6月8日のゲストは MIYAVIさんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はこはまもとこです。

今回のゲストは世界をまたにかけて活躍するギタリストMIYAVIさん。 #MIYAVI

独特のオーラをまとったカリスマの...と思いきや、とってもソフトで人当たりが良くて茶目っ気もたっぷり。だけど、世界で活躍する経験の数々とそこで得た「グローバルであること」の意味など明快なロジックと強い思いは音楽ファンのみならず、非常に学びも多い今回の音解となりました。

まずはMIYAVIさんが選んでくれたドライビングミュージックAlice Mertonの『Lash Out』からスタート。

するといきなり「娘たちがね」とMIYAVIさんちょっと笑顔。
そんなわけでまずはほっこりスタートです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


「この曲は娘たちが向こうでで習い事、ダンスとか空手もやってるんですけど、バンドもやってて長女がこの曲をドラムを叩きながら歌うっていう」

娘さんはおいくつなんですか?

「9歳と8歳です。彼女たちがこの曲を歌うようになって知ったんですね。いつも一緒に移動してるとこの曲をかけて練習してるので。すげえビートがシンプルでFour on the floor、四つ打ちがドライブにバッチリなんじゃないかなと思って選びました」

みんなで車に乗って、娘さん達が練習しながら歌ってるっていうその姿を想像するだけで、あ、楽しいなって思いますね。

「まあそうですね。そうやって音楽を通じて世界中のファンのみんなもそうなんですけども、家族も含めて一つになれるから。運転してる時は移り変わる景色とともに、ビートが気持ちいいのがいいですよね。カリフォルニアは道もでかいんで」

今はロスアンゼルスに住んでらっしゃるからカリフォルニアとかやっぱり道の幅も違いますよねえ。

「そうですね。空の大きさが違うと言うか。 まぁ実際は空の大きさは世界どこでも一緒なんだけどビルに囲まれていない空なので」



そんなMIYAVIさん、最近は大忙し。
ミュージシャンとして以外の活動でもひっぱりだこですが、音楽の方でも去年12月に、国内外のアーティストが一同に参戦し、真剣勝負を繰り広げる対戦型コラボレーション・アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.3』をリリースして大きな話題になりましたが、7月3日には蜷川実花監督の映画『Diner ダイナー』の主題歌で、ラップシンガーのDAOKOさんとのコラボレーションナンバー『千客万来』をデジタル配信リリース、そして7月24日には『SAMURAI SESSIONS vol.3』からわずか半年でソロアルバムとしては3年ぶりの『NO SLEEP TILL TOKYO』がリリースです。

「ギタリストとしてギターで歌う。そのもとにたくさんのシンガーラッパーとコラボレーションしてきたんですけど。まぁ今回のソロアルバムでは改めて自分を応援してくれるファンのみんなに自分の声、言葉、含めてメッセージを伝えたいなと思って。今回は歌詞を含めて120%、MIYAVIのアルバムですね

世界から見た日本。世界で戦っているMIYAVIさんが日本のことを日本語でしっかりメッセージを伝えたいという意志を感じました。

「それね、今回すごく大きくて。やっぱり日本で生まれて日本人として育って、日本人として世界を回っていく中で、海外にいる時間も長いんですけど、改めてその外国人が日本に来て『日本最高』っていう感覚がすごいわかると言うか、すげえいい国なんすよねこの国

そしてここでは音楽から広がって、今求められる「グローバルであること」についての貴重なお話を聞くことができました。

「そこを今まではあえて出さないようにしてた部分とか色々あったんですけど、出していいな。だけど出すに当たっては世界のグローバルの温度感を感じながら、知りながら、日本の良い部分を出していきたい。今までもそういったアーティストはたくさんいたし、YMOもそうだし坂本龍一さんとか。音楽だけじゃなくて横尾忠則さんと山本寛斎さんとかいろんな方がやってきて。 やっぱり日本独特だけど感覚的なものはグローバルであるって、そこってすごい大事だなと改めて自分も感じ始めましたし、今回『TOKYO』って言葉?も含めて今の僕にとっては5年前、10年前とは違う意味合いを持つ言葉なんですね

やはり拠点をアメリカに移して、世界を舞台に活躍する中での色々な人との出会い、海外で活躍する日本人との出会いも含めて改めて日本の見え方も変わったところもあったわけですね。

「さっきも言いましたけど、本当にこんなに良い国ないし。 過ごしやすいし住みやすいし。葛藤はあるんですけど、ここから先どんどんどんどんグローバリゼーションという流れの中で本当の人、自分たちの娘たちにも言えることなんですけど、自分のオリジンというかルーツをちゃんと見ると言うかその良さを知る。その上で海外にプレゼンテーションしていく。すごく大事なんじゃないかなと思いますね」

そういうお話を聞くと、改めて自分たちは自分たちのことを知らないことが多いなって思います。

「そうですよね。ご飯も美味しくて空気も綺麗でホスピタリティもしっかりして、なかなか世界ではないですし。そういった所が海外の人たちからしたらすごい目につくところというか。すっごいなこの国はって。電車の時間がずれないとか僕たちは当たり前に思ってますけど当たり前じゃないしそれ。そういった部分をもっと強みとして自分たちで考えていけると、すごくいいなあと感じますね」

海外のかたとお話ししていて日本のことや歴史ついて聞かれた時に答えられなかったりして。勉強しなきゃいけないなあと思うことありますね。

「やっぱり教育もあるんすよね、日本語をおろそかにするとかいうことではないんですが、英語のグローバルな世界でちゃんとコミットしていくこととで、その中でどんどんどんどん自分たちのことが浮き彫りになっていくというか。やっぱりこれだけ独特の歴史を持つ国もなかなかないですし、それをもっともっと大事にしたいなっていうのは海外に行けば思いますよね。なかなか中にいると見えないことでもありますし、もっとも逆にアメリカにいるとアメリカのことも見えにくかったりすることもありますし、まあそれはどこにいても一緒なんですけども。でも日本人として、僕は 日本というものをまた新しい切り取り方で表現できるフェーズに来たのかなってかんじはしています」

海外で実際に活動する立場からの実体験としての感想は、非常に説得力がありますね。


そして現在はギタリストとしてはもちろん、表現者としてそのフィールドはどんどん広がっています。

アンジェリーナ・ジョリーが初監督を努めた2016年の作品『不屈の男 アンブロークン』では俳優として重要な役割に抜擢され大きな話題となりました。役者としてはもちろん、それ以上にアンジェリーナ・ジョリーさんの出会いはMIYAVIさんにとっては大きなもののようです。

どういう出会いだったんですか?

「いやネットで(笑)」

実際、アンジェリーナ・ジョリーさんがネットでMIYAVIさんを見つけて連絡をしてきたのだそう。その出会いに感謝しつつ俳優としての自分にはまだ少し戸惑いもあるようです。

「自分はまだ俳優とは思えてないと言うか、それが本当にずっとそれでは飯食ってきてる人たちに比べたら全然違うものなので。ただ表現者という意味では僕も命削ってやってきてるので僕にしかできない表現方法はそこにあると思っていて、それがハマる役であればどんどんどんどんやっていきたいなと思ってますし、アンジーとの出会いはとにかく大きな扉を開けてくれたし、今でもすごく沢山のことを体から学んでいますね。戦っているアーティストなので」

アンジェリーナ・ジョリーさんと出会ってその後、国連難民高等弁務官事務所の親善大使も務めていらっしゃって。色んな国にでかけることも多いかと思いますが、そういういろんな国に出かけて見えてくるものというか感じるものはどういうところですか?

「親善大使としてこんなタトゥーだらけのロックアーティストが水色のキャップをかぶって難民キャンプに行くなんてことは考えてもなかったし、 アンジーを通していろんなことを勉強させてもらったし、やっぱり目の当たりにした時にまた目をそらせないと言うか。そして見ちゃった以上はそこにね、そういう人たちがいるって言う。まあ実際ギター弾こうがが何しようが世界はすぐ変わりはしないんだけれど、今日はなんかしらやれることをやろうっていう、実際そういう時代に来てると思いますし」

「経済的な部分じゃあ自分たちが儲けて自分たちの利益だけでっていう時代ではもうないので、国連が掲げているSDGs(持続可能な開発目標)もそうだし、企業もそういう環境だったりサスティナビリティ(持続可能性)ていう維持できる地球の環境づくり、環境破壊もそうですし食料の提供もそうですし、あとは男女平等。色んな問題がある中でそれは適材適所でやれることからやっていけばいいと思いますし、そういう流れになっていることは素晴らしいことだと思います。

そうしていかないとたぶん未来を作れないと思うので、そういう意味ではここから先ね、皆が皆こういうことやれって言うわけではですけれども、今ロックアーティストだろうと、むしろこういうあり方は僕はロックだと思うので、肩肘張らずあまり固くなくフランクに、当たり前にどんどんどんの活動はしていきたいなと思ってます」

そういった社会にコミットしていく姿勢は結果として現在のMIYAVIさんの音楽活動に、確実にフィードバックされて豊かな作品へとつながっているようです。

「言い方がおかしいかもしれませんが芸の肥やしと言うか音楽にもそれは投影されています。スピーチを聞かない人も音楽は聞いてくれるわけだからそういう人たちに届けたい。インスピレーションはバシバシ受けるんで。

今回のアルバムでもそういった曲も入ってます。『Tears on Fire』という楽曲とか。やっぱり言葉だけじゃ表しきれない思いっていうのを僕達は音楽に乗せて表現してるんでやっぱり日頃の暮らしの中から得るものを作品として投影する。けっして僕はカラフルな人生ではないので、モノトーンと言うか。シンプルな生き方でありたいなあと思います。 ルーティンにしても食べ物にしてもできるだけ、ノマドじゃないですけど、どこにいても自分のスタンスでいられる。旅を良くするのでそうなってきているのかなあとも思いますけど、そういったものがすべて音に集約されている。俳優としての表現力にもつながってきますしね」

ギターを通して世界に飛び出し、音楽を通して世界の扉を開き、表現を通じて世界中の人とつながりグローバルな視点と、問題意識、そして改めて日本と自分自身の豊かな知見を得たMIYAVIさん。そんなMIYAVIさんの活動を通じて私たちは色々なことを知ることができます。そして何ができるのか考える。アーティストのの生き方が、私たちの様々なことを知り考えるきっかけになっていくんだなと改めて思います。


時間目いっぱい、そんな思いを惜しみなくお話してくれたMIYAVIさん。
静かにしかし熱量が高く語られるMIYAVIさんの言葉に圧倒されたこはまさん。だけど染み入るような言葉のひとつひとつは経験に裏打ちされた説得力に溢れていました。

今回はMIYAVIの音世界を形作る「表現者」としてのアーティスト自身についてたっぷりお話しいただきました。

「こうやって喋ることができる機会もすごく貴重ですし。自分達は言葉にならないから音で表現するんですけど、言葉で伝えることも大事だし。本当にどうやって音が作られるのかってもちろん人それぞれだと思うけど、結局一歩一歩の積み重ねが音に集約される、毎日の思考を、毎日の積み重ねが音になって現れる。本当に性格とか考え方が音に現れると思うので。そういう意味では人生削って音を作っていきたいなと思いますね」

まだまだお話してほしい。そんなわけで次週も登場していただきます。

「もう喋ることないっすよ」

そう苦笑したMIYAVIさん。
いえいえ。次回は音についてもたっぷりお話いただきますよ。


MIYAVI Official Site 【MYV382TOKYO.com】 (外部リンク)
MIYAVI - UNIVERSAL MUSIC JAPAN (外部リンク)

次回も引き続きMIYAVIさんをお迎えします。どうぞお楽しみに。