毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。
実は長らくご愛聴いただきましたこの番組、次週が最終回となります。
最後に満を持してお迎えしたゲストは、SHISHAMOのギター、ボーカルの宮崎朝子さん、ベースの松岡彩さん、ドラムスの.吉川美冴貴さん。お相手はちんです。#SHISHAMO
高校でバンド結成、2013年にはメジャーデビューしてあっという間に人気バンドとなり、翌年ベースの松岡さんが加入して以降2016年には武道館、2017年には紅白歌合戦出場と快進撃。テレビやCMでも引っ張りだこで、今やお茶にも知れ渡った押しも押されぬ人気バンドのSHISHAMO。
スタジオにおずおずときれいに並んで入ってきたお三人は、なんだか同じ学校でつるんでいる同級生のよう。失礼。
今回は多くのバンドの中でも稀有な成長と成功をしたバンドの5年間を振り返っていきながら、そんなSHISHAMOの魅力などについてざっくばらんに語ってもらいました。
まずは選んでいただいたドライビングミュージック「好き好き!」を聞きながら、最初から楽しいお話を聞くことが出来ました。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→ FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)
皆さんはドライブされますか?
松岡「私だけが免許持っていてあとの二人は持ってないんですね」
宮崎「吉川は なんか松岡と一緒に取ろうとしてたよね」
吉岡「一度、松岡と一緒にとろうと思ったんですけど、なんかちょっとうまいこといかなかったんです」
そういえば随分前に吉岡さん、免許取るってどこかで宣言されてませんでしたっけ?
吉岡「それリアルに3年前くらいの話だったんですよ。でもなかなか...」
松岡「いやいや!一緒に行こうっていってて、でも全然行動に移さないんで、じゃあ私先にやり始めるから後から来てくれって。そしたらそのまま卒業しちゃいましたね」
宮崎「そうそう、2度とこなかったんですね(笑)」
えー。噂ではSHISHAMOイチの努力家と聞いてましたが。
吉岡「その努力家といって頂いている分が免許にはちょっとなかなかうまくいかなかったんですねー(笑)」
すごく吉岡さんが困惑していますね。それはさておき。 ツアーなどの移動中には自分たちの音楽を聞く方ですか?
宮崎「ありますねえ。どっちかっていうとリリースした曲ってよりも、レコーディングしたばっかりでまだどこにも出してないものをみんなで聞いたり」
チェックがてら?
「そうですし。やっぱりあたらしい曲は私達もワクワクするので」
そんなお話中も誰かが話すと誰かがうなずいていて、誰かがかぶせるようにフォローする。さすがコンビネーションは抜群です。
そんなみなさん、今月19日にデビュー5周年を記念した初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』をリリース!
1stシングル『君と夏フェス』から、最新シングル『OH!』までのシングル9曲に加え、アルバムのみに収録されていた『僕に彼女ができたんだ』『恋する』や紅白歌合戦でも歌って話題となった『明日も』など、人気曲を含めた13曲が収録されています
去年が5周年ということで、やっぱりここで一区切りみたいな意味なんでしょうか。
宮崎「うーんなんだろうな。一区切りという感覚は私達にはないんですね。でも、アルバム5枚出してきてこうやってベストを出せるような活動を5年間やってこれたんだなっていうことを改めて気づくこともあるし、やっぱり嬉しいことだなっていうふうに思います」
毎年一枚づつコンスタントにアルバムを重ねていることもあって、ベストはもうちょっと先かな?とも思っていたんですが、思えばこの5年でファン層も広がりましたしね。
宮崎「そうですね、それが一番大きいですね。なんか、私もベストってすごく好きで。他のアーティストさんのものとかよく聞くんですけど。やっぱこれから知りたいバンドとかって、ベストを買うと好きになったりするので、今まであまり聞いたことなかった人に聞いてほしいなっていう気持ちで作りました」
全シングルが収録されているわけですが、みなさんの中でやっぱり「この曲から流れが変わった」みたいな節目の曲ってありますか?
宮崎「(少し困惑)そうですね。でも「SHISHAMO2」から松岡が加わっているので、そこからバンドの音も変わったなって感じもしますね」
なるほどなるほど、後は紅白ってどうですか?やっぱり大きかったですか?
松岡「そうですね。大きかったですし、5年間の中の大きな出来事のひとつと思ってて。私のおじいちゃんおばあちゃんとかにライブとかしてる、と言ってもあんまりわからないじゃないですか。どんなことしてるかも。だけど紅白に出るってなったら、すごい喜んでくれて理解もしてもらったし、そういった意味でもすごくありがたかったなって思いますね」
宮崎「やっぱり紅白歌合戦出てからライブに来る層もすごく広がって、家族連れがすごく増えましたね」
私事なんですけどね。SHISHAMOがひとつステージあがったな!と思ったことがあって。近所の定食屋の74歳の店主がですね。ある日を境に鍋を振りながら「いいことばかりじゃないけどさ」って歌い始めたんですね。あ!売れてる!って実感して。
一同「おおお」
松岡「嬉しいですねえ」
吉川「うんうん」
宮崎「でもそういうところですよね。運動会とかでもやってもらってるみたいで。運動会からおじいちゃんまで(笑)」
でもほんとにこれが、5年間ですもんね。
よくご存知のかたも多いかと思いますが、高校の軽音楽部からここまで一足飛びで。
宮崎「ほんとにあっという間でしたけど」
吉川「でもほんとに夢中でやってきたんでSHISHAMOの活動って。ほんとに一瞬で過ぎちゃったなって。ものすごく濃い時間だったんだけど、自分が高校生で結成して高校で終わりだと思ったものが、こうやって続いてベストまで出せる所まで来るっていうのはほんとに嬉しいです」
確かに。私達ははたから見れば「一足飛び」なんてついつい言っちゃいますけど、やっぱり皆さんの中にはそれぞれに、メンバーチェンジもありましたしバンドのあり方に葛藤したりご苦労もきっとあったと思うんですよね。
そういう激動という意味では後で加入することになった松岡さんなんて本当にシンデレラガールみたいなものではないですか。もともとはスタッフだったんですよね?
松岡「元々は音楽の裏方の勉強をしに専門学校に通ってて、そこでフェスの裏方を研修をしに行ってて荷物運んでいるところで(宮崎さんに)声をかけてもらって入ったという感じです」
その時に松岡さんに声をかけた理由が?
宮崎「顔が好みだった 」
(爆笑)
宮崎「顔が好みだったプラス『あ、ベースやってるような顔してるな』って思って」
そこわっからないですよねえ。ベースやってるような顔ってどんな顔なんですか(笑)。でも実際やってたんですもんね。
松岡「そうですね。軽音楽部に入っててベースやってました(笑)」
でもすごいなと思うのはこの3人が並んでのジャケット写真などみても、最初っからグループとしての様になっているんですよね。
宮崎「そーこが大きかったのかな。その日初めてフェスの裏側であって、次の日3人でスタジオに入ったんです。そん時にパシャって写真撮ったんですね。その時3人並んだ写真がもうSHISHAMO だったよねっていう。今でもすごく覚えています」
個人的にはバンドって「佇まい」って結構大切だなと思います。
それは長年共同作業でぶつかったり困難を乗り越えることでなーんとなく一個のバンドとしての「らしさ」というか出来上がった佇まいを感じることも多いんですけど、SHISHAMOの現在の3人は最初から3人が並んでいるだけで、なんとなく鳴らす音楽がイメージできるような出来上がった感じがしました。宮崎さんはそんなイメージみたいなものがあったのですか?
宮崎「いやでもそこまで考えてなかったですね。その時(オリジナルメンバーのベースが脱退して)ツアーまで1ヶ月切ってて。ベースがいないからとにかく入れよう入れよう!って(他の二人もニヤニヤ)」
そのお話、本当なのかなって思っちゃいますよね?だって、『ベース弾けそうな顔』って言っても実際弾けるかどうかわからないでしょう?
宮崎「どれくらい弾けるかわかんないんですけど、『ベース弾ける?』って聞いたら『(甲高い声で)ヒケマスっ!』っていうんで。」
松岡「ねぇ、真似しないで」
宮崎「次の日スタジオに入ってみたら『よく弾けるつったな』って、もうぜーんぜん。その時は一瞬絶望に陥ったんですけど。でももともとSHISHAMOってなんていうか個々のパートがテクニックで押してるバンドではないので。曲の良さがちゃんと伝わるように演奏するっていうことはこの3人でできるんじゃないかっていうところから」
吉岡「(大きく何度もうなずく)」
それは吉岡さんも同感?
吉岡「そうですね。テクニックとか技術的うんぬんというよりもほんとに最初にスタジオで合わせて、多分この子とだったら良いふうになっていけるんじゃないかなって、なんとなく漠然と思いました」
本当に不思議。自分たちにしかわからない何かというのが絶対にあるんですね。でも、そうやって今や欠かせないメンバーになっているわけですもんね。
宮崎「ま......そうですね」
松岡「ちょっと、間(爆笑)」
吉岡「バランスはいいよね」
宮崎「バランスはね」
じゃあ5年間、ここまで続けられた秘訣ってありますか?
宮崎「秘訣?なにも考えない!(笑)もうほんとに目の前にあることを集中して精一杯やるってことを続けてたら偶然こんなに続いたというだけなので。続けようと思ったことも一度もないので。そこかなと思います」
世にある一つの共同体であるバンドがどうやって引き合わされバンドとなり、どう続いていくのか(あるいはどう離れていくのか)。もちろんひとつとして同じカタチはないのでしょうけど、そこには不思議がいっぱいです。
じゃあSHISHAMOがこうやって出会い多くの支持を受けて大きくなっていく、他のバンドと分かつポイントって何なんでしょうね?さらにお話をすると少しそのあたりが見えてきたような気もします。
さて、今回のベストアルバム『SHISHAMO BEST』ですが。
すべてのシングルとライブなどでの人気曲、曲順などは悩みましたか?
宮崎「うーん、葛藤はありましたね。
このアルバム自体、高校生の頃に作った曲から最新曲まで入ってているので、その曲を並べるっていうのはやっぱりクオリティ的には不安なところもあって。こういう場合アーティストさんによっては録りなおすこともあると思うんですけど、今、昔の曲を録りなおしたら上手なものにはなると思うんですよ。でもアノ時しか出せない音は絶対あると思うのでそのままにして。並べるのはすごく心苦しかったんですけど(笑) 」
吉岡「そうねー! 」
宮崎「演奏してる側からすると、おーい!みたいな」
吉岡「そう、差が結構ありますからねー」
でもですよ。心苦しい割には、今回のベストは1曲めが最新曲の「OH!」で、その次に並べたのが5年前の高校生の頃の「恋する」ですよ?
宮崎「フフ。そこですね」
吉岡「すごいスリリング(笑)」
だから、やっぱりそこはこの5年間、それぞれに自信があるんだろうと思ったんですけどね。
宮崎「いやー、最初はビビってましたね。ただ、この曲順が私いいなと思ってたので。そのままリマスタリングをしてみて、ま、成長はしたなっていうのは感じたんですけど。それ以上に変わらないものがちゃんとあるなっていうのもすごく見えてきて」
確かにアルバム通して聞くと、年代ごとに変化はしているんだけど、全体を通すとびっくりするくらい変わってないところは変わってないじゃないですか。それってきっとSHISHAMOってこんなバンドでありたいっていう意思、バンドの中で考えられてるしコントロールされてるようにも思います。
宮崎「そのとおりだと思います。今までいい曲を作るっていうことを考えて活動してきたので、その曲ですね。そういうものは変わってないなって思います」
こうやってお話を聞いてみると、メンバーの考えるSHISHAMOの核とは「楽曲」そのもの。同様のバンドと比べてみても楽曲に奉仕する姿勢は徹底していて、それこそがSHISHAMOがSHISHAMOたらしめている大きな要素なのかもしれませんね。
愚直なまでに良い曲を作って眼の前のそれを自分たちのその時点の最大限の力で歌と演奏として形にしていく。足りなければ練習して要求される技術に追いつく(今でも時間があれば何時間でも練習するんだそう)それを繰り返していくSHISHAMO。一方で受ける側はそんなふうに生み出される作品とそれを生み出す彼女たちへの共感の輪が広がっていく。そんなふうに思えます。
そんなみなさんはこの夏、おなじみ野外フェス「NUMBERSHOT」に登場です。
NUMBER SHOT 2019
7月20日(土)、21日(日)
国営 海の中道海浜公園
※SHISHAMOは2日目の21日に登場
NUMBER SHOT 2019 (外部リンク)
「フェスはやっぱ楽しいですね。SHISHAMOはワンマンライブがとても多くて 対バンとかもほとんどしないんで、こういうフェスの時はとSHISHAMOを見に来たんじゃない人にたくさん見てもらえるってのがとにかく嬉しくて」
そして、単独公演では最大キャパシティとなるアリーナ公演『SHISHAMO NO BEST ARENA!!!』の開催も決定!こちらも期待大です。
SHISHAMO NO BEST ARENA!!!
9月22日(日)大阪城ホール
9月28日(土)さいたまスーパーアリーナ
詳しくはSHISHAMO Official Websiteでご確認を。
また福岡での単独ライブも楽しみにしたいですね。
「そうですね。福岡のお客さん、すごく温かいので。高校生の頃からライブしに来てるんですよ。またすぐに来ると思うのでその時はよろしくおねがいします」
自然体でかたや俯瞰しているようでいて、一方で自分たちの強い考えについてはハッキリと答える宮崎さん、そんな宮崎さんへの強い信頼感で3人を支えている吉岡さん。ある種末っ子的なポジションながら現在のSHISHAMOの今のカラーの少なからずを担っているように思える松岡さん。
もう少し、じっくり掘り下げてみたくなりました。
そんなわけで、音解いよいよ最終回は引き続きSHISHAMOのお三人を迎えて、さらに紐解いていきます。どうぞお楽しみに。
SHISHAMO Official Website (外部リンク)
次回もひきつづき SHISHAMOをお迎えします。どうぞお楽しみに。