6月15日のゲストは引き続きMIYAVIさんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はこはまもとこです。

今回のゲストは先週に引き続きギタリストMIYAVIさん。 #MIYAVI
前回は7月24日にリリースされる全世界待望の3年ぶりのソロアルバム『NO SLEEP TILL TOKYO』を中心に、今グローバルに活動することの意味と思いについて熱く語っていただきました。

今週はさらに深くその世界を紐解いていきましょう。

まずはMIYAVIさんが今週ドライビングミュージックに選んでくれたのは、CMの曲として多分みなさんもおなじみの「Fire Bird」から。

スタジオの空気はいきなりヒートアップです。

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これはもう聞いた瞬間車だ!と言う感じですね。元々はアルバムにあった曲なんですよね?

「そうですね。実際、自分はギターで歌いたいっていうのがすごくデカいんですね。新しい世代のギタリストとして新しいギターミュージックを提唱したいって思ってこの『Firebird』アルバムを作って、その表題曲でもあるがこの楽曲です。そのトーンも含めて、ギターを持って羽ばたくというか、メロディを持って羽ばたくように何度も何度も立ち上がる、そんなイメージで書きましたね。はい。 で、結果的にね。実はCMはあまり日本にいなかったんで見なかったんですけど綾野剛くんとはじめての共演以降、この前も飯行ったりとかライブにも来てくれたりとか。彼も音楽すごく好きなので」

この前もインスタグラムでも綾野剛さんとのツーショットを披露されたりしていましたね。

「いい意味でのジャンルを超えてのCHEMISTRYというか化学反応?やっぱりコマーシャルはもちろん商品をどう見せるかなんだけど、見せるプラスアルファで音楽だったりビジュアルと爆発的なシナジーがないとやっぱ広がらないと思うんですよね。そういう意味でこの楽曲はコマーシャルとビジュアルとともに羽ばたいたんじゃないかなって思いますね」

そう言って一言。「思わずアクセル踏んでしまうような曲ですけど、スピード違反にだけは気をつけてください」

茶目っ気たっぷりに笑顔のMIYAVIさんなのでした。


そんなMIYAVIさんの最新作が、7月24日に全世界待望の3年ぶりのソロアルバム 『NO SLEEP TILL TOKYO』。ジャケットは「東京喰種」でおなじみの石田スイ先生の手になるもの。

さらにそれに先駆けて7月3日には映画『Diner ダイナー』の主題歌で、ラップシンガーのDAOKOさんとのコラボレーションナンバー『千客万来』のデジタル配信リリースも決定しています。

先週もお話しいただきましたが、今回のアルバム、改めて世界から見た日本だったり、日本語ということをすごく大切に作られたというお話でした。やると決めて世界に飛び出して、世界で戦い、世界から見た日本ってどんな風に見えるものですか

「(日本と言う国は)まあスクエアですね。良くも悪くもですけどカッチリしてますし、システマチックで、それは言語もそうですし生活様式もそうですし、パーソナリティもそして民族性も全てがスクエアっていうと聞こえが悪いですけどそんな印象を受けますね。 そういう意味ではカラフルではないですね。まあそれは都市の特徴でもあるんですけど。アスファルトっぽい印象。それはロスと行き来してるとビビッドさが違うので。太陽の当たり方とか。

だからこそオーガナイズされてる理路整然とね。整ってますし。やっぱこれだけねきっちりしてる国はたぶんないんじゃないかな。こんなにきっちりしてる国はね多分ないですね。

例えばホスピタリティとか、おもてなしって意味ではタイとかシンガポールとかアジアの国にはありますし、sensitivity、繊細さとかはフランスとか通じるものがありますし、でまカッチリという意味ではドイツとかありますけど、ここまで整ってる国はもしかしたらないですね」

なるほど。今日本から海外に若い子達が出て行かないっていう話もあります。一度海外に出て改めて自分の国を見るってことは大切だなと思いますね。

「必要だと思います。でも難しいですね。出なくていいってことはある種ゴールなんですね。だって成立してるわけだから。内側で満たされているってことは決して悪いことではないんですよね。ただ外を知った上で中にいるってことと、知らずに中にいるってことはけっこう違うんですよね

それは自分の音楽にも言えて。今改めて日本に来る外国人が日本最高っていうのがすげえ分かるのは、 やっぱり外にいるから改めてありがたいと思えるし。日本人が日本の中で日本の音楽をするというんじゃなくて、グローバルの中にある日本として日本人の音楽をやるというか。世界の中に日本があるということをどれだけ意識できるかっていうのは、 やっぱりこれは外にいないとわからないし、そのバランスですね。自分も(そういったバランスを)とりながらやってます。向こうに行きすぎてもそれを失ってしまう。」

さらにもう少し具体的に、MIYAVIさんはご自身の家族のお話をしてくれました。

「正直、今家族の中で娘たちの教育をどうするかって話をしていて、日本の教育を受けさせてもいいんじゃないかって話をしているんですね。日本語学校にも行ってるんですけどその文化も含めてあんま日本語も得意じゃないので。

年末から年始にかけて東京で過ごしたんですけど、浅草行ったり熱海、箱根かな行ったりとかしたんですね。それがなんか外国人がツアーしているような感覚だったんですね。俺は知ってるけど彼女たちにとってはそういうもんなので。

しょうがないんですけどやっぱり自分たちのカルチャーとして捉えられてないなと。捉える必要があるかどうかは別の話として。やっぱり自分たちの体の中に、血に流れているものとしてそこを身につけておくことはすごく大事なんじゃないかな。そうじゃないやっぱりね、先祖も含めてですけどルーツというものをもっともっと大事にできるかなって。日本語での会話とかも、もっともっと僕たちが日本語で会話すればいいだけの話ですけど」

MIYAVIさんの中でもすごく大切にされてることなんですねよ。

「よりそれは思うようになってきましたね、流れの中ですけど。ぶっちゃけ逆の時期もありましたし。もう全部捨てていってやろうって時期もありましたけどね。ただ攻めていくにあたってもやっぱり自分がどこから来てんのかっていうことは必要なんだなって。そこをなくしては多分戦えないんだろうなっていうのは、最近時に改めて再認識した感じがしますね」

世界に出ていくことで『自分がどこから来た何者であるのか』を強く自覚することがグローバルに活躍するために何よりも重要であることに気づく。これは音楽のみならず、私達のすべてについて胸に刻むべきことかもしれませんね。


さて、そんなMIYAVIさんの音楽を深く紐解くべく、MIYAVIさん自ら一曲ピックアップしていただきました。 「We Can't Stop It (Rewind)」。

アルバム『NO SLEEP TILL TOKYO』のラストを飾る一曲。MIYAVIさんのアコースティックとエレキギターの魅力とともに情感たっぷりに歌うMIYAVIさんの歌声も魅力のナンバーです。

「『Rewind』てのは巻き戻すって意味なんですけど、時間の流れってのは巻き戻せない、そこに刹那的な美しさっていうか、儚さがそこにあって自分たちも、子どもたちがいたり思い出がどんどんどんどんできていくじゃないですか。その思い出って、写真とかビデオとかデジタルでね、残せますし、すぐシェアできますけど。なのになかなか手が届きそうで届かない。その時間は戻ってこないっていう。それでも僕らは進んでいかないといけないっていうすごくセンチメンタルな楽曲なんです。

でも自分が歌うとしたら、自分の声の質とか含めてこういう楽曲が合うのかなと思っていて、なんかその切ない部分、ただ切ないといっても後ろ向くんじゃなくてそれでも前に進むってことを歌える楽曲になったんじゃないかなと思います。

そしてこの楽曲では新しい楽器の存在が楽曲を彩っています。

「フェンダーから出た『アコースタソニック(アコースタソニック・テレキャスター)』っていうエレキでもないアコギでもない、アコギの音も出るんですけどエレキの音も出るっていう、新しいギターがあって...すっごい食いついてますね」

ふっと見るとこはまさんが興味津々で前のめり。
「アコースティックギターのような響きですけど実はその新しい楽器なんですね!」

「もともと使っていたのがテイラーの『T5』っていう同じようなギターなんですけど、そこからフェンダーのテレキャスターに移ったんですね。まあエレクトリックのバキバキの音をつくりたいと思って。そこから今年、ちょうどフェンダーがアコースタソニックを発表してアメリカのNAMM2019というショーでちょっと弾かせてもらったんですけど、その時にブライアンていうクリエイターがやって来て『久しぶり』って言うんですよね。どこであったのかなあ?って思ったんですけど、彼がアコースたソニックを作っていて、実は8年前にテイラーでNAMMのショーで弾かせてもらって彼と会ってるんですよね。その彼がその後フェンダーに移ってそのギターを作ったんですね。それでまた僕が弾いたっていう、なんか運命的なギターですね」

新しく手にした楽器には、そんな劇的な再会のストーリーもあったんですね。それはこの楽曲のテーマそのものでもありそうです。

時は戻せないけど培ったものって、まっすぐ向き合っていれば絶対未来に帰ってくるというか。例えばスタッフとかもね、昔働いていたスタッフとかも、大変な仕事なのでツアーとか出たら毎日移動で時差ボケのまま次の移動して、優雅なものじゃないのでやめていった子とかもいるんですけど、でも改めてこの前もライブに来てくれたりとか一緒に飯食いに行ったりしてね。そうするとそんなことが糧になってまた彼らの未来につながっているっていうのは見ていて嬉しいですし。どんな形であれ一瞬一瞬まっすぐ向き合っていれば、絶対未来につながると思うんですよね」

そんな思いもこめつつ、この楽曲だったらこのギターを使おうということだったんですね。 この楽曲はMIYAVIさんの歌もとりわけ優しいですね。

「そうですね。バキバキぶっ飛ばすのはずっとやってきているんで、人を包み込むような音を出したいなあっていうのはありますね」

世界で戦うMIYAVIさんが自身の国、日本のことを日本語でしっかり伝えるべく、ときに激しく時にささやくように続くアルバムは、そうやってある種の希望の光を示すように柔らかに終わっていくのですね。


そんなアルバムを携えて、7月からは北米ツアー『MIYAVI North America Tour 2019 NO SLEEP TILL TOKYO』が始まります。

「『NO SLEEP TILL TOKYO』ですんで、またこの後も北米ヨーロッパとアジアとか回りたいなあと思っていて、また日本に帰って来たいなと思っているので、もうそこまで眠りません」

そう言ってニッコリ。
精力的に活動するMIYAVIさん、まだまだ立ち止まる気はぜんぜんないようですねえ。

いろいろな国を回っていると空気や反応のぜんぜん違うんでしょうね。

「そうですね。やっぱり民族性というか、その土地土地の温度感があるっていうか、それを吸収して俺たちも全力でそれを返したいと思ってますね」

そして国内でも。
7月6日(土)に千葉県の『幕張メッセ』で開催される、なんと矢沢永吉フェス『ONE NIGHT SHOW 2019』への出演が決定しています。

「本当にこの国でね、歴史を作ってきた先輩の胸を借りて勉強させてもらいたいなと思ってますね」


本当に濃密だった今回の音解。
MIYAVIさんの口から溢れ出るのは、世界に飛び出し家族を持ち成功の先でグローバルであるために自覚した日本人であることと日本への思いでした。そして自身の音楽と人にまっすぐ向き合っていれば必ずそれは帰ってくるのだという強い意志。

色んな意味で私達すべてが学ぶべきポイントもとても多かったように思いました。

そしてそんなお話を熱く話してくれたMIYAVIさんですが、スタジオでは自然体で時に笑みを交えて少し楽しそうにお話しているのがとても印象的でした。そして、当たり前ですけどやっぱりカッコいいんですよね。

今回の放送はMIYAVIさんの曲紹介で終ったんですが、MIYAVIさんらしいなあと惚れ惚れとしてしまいました。


「今回、日本語の歌詞も含めて世界中のファンの皆の為に作りました。世界中どこにいても同じ空の下で聞いてください。『Under The Same Sky』」


MIYAVI Official Site 【MYV382TOKYO.com】 (外部リンク)
MIYAVI - UNIVERSAL MUSIC JAPAN (外部リンク)

次回は SHISHAMOをお迎えします。どうぞお楽しみに。