5月18日のゲストは 雨のパレード 福永浩平さんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手は香月千鶴です。

今回のゲストは雨のパレードから福永浩平さん #雨のパレード #雨パレ

ポストロックや音響系のサウンドを取り入れながら高揚感溢れる独自の音楽でシーンに登場し、あっという間に人気を博してきたみなさん。今年はじめに3人体制となり再び自分たちなりの新しい音楽へと挑戦を開始しました。

そんな中でスタジオ入りした福永さんはいたってにこやか。

ご自身で選んでくれたドライビングミュージックはKHの「ONLY HUMAN」。
エッジーなフロアトラックがスタジオに溢れて福永さんはおだやかに話し始ました

   

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


「土曜のお昼には尖り過ぎかもしれませんけど(笑)すみません。
FOUR TETという名義の方は有名ですけど、KHの名前で世界流通するのは多分初なのかなあと僕は思ってるんですけど、最近出たばっかりのシングルです」

ドライブのときはこんなタイプの音楽が多いんですか?

「僕結構ドライブのときとかこういった曲でトランス状態というかガーッとなれる曲が好きで、アンビエント・ミュージックとかもよく流すんですけど、高速道路とか夜中運転してるときとかガンガンいけると思いますね。東京から福岡全然着いちゃうんじゃないですかね」

新しい音楽にアンテナを張っているイメージですが、どういうタイミングでそんな音楽と出会っているんですか?

「僕、基本新譜が大好きで、洋楽なんですけど。僕らの楽曲のスタンス的にも洋楽の新譜から音を吸収したりすることは多くて、でも最近はやっぱりサブスクが多くなってきてますね。なんかおすすめしてくれる音楽の精度が高くて、この人知らんかったなみたいな曲を結構おすすめしてくれて勉強になったりしてます。

もちろんショップに足を運ぶのも僕好きで、バイヤーさんが知名度のない人を調べて売ってくれてるんで、そういう好きなバイヤーさんのおすすめなんかも見てますね

このあたりのお話は、とても嬉しそうで普通に音楽マニアって風情でとても無邪気な笑顔をのぞかせます。

そういえば、この曲、雨のパレードの新作にもちょっと通じる高揚感もありますね。

その新作は先月24日リリースのシングル『Ahead Ahead』です

新体制となったバンドが羽ばたいていくリアルな心情と勇気、希望に溢れるメッセージを新たな方向性の重層的なサウンドとアフロ風のダンサブルなリズムに乗せて歌われる力強い作品となっています。

「なんか今までやってたテイストと違ったりするんですけど、思いのほか反応が良かったりとか 今まで届いてなかった層にも届いてるような気はしてますね」

タイトルも前向きに『Ahead Ahead』とぴったりです。

「ま、自分たちの状況がやっぱあったんで、それは大きく反映されてると思ってて、前へ前へという意味なんですけど。 何があってもまた一歩前に出せるような勇気を与えられるような楽曲になったらいいなと思いながら」

この曲ではやっぱりそのサビがとっても印象的で、「アヘ、アヘ」って聞こえていつまでも頭の中でループしますねえ。

「ま、あれも実はデモの時はただの掛け声だったんですけど僕的には(笑)。
今回はじめてプロデューサーの蔦谷好位置さんてすごい著名な方にやっていただいて。楽曲を作っていくことになったんですけど、幾つかデモを送っていた中のひとつにこれがあって、最初の状態はもっとなんかスタイリッシュなモードみたいな曲だったんです。その中に僕がアフリカの先住民的なイメージで『アヘ』って入れるのちょっと楽しくなっちゃって。その『アヘ』いいじゃん!みたいなことを蔦谷さんが言ってくれて。こっちも『アヘ』いいっすよねえって。で『アヘ』の回数増えましたし、『Ahead』でいいんじゃないって言ってくれて。自分たちにもめちゃくちゃ合ってるなあ『Ahead』って思って、ぴったしだったんで『アヘアヘ』っていう仮タイトルから『Ahead Ahead』になりました」

じゃあ「アヘアヘ」で大丈夫なんですね。

「『アヘアヘ』でぜんぜん大丈夫ですよ!歌も実際言ってないですからね『ド』は(笑)」


そんな楽しい裏話もあるこのナンバーですが、楽曲の作り方など根本から変えて新たに取り組んだ楽曲でもあります。

「僕らって曲の作り方が今まで、4人だった時はスタジオに入ってセッションで構築して行くみたいなやり方をやっていたんですけども、必然的にそれが出来なくなったんですね。実は今までそれが一番早かったんですよね。僕らの曲の作り方としては3日間で20曲ぐらいは作れてたんですよ」

すごいですね。

「ですけど、まあそれと代償ってわけじゃないんですけど僕らの腕の本数しか楽器を重ねられなかったと言うか。セッションといってもコード進行どうしようとか音色どうしようとかいうセッションなんですけども、音数が必然的にめちゃくちゃ少ないバンドではあったんです。今回別のやり方で作ってみるタイミングで、蔦谷さんとやらさせてもらって積極的に音を重ねたりとか、やり方の部分とかでもホントに勉強させてもらって。刺激がいろいろ受けましたね」

全く新しいチャレンジ。一方でその結果、改めて自分たちの根本と向き合うこともできたようです。

作り方は変われど、やっぱり表現したい物っていうのはやっぱ変わらないんだなあっていうのをこのタイミングで大きくまた再認識しました」


そんなシングルのカップリングの曲では、もうひとつの新たな取組がありました。

2曲目の「/eɔ:/(エオ)」を例に新しい制作スタイルについて、さらに深く掘り下げてもらいました。

「今回のシングルのカップリングの曲なんですけど『アヘアヘ』に関しては蔦谷さんとゼロから一緒にやっていったっていう感じなんですけど、その手法でありながら今度はメンバーだけで曲を作った初めての曲っていう感じですね。

まず初めて自宅で僕がデモみたいなものを作りましてほぼほぼ完成した状態なんですけど、それをメンバーに聞かせて低音が足りないとかビートを変えようとか言って作ってたのがこの『/e??/』っていう感じですね」

もう最初の時点でメロディーは固まっていたという感じですか。

「オケもメロディもそこで完全に固まっていた状態という感じですね。僕は詞は後から乗せるタイプなんですけど。宇宙英語といいますか、無いような英語っぽい発音でいつも乗せてデモのときはつくってます」

それがそのまま『/eɔ:/』というタイトルに。この表記がまた...

「発音記号なんですけど、僕はこの曲は『鏡花水月』っていう四文字熟語があるんですけどそれをテーマにしてて。詩を読んだ時に言葉にできない感覚に陥るみたいな、そういうことを『鏡花水月』き気がしましたね。元々僕らの楽曲を聞いて、出会ったことない感情に出会ってほしいなあ、という感覚はすごい強くて、その感覚をより強く落とし込めたらいいなって思って作ったのがこの『/eɔ:/』っていう曲ですね」

4分弱の楽曲ですが、なんといっても詞が極限までシンプルで印象的です。

「もうめちゃくちゃ言葉少なくて、ほぼインストの曲みたいなんですが(笑)。オーストラリアのエレクトロユニットで HVOBっていう人たちがいるんですけど最近その人たちを聞いてて、それくらいの歌のバランスで曲に入ってるもの作りたいなあと思ったりとか。あと音色的には最初聞いてもらったKHのFour Tetの方の名義での新しいアルバムで『New Energy』っていうのがあって、それで使われた音色みたいなものを結構意識して作ってますね」

当にいろいろな音色が交錯しているんですが、何パターンくらいの音が重なっているんですか?

「これ、割とトラックあったような気がしますね。終盤出てくるギターとかは録っててそれも録った後に ある手法を試してみたり。それが入ってくることによって結構、僕アイスランドの音楽が好きなんですけど、そのアイスランド感みたいなのも少し出たなって個人的に勝手に思ったりして。ミックスエンジニアの人もアイスランド好きな人でなんで思いっきりアイスランドっぽくしてください ってお願いして出来上がったのがこの形ってかんじです」

新たな体制でまた新しいスタイルにチャレンジしながら、メンバーやスタッフそれぞれが共鳴しあって出来上がったんですね。聞いていると現実から解き放たれるような感覚に陥ります。

「いいですね。夜中一人で聞いてみて下さい」


今回のシングルの初回限定盤付属 DVDには、去年行ったワンマンツアー『COLORS』のツアーファイナル『日比谷野外大音楽堂』の模様がギュッと収録されています。

「まるっと入ってて、ココだけしか見れないMVも入っています。
上海でワンマンした時にちょっとノリで撮ったやつなんですけどでもクオリティはめっちゃ高いんで、過去曲の中から『Count me out』と『Take my hand』という曲なんですけど、それもちょっと是非見ていただきたいですね」

そちらも楽しみ。

そして、なんと今年10月には地元鹿児島で『フェス』ならぬ『ヘス』に登場です。

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019


10月5日(土)、6日(日)
鹿児島 桜島多目的広場&溶岩グラウンド

(雨のパレードは5日に出演)


地元で行われる『ヘス』なんですけど(笑)
SOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビさんていうかたがいらっしゃって、 前回の僕らのアルバムにもゲストで入ってくれたりとかしてる方なんですけど、その方が主催になって、もう本当地方でこのメンツ集まれのかっていう。東京でもやってねえんじゃねえかってくらいのメンバーで、九州を代表するフェスになるんじゃないかなと僕思ってますんで」

タブゾンビさんとすごいご縁があるんだそうですね?

「そうなんですよ。めちゃくちゃ地元も一緒中の一緒で、同じ街で生まれ育ってまあ僕と年齢は二回りほど違うんですけど、僕がちっちゃい頃から通ってた本屋さんがタブさんの実家だったりして。

このイベントに向けて地元の方でタブさんとテレビの枠を頂いてそれでそれに向けて盛り上げていくような番組を二人でやるんで、それもチェックできたらチェックしてほしいですね」


今年もまた新たな挑戦を続けながらまた新しい音世界を開いていく雨のパレード。
今日はそんな音楽の話をたくさん聞かせてもらえました。

「いい番組ですよね」と笑顔の福永さん。

またひとつ新たな経験を経てアップデートした自分たちへの揺るぎない自信と、楽しさが伝わってくるようなお話の数々でした。またぜひ遊びにきてください!

これからの雨のパレードにも注目ですね。

  

雨のパレード オフィシャルサイト (外部リンク)

次回は、平原綾香さんをお迎えします。どうぞお楽しみに。