言われた曲です(笑)」

とても綺麗でしなやかな曲ですよね。 機会があればぜひ朴葵姫さんの『Harmonia』も聞いてほしいですね。


もうひとつ、こはまさんがすごく好きだという一曲をあげたのですが、その曲は少年押尾コータローの憧れのアーティストとの夢の共演、「ナユタ feat. William Ackerman」です。

「僕はウィリアム・アッカーマン(William Ackerman)というギタリストが大好きなんですけど、この方はちょうど30年くらい前にウィンダム・ヒル・レコード(Windham Hill Records)っていうレーベルを立ち上げた創始者の方なんです。ちょうど同世代の人って言うとウィンダム・ヒルって聞いたことのある方多いと思うんですよね。『ニューエイジ・ミュージック』っていうジャンルを作られた方なんですね。当時はなんじゃそらって思ったんですけど、その後に『癒やし』とか『ヒーリング』っていうジャンルができたんですよ。その頃はまだなかったと思います。

そんなウィンダム・ヒル買いをしていた時期がありましたね。なんか最初はジャズレーベルのコーナーにあったのが、ウィンダム・ヒルのコーナーがついにできて。ちょうどレコードがCDに移行する間の頃だったんで両方ありましたね」

押尾さんよく聞いてたんですね。

「いやあだから『今日はどのウィンダム・ヒル買おうかな』って買い方で 『ハンマード・ダルシマーってなんだろうこの楽器は』ってわからずに買って、でもハズレなしですね。どれもウィンダム・ヒルテイストのちょっと広がった空間で」

そしてウィリアム・アッカーマンさんと出会ったわけですね。

「創始者ですけどね。ギターも素晴らしくてですね。
そんなアッカーマンさんが来日して奈良の春日大社の奉納演奏をするというので一緒にできるギタリストはいないかって時に、押尾コータローさんどうですか?って言われて。願ったり叶ったりで『ええっ!僕高校生の時から好きですよ』って。それがご縁でBillboard大坂とBillboard大阪でやらせていただいて、二人でね。

その時『ナユタ』をね。ちょっと東洋的なメロディですからね。(ここで弾く)東洋的な音階で『この曲はいい曲だね』ってアッカーマンさんが言ってくださって、じゃあこの曲ライブで一緒にやりませんか?って言って、おうじゃあやってみようかって言って。それでやらせてもらって、もうそれだけで十分なんですけど、これレコーディング出来たらいいなって思ってて、でも言えない!...言えないなあって思ってたらアッカーマンさんのほうが『コレ録音しようか』言ってくださって。急遽スタジオ押さえて録音させてもらったのが今回入っているんです。ホント嬉しくて。高校生の頃から聞いていたアッカーマンさんと一緒にできたってのはね。僕も癒やされましたね。高校生の頃の押尾コータローくんに戻ってましたね


まさに出会い。今回の『Encounter』にはそんな出会いが収められ、また押尾さんのテクニック満載の曲をたくさん収められています。こはまさんは「最初の『大航海』 CD がスタートして始まった時に『うわーきた~』って思うわけですね。いろんな音が押尾さんの音だーって思ってやっぱりこのアルバム聴いてまた嬉しかったです」と少し興奮気味。

そんな出会いの思い出がいっぱいの今回のアルバム。きっとまた多くのギター少年少女がこの音を目指していくんでしょうね。

実際、押尾さんは最近ではソニックアカデミーでネットでのギター講座なども行っているんですね。

「最近は女性の方も『ギターやりたい』って方も多いんですよ。
『初めて楽器屋さんに行きました』って人もね 。押尾コータローは難しい!オープンチューニングでわかんない、もう弾けない。そんな事ないよ!ってところから紐解いてやってるんですよ。結構親切に。例えば通勤の間でもできる練習方法とか、右手でドンドンタッって叩く練習をまずは通勤中に練習しましょう。それをやった上で家に帰ったらギターに持ち替えてできるように。そんなレッスンをしてるんですよね」


押尾コータローコンサートツアー2019"Encounter"

2019年03月23日(土)
ももちパレス

開場17:30 開演18:00

2019年04月05日(金)
広島CLUB QUATTRO

開場18:00 開演18:30


今回のツアーはギター1本で多彩な音世界を繰り広げられる押尾コータローさんの魅力を、こだわりの音空間で存分に味わえるステージになりそうです。

「ギター1本なんですよね。でも、すごくサウンドにこだわってて生音もそうなんですけどスピーカーをね、いかに綺麗に音を出すかっていうスタッフがいてね。スタッフの愛を感じますね。スピーカーのチューニングをするシステムエンジニアってのがいたりしてね。サウンドエンジニアがミキサー卓をいじっている人が気持ちよくできるようにフォローするエンジニアがいたりとか。
あとうちの楽器まわりだとシールドケーブルを変えるとやっぱり音が違うとかね。もっと行くと良い電源を供給するとゼンゼン音が変わる。僕はギターから音を出しているけども、いかにそれを劣化させずに再生させるかっていうあたりをももちとCLUB QUATTROでも展開できるかと思います」

そんなところも楽しみですね。

「多少音が良くなくても人は感動するのかもしれないけど、でもどうやって音を作り込んでいくのかっていうのが楽しい、ほんと楽しみですよね」

その顔の本当に楽しそうなこと。

永遠のギター少年は、早くもステージの上に思いを馳せているのでした。

来週もそんな押尾さんの音世界をじっくり聞かせていただきますよ。お楽しみに。

  

 

押尾コータロー オフィシャルサイト (外部リンク)

次週、3月16日は 引き続き、押尾コータローさんをお迎えします。どうぞお楽しみに。