毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。
今週のゲストは先週に引き続き、SHISHAMOのギター、ボーカルの宮崎朝子さん、ベースの松岡彩さん、ドラムスの.吉川美冴貴さん。お相手はちんです。 #SHISHAMO
先週は、6月19日にリリースしたデビュー5周年を記念した初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』を中心に、今までを振り返っていただきました。
2週目に入ってみなさんも少しリラックス。
今週のセレクトしてくれたドライビングミュージック、SHISHAMOの『すれちがいのデート』でスタートしていきなりわちゃわちゃと楽しい感じです。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→ FM福岡 / FM山口
※スマホの方はこちら。
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)
この曲を選んだのはどういうつもり?
宮崎「そうですね。いろんなドライブあると思うんですけども、デートでねドライブとかすごい憧れるなって気持ちがありまして。とはいえこの曲はあまりよくない...」
松岡「そー。カップルのデートにはちょっと適してない!」
宮崎「お別れの曲になってしまうので最終的に。ただちょっとこのウキウキした部分があるので」
吉川「曲調がすごくいい!」
宮崎「そう、最後まで聞かなきゃいいんだよね(笑)」
松岡「そうだよ!途中で途中で!ワンコーラスくらいでループして」
吉川「ギターソロくらいまででギリ!」
宮崎「そこまでくらいなら大丈夫だよね」
吉川「そこまではまだ順調に付き合ってデートしているので」
松岡「最後まで聞かなければ大丈夫!」
吉川「そこでワッと切ってもらって(笑)」
なぜかここで異常にヒートアップするお三人(とちん)。
このアルバムは「SHISHAMO4」に収録の一曲ですが、「ポップ」という意味では「4」が一番親しみやすいアルバムになっているような気がします。
宮崎「たしかに『4』は作り方がちょっと違いましたね。毎回アルバムって何となくコンセプトがあったりするんですけど4に関してはガッツリコンセプトを決めていて、(最初から)『全曲シングル』みたいな気持ちのアルバムが作れたらいいなっていうつもりで作りましたね」
「4」はポップさを極めて「5」でまた新境地と、そんな変化も楽しめるのが初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』です。
1stシングル『君と夏フェス』から、最新シングル『OH!』までのシングル9曲に加え、
アルバムのみに収録されていた『僕に彼女ができたんだ』『恋する』や
紅白歌合戦でも歌唱した『明日も』など、人気曲を含めた13曲が収録されています。
結成以来、ここに至るまで楽曲の作り方など変化はありましたか?
宮崎「そうですね。やっぱり音が一番変わったような気がしますね」
例えば?
宮崎「やっぱり尖ってましたよね。気持ちの部分でも(笑)」
確かに。今回のベストでも最新の『OH!』に続いて初期の『恋する』に変わった瞬間に、ギターの音も含めて改めて最初はやっぱりとんがってるなあとは思いましたね。
宮崎「なんだろうあの感じは(メンバーの方に)ねえ?」
松岡、吉川「(ウケてます)」
宮崎「なんかやっぱりナメられちゃいけないみたいなのがあったのかもしれないですねえ。十代で」
随分おとなになりましたね発言も(笑)。
宮崎「すぐ丸くなりました(笑)」
すごく失礼ですけど宮崎さんて、番長っぽいっていうか。メンバー率いてがたがた言うな!って世間に向けて揺るぎないように。
宮崎「そんなイメージなんですか(笑)」
あ。いえ妄想半分。芯が強いというかブレないあたりに。でも「SHISHAMO3」あたりくらいから柔軟に音を取り入れたり、外部のプロデューサーを招いたりというようにすごく柔軟になってきた感もあります。そのあたりはすごく変化や意識したところはありますか?
宮崎「そぉーですねえ。まあ、人の話を聞くようにはなりましたね」
(爆笑)
宮崎「前までは自分が思う正解だけが正解っていう。まあもっとも十代の頃なんですけどね。そんなところから、でもそれって結局楽曲の良さを邪魔してるんじゃないかって。そんな気持ちに変わっていって、それから人の意見を聞いて。やっぱりそれでも参考にしないときもあるんですが、でもその中で『いいな』とおもうものはすべてにおいてアレルギー持たないでやっていきたいなって途中から思ってますね」
一貫して宮崎さんの言葉にはブレがなく、そして素直です。年齢ごとに思うことに素直に、成長することにためらいなく。そして、それもこれもより良い「楽曲」のため。結局そこに話しが戻ってくるのです。
そんなベストアルバムから1曲、選んでいただいてさらに深くお話を聞きました。
選んだ一曲は7枚目のシングル、アルバム「SHISHAMO 5」に収録された「ほら、笑ってる」です。
新垣結衣さんと瑛太さんのダブル主演で話題になった映画『ミックス。』の主題歌として「生きていて良いことばかりじゃない、上手くいかないこともある」という映画と共通するテーマを優しく歌った作品です。
宮崎「SHISHAMOってありがたいことに最近はタイアップだったり書き下ろしで曲を書かせていただく機会がすごく増えて、ほんとに嬉しいことなんですけど(こういう曲では)作り方は変わるなって言う部分はありますね」
なるほど。そういう異なるアプローチでまた新しい扉を開けるようなところがありますか?
宮崎「そうですね。(通常は)物語として曲を作ることが多くて、そんな中でいつも自分じゃない架空の主人公を作ってこの子ははこういう性格でこういう所に住んでてもそういうところから物語を膨らましていつも作ってるんですけど、この映画は書き下ろしなので、最初から物語があるので、最初に台本や映像を見せていただいてそこから作った曲だったので」
なるほど。こういった外部からオファーされた場合は「ザ・宮崎朝子」の世界とはまたちょっと違うんですね。
宮崎「そうですね。私が物語をつくるってよりも、映像を見た上でその映画の中では描かれてない物語を曲でかけたらいいなっていう作り方でした」
映画の一部として、物語をよりふくよかにする一翼を担う。主体が映画の方にあるという意味ではより作家的なアプローチなのかもしれませんね。
楽曲としても憂いのあるミディアムナンバーですが、美しいコーラスとあいまってまたちょっと違うSHISHAMOの一面を見たような気もします。
宮崎「ああ、でも新しいことやろうと思ってやった感じではないですね。それとその間奏の部分の広がりも作りたくて。コーラスもそうなんですけどもギターの音も結構こだわってて」
それはどんな部分?
宮崎「なんかあんまり普段やらない音でしたね。 基本的にはギターでがつんと弾きたいタイプなので、この曲でこのギターソロを取った時にちょっと大人になったなと思いました(笑)」
確かに情緒たっぷりのギターは大人のSHISHAMOなのかも。
プレイヤーとしてもおとなになったなと思ったのがこの「ほら、笑ってる」なんですね。
宮崎「そうですね」
この曲について吉川さん、松岡さんにもお話をうかがいました。
実はSHISHAMOというバンドでそれぞれの立ち位置が、向き合い方がよく分かるお話です。
吉川「 この曲はミディアムテンポで、演奏する時に一番心がけたのは歌詞の良さだったり歌の良さをいかにより良くしていくか、邪魔をしないかっていうことと、よく聞こえるようにしていくかっていうことはやっぱり意識しました。普段のライブにしろレコーディングにしろなんですけど。私の中では朝子の歌を聴きながらプレイする、歌をきく割合が自分の中ですごく高くて。この曲のレコーディングの時は特に歌をとにかく聞いてっていうところでその後でベースを聞いてみたいな兼ね合いでやりましたね」
吉川さんのドラマーとしてのスタンスはいつもそうですね。
吉川「そうですね。それはもう一番最初に『歌』です。なんかこう自分が『コレが叩けるからすごいんだぜ』みたいなことはないですねえ。かっこいいでしょこのフレーズ!みたいな思いはあんまり(笑)」
そこらへんはみなさんそれぞれで共通してるみたいですね。
宮崎「でも曲によってそういうバンドの面も出していけたらいいなって時はありますね」
吉川「そうですねー」
松岡さんはどうですか?
松岡「映画の最後に流れる曲なので、みんなが映画を見た後にジーンときながら聞いてもらう曲で。そういう意味ですごく歌詞をじっくり聞けるような演奏しよう心がけてやりました」
映画館で観ました?
松岡「観ました!すごい最後流れた時感動しました!」
宮崎「音がすごくでかい!」
吉川「そー!」
松岡「感動しましたね!」
宮崎「あんなおっきい音でね!」
吉川「まずおっきいからびっくりしたね」
大興奮。
もうひとつ、この曲はやんわりと応援する歌だと思うんですね。今回ベストを聞いていてすごく思ったんですが、いつしかSHISHAMOは「人を励ます歌が歌えるようになった」なってことなんです。
SHISHAMOの楽曲は実は「がんばれ」という歌詞はほとんど(一つも?)なくて、宮崎朝子の世界に聞く人は自分とリンクして励まされていたのだけど、どこかで積極的に背中を押す歌をうたうようになった。そんな気がするんです。
宮崎「うーんやっぱり例えば『明日も』っていう曲でSHISHAMOを好きになってくれた方が多かったんですけど、そもそも『明日も』って言う曲は自分たちの中で応援ソングとして作ったものではなかったので」
そうなんですね。
宮崎「これも今までの作り方とおんなじで、私、地元が川崎なんですけどもそのJリーグの川崎フロンターレを応援してまして、そのフロンターの応援をしに行った時にサポーターの皆さんの声援や思いにグッと来てしまって、そのサポーターを主人公にした物語を作ろうと思って作ったのがこの曲なんです。それが思わぬところで応援ソングとして受け取っていただいてて」
なるほど。でも『明日も』はやっぱり多くの人が励まされる応援ソングだと思いますよ。
多くのリスナーが励まされて感謝の気持ちもフィードバックされて、他の楽曲でも最近は少しそれも良いのかなと踏み込んできたような気もするんですけどね。
宮崎「最初の頃は『そんなつもりで作ったわけじゃないのに』って思いもしたこともあったんですけど。でもやっぱり嬉しいんですよね。『この曲聞いてがんばってます』って声をたくさん聴くと。 『SHISHAMOってそういうバンドになれてるんだな』っていうことに気づいて。それからはもっと色んな曲が作れるかなって思いましたね」
やっぱちょっと大人になりましたかね。
宮崎「それはほんとにあります(笑)」
さて、2週に渡ってSHISHAMOのみなさんをお迎えしていろんなお話を聞かせていただきました。
いかがでしたか?
宮崎「いやもう細かいことまで話してしまったなと(笑)」
細かいことばかりホントすみません。
とはいえ、あまり聞くことのないお話も聞かせていただいて、なぜSHISHAMOがあっという間に多くの方の支持を得て6年めを迎えてもなぜ成長し続けることができるのか。それはよくわかったような気がします。
そんなみなさんはこの夏も予定が目白押し。福岡、山口のみなさんにはまず夏の定番フェスです。
NUMBER SHOT 2019
7月20日(土)、21日(日)
国営 海の中道海浜公園
※SHISHAMOは2日目の21日に登場
NUMBER SHOT 2019 (外部リンク)
そして、SHISHAMOとしては単独公演では最大キャパシティとなるアリーナ公演『SHISHAMO NO BEST ARENA!!!』の開催も決定!
SHISHAMO NO BEST ARENA!!!
9月22日(日)大阪城ホール
9月28日(土)さいたまスーパーアリーナ
詳しくはSHISHAMO Official Websiteでご確認を。
宮崎「やっぱり9月の『SHISHAMO NO BEST ARENA!!!』は私達にとってすごく大きいものなので、ベストアルバム聞いてはじめて来てくださる方もいるんじゃないかと思うので、そもそもすごい大きな会場なので、とにかくみんなに見届けてほしいなと思います」
そんなお話をお届けしている間にも気がつけば、小中高校生の日本最大の合唱コンクールに曲を提供し、CMでは広瀬すずさんと(実は念願の)カルピスウォーターのCMでも共演中。と、とどまるところを知らず。
これからの活躍にもさらに期待したいですね。
ありがとうございました。
SHISHAMO Official Website (外部リンク)
さて、2017年4月にスタートしたこの「SOUND PURESIO presents 音解」ですが、今回で終了となります。ご愛聴ありがとうございました。
カーオーディオから、あるいはヘッドフォンから次々と流れて胸をときめかせては通り過ぎていく名曲の数々。それは天上に輝く星のようです。しかし、立ち止まって目を凝らしてみれば、実はそれはひとつの小宇宙で、その向こうには無数の星々の輝きが広がっていた。そんな気分になったことが何度もありました。
アーティストの一曲、それは私達、聞く方には気づきようもない、一音一音に込められた気の遠くなるような工夫や努力、そして思いが集まってできていることを知りました。そうしてそれをアーティスト自らに紐解いて頂き、改めてその曲を聞けば以前とはまた違う輝きを放つのです。
この番組を通して、みなさまにもほんの少しでもその気分が味わっていただけたなら幸せです。
数多くの登場したアーティストの皆様、関係者の皆様、そしてなによりリスナーの皆様に深く感謝いたします。ありがとう。またどこかで。