番組紹介

放送時間: (土) 11:30-11:55
出演者:

こはまもとこ
香月千鶴(FM福岡)
ちん。(ラジゴン水担当)

提供:サウンドピュアディオ

毎週多彩なゲスト(ミュージシャン/映画監督/俳優/文化人 etc.)を迎えて、音楽トークを中心に展開する25分番組。「音」を「楽しむ」と書く「音楽」をゲストと一緒に紐解くことで、より深く、広く、音を楽しむことができるハズ。そんな音楽にまつわる私たちの知的好奇心を刺激する番組です。
メールのあて先は、 oto@fmfukuoka.jp まで。

SOUND PUREDIO presents 音解 これからの放送予定

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◆今後のラインナップ

きのこ帝国桑原あい
10月20日 桑原あい
10月27日 きのこ帝国
11月 3日 小曽根真

※以降も続々待機中!どうぞご期待下さい!。

放送予定は諸般の事情により予告なく変更する場合もございます。予めご了承ください。
☆この後も続々注目のアーティストが登場。これからもどうぞご期待くださいね!

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。本日のお相手はこはまもとこです。

今日のゲストは先週に引き続き小曽根真さん。 #小曽根真

先週も楽しくて濃密なお話をたくさん聞かせていただきました。今週もどんな音世界についてお話を聞かせてくれるのかとても楽しみですね。

ですが、今日はその前にかるーく小曽根さんがピックアップしたドライビングミュージック、タワーオブパワーの「Squib Cakes」でスタート!と思いきや、いきなり思いもよらない「神童:小曽根真」のお話が聞けちゃいました。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


「1970年代ですね。このバンドが初めて日本にツアーに来た時に僕小学校の6年生だったんですね。それで神戸国際会館の一番後ろの席が取れたんで見に行ったんすよ。ハモンドオルガンを使ったバンドってそんなにその頃なかったんですね」

その頃ってもう鍵盤には触れてらっしゃったんですか?

「触ってましたね。大阪の読売テレビでレギュラー一本持ってた頃ですから生意気のさかりを通り越してもうハッハッハ(笑)ぶん殴ってやろうかってくらい。
佐良直美さんが出ている番組で佐良さんがジャズを歌後ろでハモンド・オルガンで伴奏してました。その時にね、舞台袖に八代亜紀さんとかデビューする頃の森昌子さんがいらっしゃって、八代さんが演奏の後に僕に「坊や上手ね」って言ってくださって」

なんと。12歳前後で、すでにテレビのレギュラーを! 八代さんとは2年前くらいに会ってその頃のお話もしたんだとか。小6にしてすでにプレイヤーとしてタワー・オブ・パワーを聞いていたんですねえ。

「この曲の頃はレコードですから、あの時代は擦り切れるほど聞きましたね。(空気感が)乾いてますよね。お天気の良い日にこれを聴きながらカリフォルニアでオープンカーを借りてウエストコーストのハイウェイ1を走るのが夢だったですね。まだやってないですね。いつかやらないと」
今日もびっくりのエピソードでスタートしました。
小曽根真さん、いつだってこちらの期待を軽く上回るお話を披露してくれます。今日も楽しみですね。

さて今日は小曽根真さんの楽曲を、小曽根さん自ら1曲ピックアップして頂いて深くその音世界を紐解いていただこうと思います。

その一曲とはショパンの『子犬のワルツ(ワルツ第6番変ニ長調 《子犬》)』。
小曽根真さんがクラシックのショパンを演奏したアルバム『Road to Chopin』に収められています。


小曽根さんとショパン。
そこには小曽根さんのショパンへの複雑な想いと、時を超えた理解の物語がありました。

「最初、『小曽根さんショパン弾きませんか?』って言われた時、最初嫌だって言ったんですよ。もちろん嫌いだったわけじゃないけど僕が弾く曲じゃないって思ってて。というのもショパン自体の音楽が非常に装飾音が多いんですよ。僕にしてみると装飾音ってのはアドリブの部分っていう風に感じてるので、それは俺が決めたい。書かれてあるものは弾きたくない。ジャズ屋はほとんどこういう人が多いんですよ。へそ曲がりなんですよ。」

そう言って笑う小曽根さん。

「特にショパンっていうのは日本ではポピュラーなんですけど、クラシックの世界ですごくきれいに美しく弾くことが先に立ってる気がしたんですね。間違ったらごめんなさい。僕はそう感じたんですね。
それがロマン派の時代のマリーアントワネットのロココ調のちょっと華美な貴族の気持ち悪い所につながっちゃったんですね。僕はそういうキンキラキンのゴテゴテなのは嫌だと思ってたんです」


そんなショパンに対して複雑な思いを抱えていた小曽根さんは、あるきっかけで180度印象を改めます。

「ちょっとご縁があって、ポーランドのアンナ・マリア・ヨペックというシンガーに出会って、ポーランドに行った時に『ポーランド共和国という国が地図に載ったのは70年前なんですよ。それまでこの国は独立してなかったんですよ』という話を聞いたんですね。ポーランドという国は、ずーっと昔のローマ帝国の時代から、ドイツが侵略する、ソ連が来る、いつも周囲から侵略されてる歴史がずーっとあって、その中で活動家として戦っていた一人がショパンだったんですね。でもここにいたら才能が潰されるから絶対に駄目だって、無理やりフランスに出されて、フランスで祖国のことを思いつつずーっと彼は作曲して、ポーランドから亡命した人のためにタダで音楽会やったりとか。実は全然『華美』とは正反対

ショパンは祖国ポーランドを20歳で後にして、祖国への強い思慕の念を胸に秘めながら作品を作りつづけ、生涯、祖国に戻ることはなかったそうです。

僕は『なんやそれブルースと一緒やん!』って思ったわけですね。かつて多くの黒人の人がアフリカから連れられてアメリカに渡り、突然、奴隷となっても死ぬまで自由は無かった。そこで生まれてきた音楽がブルースでありジャズですから。そしたら僕が弾く意味があるのかも、と思ったんですよ。それでポーランドのアンナさんとアルバムを作る中で、僕がショパンを弾くならどう弾くだろうってことで作らせていただいたのが『Road to Chopin』。『小曽根真・プレイズ・ショパン』ってそんなおこがましいことは言えないので『ショパンへの道』っていうタイトルでアルバムを作ったんです」


小曽根さんここまで一気に喋って「相変わらず長いですよねえ」と大笑い。そんなことないですよ。ショパンへの当初の違和感から理解への過程はとても興味深くて、深く感じ入ってお話を聞いていたこはまさんも思わずテンションアップ。おなじみの口フレーズを交えつつそういう歴史を経て演奏された「子犬のワルツ」の感想を熱く伝えます。

「ショパンの子犬のワルツの有名な「ティラリラリラリラリラリラ」っていうフレーズと、小曽根さんの左手が「ジャッジャッ、ズッチャチャズッチャチャ」ってこれがすごく面白くて」

小曽根さんも「そうなんですそうなんです」とグイと少し前に乗り出し、セッションのようにこの曲の凝りに凝ったアプローチについて解説をしてくれました。どこまでお伝えできるか。詳しくはタイムフリーでお聞きくださいね。

「これワルツですから三拍子ですね。例えば口で歌うと「ぶん・ちゃっちゃ、ぶん・ちゃっちゃ、ぶん・ちゃっちゃ」じゃないですか。これがウィンナーワルツなると「ンチャッチャー、ンチャッチャー、ンチャッチャー」と、ちょっと舞踏会で踊るクルクルクルクル回るリズムがあるんですね。これがジャズになると「ンカトゥクターン、ンカトゥクターン、ンカトゥクターン」と跳ねるんですよ。これどれも全部三拍子なんですよ。

僕はこの『子犬のワルツ』を弾く時にサビの部分、まショパンにサビなんかないよっていわれるでしょうけど(笑)まあ、俗に言うサビに当たる部分で『ベネズエラン・ワルツ』っていう、普通の「ぶん・ちゃっちゃ、ぶん・ちゃっちゃ」じゃなくて「チャ・ドゥンドゥン、チャ・ドゥンドゥン、チャ・ドゥンドゥン、チャ・ドゥンドゥン、タンツカドンドンドンタン、タタツタドン、タタツタドン、タタツタドン」こんな風にアクセントが最後に来るんです。それを使って弾いてみたんですよ。そしたら『イケルやーん』ってことになって。

じゃスタジオで即興でやったら面白かったんで、アルバムに入れようってことになったんですけど、このアイディアがなかったらこの曲はこのアルバムに入ってなかったと思います

ピアノの詩人の名曲に対して敬意を払いつつ、実は一方で極めて挑戦的なアプローチで臨んでいたことがよく分かるエピソードです。

「だけどおそらくショパンはめっちゃ怒ってると思いますよ(笑)。絶対怒ってると思う。『そこまでせんでもええやろ』って大阪弁で怒ってはると思いますね。 それにね、ショパンのメロディは情熱的なのでまた南米のリズムに合うんですよ。めちゃくちゃ合うんですね」

「ショパンはまたジョルジュ・サンドとマジョルカ島に愛の逃避行をしたくらいの情熱的な人ですしね」と、クラシックに造詣の深いこはまさんもすかさず一言、補足です。


ここで番組ではで改めて「子犬のワルツ」が流れたのですが、音楽が流れている間も気がつけばふたりでリズムをとりつつ興味深いお話は止まりません。

「これはまたジャズ的に裏でアクセント入れてるんですね。実は怖いんですけどねこれ。8分音符で2拍半づつアクセント入れていくんですよ。3拍子に2.5づつ入れていくからどんどん足りなくなってくるんですよ」

「失礼ですけどよく弾けるなって思うんですけど!」
「そこは、もう天才ですから(笑)」
「ありえないですもん。リズムが違うものが右と左でね」
「そう。だけど入るのはここしかないってのがあるんですね。ちゃんと勘定して入れてるんです。こんなことばっかりやってるから友達がいなくなっちゃう(笑)」

リズム談義。とまらないです。

一つの曲に込められた、歴史上の偉大な作曲家と現代の当代随一のプレイヤーとの時を超えた誤解と和解の物語。いかがだったでしょうか?もっとも、そんな風に言えばご本人からきっと「とんでもない!」と叱られそうですが、名曲というものはいつもそうやって、現代の演奏家との格闘の末に今もイキイキと息づいているのでしょうね。そんなことを教えてくれる素晴らしいお話でした。


さて、福岡でも開かれる今回のコンサートでは、もうひとりのクラシックの巨人バッハに挑みます。


小曽根真 ピアノ ソロ "クラシック×ジャズ"2018

【スペシャルゲスト】中川英二郎 2018年11月29日(木)
開場18:30 開演19:00
福岡シンフォニーホール
※詳しくは小曽根真 Makoto Ozone Official Website (外部リンク)でご確認を。


「バッハは手強いですね。音数が少ないのに完璧な音楽なので、じゃあこれを僕らがどう料理するっていう。料理できないってのも料理のひとつなのかなと思たりもするけど。でもせっかくだから僕らしかできないことをしたいですね」

そんな風にショパンとは全く違うバッハへの思い。
これはぜひふかーく聞かせていただきたいですね。そんなわけで、小曽根さんには無理をお願いして嬉しいことにさらに延長戦決定です。

ただし、しばしお休みいただいて次回は11月3日の放送で。

「じゃあ、2週間ほどどこか行ってきます(笑)」

素晴らしい小曽根真さんのお話、また聞けます。とても楽しみですね。

  

小曽根真さん、次回は11月3日にお迎えします。
次週、10月19日は桑原あいさんをお迎えします。お楽しみに。

10月6日のゲストは小曽根真さんです。

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小曽根真さん

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。本日のお相手はこはまもとこです。

今日のゲストは小曽根真さん。 #小曽根真

昨年も登場いただいて楽しいお話をたくさん聞かせてくれた小曽根さんですが、この間、名門オーケストラ『ニューヨーク・フィル』との共演、その感動のステージを収録した初のクラシックアルバム『ビヨンド・ボーダーズ』のリリースとその活躍と進化は留まることはありません。

今回はそんな溢れるような音世界の話にとどまらず、ラジオの前のみなさんの人生にも響く金言いっぱいの聞き逃がせない音解となりました。そんなわけで、今回はその一部始終をできるだけ再現。詳しくはぜひタイムフリーでお聞きください!

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


小曽根さんは昨年12月2日から4日、ニューヨーク・フィルの本拠地、NYリンカーン・センターにあるデヴィッド・ゲフィン・ホールで開催された定期演奏会にソリストとして出演しました。

「これはね、僕の人生設計の中には微塵もなかったですね。僕が2014年にアジアツアーに参加させていただいたというところから始まるんです。今年レナード・バーンスタインの生誕100周年のフェスティバルを世界中でやってるんですね。ニューヨークフィルというのはバーンスタインさんが11年間音楽監督を務めた地元のオーケストラなんですが、この指揮者のアランギルバートっていう指揮者とすごく仲良くなって、バーンスタインの100周年のコンサートには真に弾いてほしいといわれたんです」

そのコンサートを収録したのがアルバム『ビヨンド・ボーダーズ』です。
3日間の公演はすべてソールドアウト。終演後のスタンディングオベーションが鳴り止まなかったとか。

そしてこの日の演奏曲にも小曽根さんが注目される理由がありました。

「普通コンサートでピアニストが出るときってのはコンツェルト(協奏曲)なんで前半にやるんですよ。そして後半はシンフォニー(交響曲)ですからピアニストはいないんです。ところが今回は前半に『Rhapsody in Blue』っていうガーシュインのピアノコンツェルトを弾いて、後半に『不安の時代』という交響曲をやるんですが、これは実はピアノフィーチャーの交響曲なんですね」

通常、ピアノが入らない交響曲ですが、バーンスタインはピアノフィーチャーの交響曲を作っていたんですね!

「そういうことですね。 それだけでも画期的なのに、おそらくバーンスタインさん本人がピアノ弾く人なのでおそらく弾き振り(演奏しながら指揮をすること)を考えて書いたんじゃないかなと思うんですね。でこの『不安の時代』は、テーマもそうなんですけど、人生のドロドロした物語があるんですね。25分間その物語をずっと通ってきて、最後に『赦し』の部分があるんですよ。最後の5分間で神様が天からワーッと光を降り注いで降ろしてきて、みんなが赦されるっていう愛につつまれる音楽なんですけど。その最後の5分間の為に、めちゃくちゃめんどくさいところを25分間みんなで旅しなきゃいけないすごい曲なんです(笑)ヘビーなんですよ」

「ちょうど第二次大戦の最中に男3人とある女の1人がニューヨークのバーで会ってね。みんなでその戦争の事について語ったりとか言うイギリスのオーデンって人が書いた『不安の時代』という詩があって、それをもとにバーンスタインが曲にしたんですね。だから物語が全部音楽になってるんです」

バーンスタインってどうしても「ウエストサイド物語」とかミュージカルのイメージがあって、バーンスタインの交響曲自体聞いたことない人は多いかもしれません。だけどミュージカルのように音楽が物語そのものになっていると聞くと、また興味がグッと湧いてきます。どんなお話なんでしょうね。

「例えば『楽しいことやろうぜ』ってみんなで仮面舞踏会を4人でやるんですけど誰も心から楽しめてないんですよね。口では言ってもやっぱり自分達の心の中にわだかまりっていうか何かスッキリしないものを持っていて。結局、楽しくないってことで別れて、もう一度自分たちの現実のとこに戻ったところに上から光が降りてくる。
そんなもう、すごいめんどくさい曲、って言ったらバーンスタインに怒られるかな(笑) でも素晴らしい曲なんですよ。それをレコーディングして」

そんな難しくて素晴らしい曲を、心から理解して表現するには随分時間がかかったようです。お話は17年前の初演奏に遡ります。

「実はこの曲を初めて弾いたのはもう2001年で井上道義さんっていう指揮者のもと新日本フィルハーモニーで東京で一回でやってるんですよ。
その時はね、何を弾いてるんだか全然よくわからなかったですね。とにかく難しい曲ってイメージしか僕の中にはなくて。2001年でしょ。17年前ですから僕はまだ40になったころ。まだもう全然若造ですよね。だから。何もわかってない、自分のことすらわかってない若造がこれを弾いてもやっぱり...そのなんだろうな。自分の弱点とか、自分の弱いところとか、自分の汚いところとか、そういうものと向き合って、初めてこの曲の意味がわかる、ということをね、今回すごく教わりましたね」

実に自分なりに納得の演奏ができるまでには、ご自身の17年の成熟を待つ必要があったということでしょうか。

2001年の時点で小曽根さんはジャズのピアニストとしての地位も自信も確立していたと思うんですが、それでもやっぱり年齢を重ねて感じるものは変わってくるものなんでしょうか。

「まあそれは少しずつでも前進してれば見えてくる景色は当然変わってくると思いますね。僕の場合『できないことが宝物』って思っていて、これ僕が教えてる学祭たちにも言うんですけど、できないことがあると悔しいんですよね。悔しいんだけどそれは僕の中では恥ずかしいことじゃないんですよ。楽しいことになっちゃう。だって、できないことがあれば練習すればいいだけの話じゃない、ま結果はどう出ても」

と笑います。

「一番怖いのは、ある程度自分ができるようになってきて、プロになってできるようになってきた時が実は一番危ないですね。なぜならそれで仕事は回していけるけれども、進化はしてない状態が続くわけですよ。進化してないかどうかって周りが決めることもあるんですけど、一番それで気持ちが萎えるのは自分本人なんですね。

自分が一番わかってんですよね『俺、最近伸びてない』って。なぜなら人の演奏会を聴きに行ってないし、忙しくなることってすごく危険なことなんですよね。だって「忙」しいって心を亡くすって書きますからね。
だから僕は努めて、忙しいって言わないようにしてる。『スケジュールが詰まってる』と言うけど、忙しいって言うと言霊があるから怖いから言わないですよ」

私達の人生にもつながる大切なお話。『できないことが宝物』のお話はさらにこう続きます。  

「だけどできないことがあっても、そこに飛び込んでいくには やっぱり、やり続けなきゃいけないって思いますね。
なんかこうね、生きてる以上大層なことじゃなくてね、次の瞬間何が起こるかわからない。いいこともあるし悪いことも。そしたらハッピーじゃないことが来た時にどうやってそれと立ち向かうか、それと向き合うか、そこ逃げては通れないですよね。逃げてても同じ。絶対問題がいずれ先に出てくるから。だから普通に生きてるだけで皆さんはもうジャズミュージシャンのようにインプロバイザーなわけですよ」

音楽と人生は同じなんですねえ。
そうやって小曽根さんは前に前に。そしてそんな小曽根さんを観て、聞いて、私達は力をもらえるんですね。

こはまさんも「ドキっとしました。やっぱりこの仕事に慣れてそんな毎日をそれでやっていけるんですよね。そのことに対して慣れてはいけないっていうのはすごく思いますね」と心から一言。


「僕が例えばニューヨーク・フィルとやるとか普通考えたらね、いい結果だけを望んでたらできないんですよ。失敗するかもしれないけど、絶対神様っていうのは1年に1回か2年に1回かわからないけど忘れた頃に、ポンとありえないような仕事を持ってくるんですよ。

学生たちにも言うんですよ。『弾くか?』っていうと『私まだ準備できてません』って言うからそれ待ってたら一生できないよって。だから準備できてないかもしれないからこそ今やるんだよ、このコンサートまでの間にめちゃくちゃ練習したら、ひょっとしたら、その時には準備できてるかもしれない。可能性を自分で伸ばしていくっていうのは常にそういうチャンスが来た時には『やりますっ』で、失敗したら何が悪かったのか自分で勉強すればいいし。失敗しても死なないんですよ音楽の場合は。だからガンガンやればいいんですよ」

挑戦し続けることを時に手振りを交えながら熱くお話してくれる小曽根さん。毎回、音楽の話だけど気がつけば人生の話を教えてもらえますね。


そんなお話を踏まえて改めてアルバム『ビヨンド・ボーダーズ』の交響曲第二番「不安の時代」を聞くと人生の深みや素晴らしさに胸を打たれます。

「ちょっと何回も聞かないとね、本当に深い物語なので。深いドラマの映画、人間を描いてる映画を見るようなもんだと思いますけども、楽しんでいただければと思います」


そして、ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」。あまりにも有名なこの楽曲は、小曽根さん自身も今まで数々のセッションやソロで演奏してきました。それを今回はオーケストラで。誰もが知る曲ゆえの難しさについてお話してくれました。

「皆さんよくご存知な曲なのでブーイングが来るかブラボーが来るか。これはもう本当に終わるまでわからないんですね。 だから、やっぱりそこはもう本当に正直な気持ちで、その時に聞こえてきたものを弾くっていうところで音楽アプローチしないと、こうやったらお客さん受けるかな?とか考えた瞬間に、音楽って死んじゃうんで、その気持ちの中でのピュアさだけをずっとキープするかっていうのをものすごく気をつけて弾きましたけどね」

まさに積み重ねてきた経験と魂をぶつけないといけないのですね。

そんな自身の「ラプソディ・イン・ブルー」をスタジオで聞きながら、
「僕ニューヨークに住んでる頃、リンカーンセンターの前何度も歩いてましたけど、ここでニューヨークフィルやってんだなーと思ってましたけどね。まさか自分がその中に入るとは夢にも思いませんでした。僕の場合は嬉しがりなんで、なんでもやるやるって言っちゃうんですけど(笑)」

そうやってやっと落ち着いたように郷愁混じりの大きな笑顔の小曽根さん。
気がつけば、濃密な時間も残り少しとなりました。

そんな小曽根さんのコンサート、福岡でも間もなく開催です。
小曽根真さんのピアノソロと、日本を代表する世界的トロンボーン奏者、中川英二郎さんとのデュオで「音楽の父」バッハに挑む極上の一夜です。

小曽根真 ピアノ ソロ "クラシック×ジャズ"2018

【スペシャルゲスト】中川英二郎 2018年11月29日(木)
開場18:30 開演19:00
福岡シンフォニーホール


「英二郎くんもやっぱりクラシックとジャズと両方できる人ですけど、普通トロンボーンというとゆっくりしたイメージがあると思うんですが、この人がトロンボーン吹くとなんか時速200 kmで走るサイみたいな(笑)、そんな感じですごいです本当に」

さらに今回はとびきりの趣向で、巨人バッハに挑みます。

「ヴィオラ・ダ・ガンバっていう楽器があって、バッハの時代の古楽器に近い弦楽器ですけど。その楽器とピアノのためのソナタがあって、それを今回トロンボーンとピアノで弾きます。ただ、そもそもトロンボーンのために書かれた楽器じゃないので英ちゃんが練習しだして気づいたんですけど『息継ぎする場所がない』って(笑)。 今息継ぎ場所を考えてますつってましたけどね」

小曽根さんにとってのバッハ、そこには深い思い入れがあるようです。

「バッハの音楽ってのは非常に僕にとっては宇宙的なものだと思っていて。完璧にできた音楽なので今まであえて僕は演奏しなかったんですね。ジャズに近いってよく言われるんですけど僕は全然逆だと思ってて。300年以上前に即興であんな音楽を掛ける人は宇宙人以外ないと思ってますから僕は」

まだまだ溢れるバッハへの思い。
次週も小曽根さんをお迎えしましょう。

次回はそんなお話も含めて、まだまだ聞かせてほしい小曽根真さんのお話、音世界を探求していきたいと思います。次週もどうぞお楽しみに。

 

小曽根真 Makoto Ozone Official Website (外部リンク)

次週、10月13日は、引き続き小曽根真さんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。

9月29日のゲストは引き続きAimerさんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。本日のお相手はちん。です。

今日のゲストは先週に引き続き Aimerさんです。 #Aimer

先週はAimerさんの声に関するこだわりや楽しいお話をたっぷり聞くことができました。

とっても忙しい中で、正直あんなにディープなお話に付き合っていただいて申し訳ないなーと思っていたんですが、それでも「嬉しい」と言ってくれるAimerさん、ホントにいい人なんです。

そんなAimerさんの行為に甘えて今週は、さらに深く。
紐解いた先には、Aimerさんのライブへの熱い想い。そして、思いがけないアーティストと受け渡される音楽のバトンについてのお話を聞くことができました。感無量。そんな感じです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


今日の1曲めは今月5日に発売されたばかりの7周年を飾る15枚目のトリプルA面シングル「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」からとびきりのアップナンバー「Tiny Dancers」スタート。

さかのぼって2017年に発表された「ONE」は開け放たれた窓のようにポジティブでエネルギーに満ちたAimerさんの新しい一歩を示すようなナンバーでした。以降、アップテンポで軽快なナンバーも増えてきましたが、この曲はその流れを感じつつも、もはやアンセムのようにアガるナンバーです。

この曲はライブのことを想像しながら皆さんが盛り上がっているところを見たいな という思いで作りました。」

確かに、この曲のMVでは少女のようにステージでピョンピョン跳ねながら歌うライブでのAimerさんが登場します。お話を聞くほど思っていた以上にライブへの熱い想いがあることが分かってきました。

「やっぱりライブが、活動するごとに自分の中で大きなものになってきて、その中で皆さんと盛り上がるような双方から力を分け与えると言うかぶつかり合って爆発させるような場面が欲しいなー。っていう思いをが増してきて」

「ONE」と「Tiny Dancers」この2曲はライブへの強い思いでつながっていました。

「『ONE』は武道館のために作った曲だったんですね。どうしてもアンコールで自分の曲で盛り上がる曲が欲しいので作ったんですけど、 それが思っていた以上に反響をいただいて。その事もあって今回ライブのことを見据えてまたもう一曲作っててみようと思ったんです」

少し語気に力も入り楽しそうで、想像するよりAimerさんシンプルにライブが好き、という感じがすごくつたわってくるのです。

というか、もしかしたらもともとクラブに行ったりアクティブな方に強い方なのでは?

「完全に弱いです(笑)」

あ。よくわからないですけど、良かったです。 イメージ通りで。

さて、今回の「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」では、バラエティ豊かな楽曲とともに、全体に「歌の楽しさ」みたいなところをすごく感じますね。

自分でも意識しながら本当に(楽曲と同様に)声でも色とりどりにしたいなと思って作っていきました。「Black Bird」ではちょっとシリアスでロー(低音)の効いた声になってて、「Tiny Dancers」は意識してちょっと高めの幼い声で、「思い出は綺麗で」は少し昔の思い出を今懐かしむような大人びた声で歌っていたりと、本当に今できる表現できる「声色」を最大限に使っているので、楽しんでくれたらうれしいです」

そんな声の魅力をぜひ目の前で楽しみたいものですね。   
   

『Aimer Hall Tour 18/19 "soleil et pluie"』

福岡公演 11月3日(土)『福岡サンパレスホテル&ホール』、
広島公演 11月4日(日)『広島文化学園HBGホール』


この秋からスタートするツアー「soleil et pluie」。このタイトルはフランス語で「太陽と雨」だそう。

「遡ると"blanc"と"noir"、「白」と「黒」というベストアルバムを出して、優しいバラードと激しいロックのような曲を二つに分たりしたんですけど、それ以降「白」と「黒」に分類できないようなカラフルな曲も増えてきたなって思いが今あって、また新しい定義と言うかコンセプトとして、『太陽と雨』それを今回のツアーで皆さんに提示したいなんて思ったんです」

成長する音楽性にふさわしい新しい分け方、定義。
とはいえ、やっぱり相反する2つの世界を描きたいことに変わりはない あたり、とてもAimerさんらしいですね。

さてライブに話を戻しましょう。

「それこそその太陽のようなアップテンポなメンバーで明るく皆さんを照らすような場面もあれば、雨が降るようにしっとりとしたバラードをじっくりお聞かせする場面もあったりして。今まで以上に自分の今の世界観を表現できるライブになると思います」

今回は今までで一番の規模と本数のライブになります。
ここでも再びライブへの熱い想いを話してくれましたが、表現としての『ライブ』の可能性と魅力を感じていることがわかりました。

「本当にライブっていうものは、今は自分の中でやっぱり一番上ウェイトを占めているものだなっていう意識はあって。表現者としてライブで歌を歌ってみなさんと一緒に一夜を作り上げるっていう行為にすごく意味を感じていて、今は本当にいろんな場所に歌いに行きたいなと思いますし、今しかできない今だからこそできる歌を聴いて欲しいなと思います」

きっとファンの皆さんはこの言葉嬉しいでしょうね。


さてここで少し話題を変えて、今週はAimerさんに「ルーツミュージック」というテーマで一曲選んでもらいました。

Aimerさんが選んだその曲はスピッツの「渚」です。

   「この曲は特に歌詞のワンフレーズにすごく大事にしているところがあって、それを自分の作品に活かしたと言うか、自分の作品で同じようにと言うかリスペクトを込めて作った部分があってこの曲を選んでみました」 

ちなみに言葉通りのルーツ、記憶にある限りで始めて好きになった曲は映画「アニー」の「トゥモロー」だそう。
「最近リメイクされた方ではなくて、古い方の作品が本当に好きで。主人公の女の子が7歳とかまだ幼い子なので、声が透き通っていて。そういう声に憧れて歌い始めたのが歌うってことの最初かなと思います」

さてスピッツです。スピッツ自体お好きなんですね?と聞くと少し大きめの声で即答「大好きです!」。

「大好きすぎて一口では言えないんですけどまず草野さんの声の感じがすごく好きで、ある意味ちょっと中性的な人って声に憧れてます。 自分の声を褒めていただく時に『ちょっと中性的な部分があるね』って言われるのがすごく嬉しくて、こういう声になれたらいいなと思うアーティストの一人ですね

やっぱり「声」。好きになるアーティストなどもやっぱり声で好きなることが多いですか?

「今はそうでもないんですけど、本当に声ですぐにのめり込んだりって言う人が多かったですね」

なるほど、じゃあボーカルはイマイチだけど曲がいいからとかはないんですねえ。

「はい(キッパリ)。声がだめだと思う何もかもダメという(笑)」
思わず笑ってしまいました。


しかし、今回は大好きなスピッツだからではなく、この曲、とこの曲の一節。

「はい。端的に言えば この曲の中に出てくる単語がすごく頭に残っていてそれを自分の歌詞を書く時の言葉のストックの一つに入れていてそこから生まれた曲があるっていう感じですね。」

そこから生まれた曲とは、Aimerさんの2011年のファーストシングルでもある「六等星の星」です。アニメ『No.6』のエンディングテーマでもあるこの曲。

どの部分に影響受けたんでしょうね?なんてお話していると、たぶん今回いろんな部分で垣間見えたAimerさんの優しさなのか、ちんのあまりのしつこさに根負けしたのか(すみません)、「これ本当に初めて言うんですけど」とこんな秘話を披露してくれました。これにはびっくり。

ズバリ『六等星』って単語ですね。『渚』の中で『ぼやけた六等星だけど思い込みの恋に落ちた』っていう一節が大好きなフレーズで、自分のストックのひとつに入れていてこの最初のデビュー曲のタイトルをつける時にそこから「六等星」と」

ええっ!アニメのタイトルが「No.6」だからだとばっかり。

「もちろん、それもかけてるんですけど。英語で「No.6」というのがまずあるし、スピッツのフレーズを思い出して『六等星の夜』というふうにつけました。この曲は歌詞には六等星っていう単語は一回も出てこなくって、タイトルだけがちょっと違うという私の曲には他にはあんまりない珍しいパターンなんです。
これ本当に今始めて言う話なんですけど(笑)」

ああ、本当にしつこくてすみません。
でもお話を聞いてAimerさんとスピッツの共通点にすごく納得しました。

昔から声にこだわってきたAimerさんにとって、草野マサムネさんの死と生、あるいは生と性、宇宙のような独特の感性を二重三重に周到に含みをもたせるように織り込まれた歌詞世界は、改めて歌詞、しかも日本語の歌詞と向き合う契機になったのでしょうし、そこから再び日本語詞を表現する「歌」という意味で草野さんに強く影響を受けたのかもしれません。

一つの単語の話ですけど、意識してか偶然か、旅立ちのその一言には尊敬するアーティストの意匠が人知れず刻まれていたとも言えそうです。グッとくる素敵なお話です。

さて、そろそろお時間。
本当に色々なお話を披露してくれたAimerさん。
「先週と同じく濃厚な時間で(笑)とても紐解いていただきいろんなことを引き出されたな、と思います」

なんだか申し訳なくなってきました。だけど、ファンの皆様もきっと喜んでいただけたのでは。

「今回この番組に呼んでいただいて濃厚なお話をさせていただいてとても嬉しかったです。ぜひ新しいシングルを聞いてツアーで皆さんにお会いできたら嬉しいなと思います

ちなみに今回の写真は、ちん一人が写っていますが撮影したのはAimerさん。
濃厚に絡まれた挙げ句に無理を言って写真まで撮っていただきました。おじさんしか写っていませんが、その視線の先にAimerさんがいると想像して御覧くださいね。ちょっと斬新。

そんなおふざけみたいなお願いにもAimerさん、最後まで優しくてノってくれました。そんな方でした。史上最高に素敵な方でしたよ。

 

Aimer Official Web Site (外部リンク)

次週、10月6日は小曽根真さんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。

9月22日のゲストは Aimerさんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。本日のお相手はちん。です。

今日のゲストは Aimerさん。 #Aimer

国内外問わず熱狂的なファンも多いAimerさん。
一度聞けば誰もが魅了するその声、人間の喜怒哀楽を赤裸々に、時に優しく描かれる詩世界、そして2011年のデビュー以降も一貫して支え続けるagehaspringsはじめとするコンポーザー陣の楽曲の魅力。

加えてデビュー以降、極めて限られた機会しかその姿を確認することはできません。ミステリアス。
そんなわけでこのブログも美しいジャケットでご紹介。

どんな方なんだろう?と期待と不安の入り混じったスタジオに登場したAimerさんはにこやか。当たり前ですけど放送中もそうでない時も楽しそうに音楽の話を語り、よく笑う。一方で音楽にかける情熱と深い考えには常人ならざるアーティストの姿を目のあたりにすることになりました。

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今日のドライブミュージックは意外な選曲、アゲアゲの大ヒットナンバー、マーク・ロンソンの「Uptown Funk ft. Bruno Mars」。

「今年の夏に入ったファンクラブツアーでカバーした曲です。アンコールで、 しかも若干のフリつきで(笑)。ファンクラブツアーはずっと着席のみだったんですが、今回ははじめてのスタンディングだったので皆さんと一緒に盛り上がる瞬間が欲しいなと思って。ここぞとばかりに気持ちを持ち上げてくれる一曲をカバーしようと思ってこの曲を選びました」

ブルーノマーズは普段もよく聞いていて、来日公演も間近で観たそう。感想は大満足で自分も『少しでも近づけるようにがんばろう』と思ったとか。

そう、Aimerさんはすっごく真面目。というよりは、こと音楽に関わることに関しては本当にまっすぐだなと思うことが何度もありました。

そんなAimerさんの最新盤は今月5日に発売されたばかりの7周年を飾る15枚目のトリプルA面シングル「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」です。

映画『累-かさね-』の主題歌となる『Black Bird』、アップテンポな『Tiny Dancers』、そして、今年6月の父の日に合わせて発表された『思い出は綺麗で』の3曲。

それぞれ違うタイプのナンバーですが一つの共通するテーマがあるそうです。

「それぞれの主人公がそれぞれに、小さな頃の思い出とか夢とかを支えにして今生きている、っていうのがテーマになっています。 色とか温度とかベクトは違うんですけど、そこは共通のものにしたいなと思いながら歌詞を書いていきました」

ちんは娘の父への温かくて切ない優しい優しい想いに溢れた「思い出は綺麗で」のMV(ミュージックビデオ)を観て思わず涙。この曲は2013年に発表された「今日から思い出」の楽曲とMVとつながっている印象です。

「この曲はMVも想定に入れて作り始めた曲で、もともと『今日から思い出(2013)』で、ただただ悲しい曲を作ってしまったものですから(笑)MVの方もアニメーションなんですけど悲しい内容になってしまって。結構ファンの方から『このMV悲しいですね』っていう声を頂いていて、気にもなっていたんです。今回の『思い出は綺麗で』で同じシリーズとしてある意味続編のようなMVを作って過去の『今日から思い出』のストーリーを救ってあげたい、という思いもありました

私達にしてみれば、どちらも素晴らしい楽曲なのですけど、2つの作品にはそんな経緯と思いがあったんですね。同時に2013年から現在までの間のAimerさんの内面の成長を感じるようなお話でもあります。

「『今日から思い出』の時は本当に反響がすごくて「どうしてこんなに救いようがないんだ」って(笑)。 今回はこの新しいミュージックビデオであのときの物語が救われたなと思います」

よかった、よかった。皆さんも2つのMVを見比べてみてはどうでしょう?

そして、このシングルの中でとりわけ注目されているのは映画主題歌でもある「Black Bird」でしょう。

この楽曲についてはAimerさん自身により深く紐解いていただきました。

最初は、映画サイドからオファーがあり、台本や原作を読み込んだ上で、作品の核と歌いたいものを考えながら詞を書いたと言います。

映画『累-かさね-』は土屋太鳳と芳根京子さんのダブル主演で、キスすると顔が入れ替わる不思議な口紅を手にした、女優である対象的な累とニナの美醜や優越感と劣等感、光と影といった人間の業、対立する概念を描いたもの。Aimerさんの「Black Bird」は映画の最後にすべてを包んでまとめるような役割で、見事に映画と一体となって全体の余韻を担っています。

「私もエンドロールで高まった気持ちが自分の声が、映画館で流れてきた瞬間にはちきれて、すごくボロボロと泣いてしまったんです。それくらい、やっぱりすごくエンドロールで流れるのを想像して作ったんですけど、それでもやっぱり自分で感動しちゃうものがありましたね」

映画を観て思うのは、この映画のテーマ自身が、デビュー以来、Aimerさんが取り組んできたテーマそのものではないですか?

「本当にその通りで、自分自身も特に歌詞を書く時には相反する、悲しみと喜びや嬉しさ悲しさとか、どちらか一方じゃなくてどちらも描きたいっていうのは自分のこだわり でもあったので、とてもシンパシーを感じました」

それはタイトルの「Black Bird」の意味にも現れています。

「一言で言っちゃうと簡単になってしまうんですけども、ある意味「劣等感」のようなもので。誰の心にもやっぱり他の誰かと比較して、誰かを羨んだりとか愛されたいって願う気持ち、そういうドロドロしたような部分が黒い鳥みたいに潜んでるんじゃないかなって言う部分からつけました」

また歌唱では類稀なるAimerさんの強いボーカルが聞く人の感情を揺さぶります。
そんな歌い方にも細かなこだわりがありました。

「そうですね。全体的なことでまずいえば、この曲のキーを決めるときにもう少し高くすることもできたんですけど、あえて低く。なんでかって言うとサビのパートでは言葉が詰まっていて、まくしたてるような形なんですけど、そこをあえてちょっと余裕があるキーにすることで、一つ一つの言葉が伝わることの方を優先して今回は作りました。」

キー一つにもそんな考えが。
もとより特徴あると言われるAimerさんの声ですが、ただ感情に任せたものではもちろんなく、息の成分の多い低い声と、透明感の高い高い声。その間に何段階かあって、まるで感情を乗せる繊細な楽器を扱うように使い分け、非常にコントロールされている印象があります。その印象は次のような説明にもハッキリ示されています。

「この曲ではミステリアスで不穏な雰囲気の楽曲なのでそれに合うような声色にしたいなと思って。ドスの効いたというか、ちょっと情念を込められるような声を意識しました。そして激しい曲なので言葉尻のアクセントをはっきりして意味をしっかり込めたいなんて思いもあったし、(二人の女性の映画なので)女性の艶やかさみたいなものを表現したいなと思って。なるべく男性の荒々しさというよりも、艶やかでいながら激しいっていう『うまい塩梅』で表現したいなと思って歌ってます」

ギターやドラムのように細かいテクニックをあまり語られないボーカリストですが、実は一音一音まで細かなこだわりとプロならではの繊細なコントロールの積み重ねだということがよくわかりますね。

ここでちょっと意地悪な質問かな?と思いつつ。
Aimerさんは自分の声のなかで「嫌いな声」ってあるんですか?

「すっごくあります。 簡単に言うならば「響いてない声」ががすごく嫌いで。んでも、まぁ、そんなに聞いてないよってよく言われるんですけど(笑)。 そのぐらい多分普通に聞いていたら分からないぐらいの微細な違いなんですけど、自分にとっては全然別人ぐらいの声の違いに聞こえる部分があります」

そういうやり直しって多いんですか?

「多いんですよ(ニッコリ)」

そんなこだわりを知って聞くと「Black Bird」がまた違う魅力を持って迫ってきますね。

色々なお話をしている間にすっかりお時間が来てしまいました。
楚々として落ち着いた雰囲気ではあるけれど、時々垣間見える素のAimerさんは、音楽、歌を心から愛していて、茶目っ気もあって素直に感情を示す魅力的な方です。相手の気持ちをどんどん前のめりにする、そんなところも数多くのアーティストからのラブコールが絶えない理由の一つかもしれませんね。

今回のシングルについてリスナーのみなさんへこんなメッセージいただきました。

「今日紐解いた内容を元にもう1回私のシングルを楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。今日は本当にありがとうございます」


来週も引き続きAimerさんをお迎えして、さらにAimerの音世界を紐解いていきましょう。

次回はAimerさんのライブについてもたっぷり伺いたいと思います。
そんなライブ、福岡、広島でも行われます。

『Aimer Hall Tour 18/19 "soleil et pluie"』

福岡公演は、11月3日(土)『福岡サンパレスホテル&ホール』、
広島公演が、翌11月4日(日)『広島文化学園HBGホール』


詳しくはAimerさんのWEBでご確認を。
Aimer Official Web Site (外部リンク)

次回も楽しみです。

 

次週、9月29日も引き続きAimerさんをお迎えしてお送りします。

9月15日のゲストは SIRUPです。

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今日のゲストは SIRUP。 #SIRUP

関西クラブシーンで名を馳せたシンガーKYOtaroは、東京に拠点を移して歌とラップ、日本語と英語の間を自由自在にフロウするSIRUPへ。

ルーツであるR&B/ソウルそしてメインストリームのHIPHOPをベースに、変幻自在なボーカルとグルーヴィーなサウンドで今注目のアーティスト。

トンガったアーティスト像を思いつつスタジオで待機していると、やってきたSIRUPは礼儀正しくて気さくなお兄さんでした。ちょっと安心したりして。

ちんとの最初の会話は、「SIRUPさんって呼びます?」「いやもうSIRUPでもう(笑)」という不思議なやりとりからスタート。なんすかね、なんか不思議な会話ですよね。

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今日のドライブミュージックは、Brasstracks feat. Xavier Omärの『Stay There』でスタート。メッチャクチャかっこいいサウンドにSIRUPもついでにちんも上機嫌です。

「ブラストラックっていうトランペットとドラムの人なんですけど、チャンス・ザ・ラッパーの『No Problem(Chance the Rapper ft. 2 Chainz & Lil Wayne "No Problem")』をプロデュースして有名になって、僕、全リリースチェックしてるんですけど最近だとこの曲が好きで、めちゃくちゃ気持ちいいんですよ。まさにドライビングミュージックかなと」

チャンス・ザ・ラッパーはSIRUPに大きな影響を与えた人の一人。常に新しい音楽へアンテナを伸ばしているSIRUPの音楽と人を紹介する最初の曲としてはバッチリ。

そんなSIRUPの新しい音源は昨年リリースして話題となった『SIRUP EP』につづく2nd EP『SIRUP EP2』です。

5月に先行デジタルリリースされた『LOOP』を筆頭に前作よりさらにパワーアップした全7曲が収録されています。

「今回も前回と一緒で、今作りたいサウンドと伝えたいメッセージをどんどん曲として作ってまとめたものになるんですけど、 今回は前作がリリースされて、それを聞いて呼応してくれたトラックメーカーの人だとか出会った人達とバンバン作っていった感じですね

その言葉通り、色々な才能と制作していくのはSIRUPとして活動する上でのテーマでもありそうですね。

前作では小袋成彬氏率いるTokyo Recordings、今作に至るまでYaffle、小島裕規と、音楽シーンの次世代を担う面白い才能が集まっている印象です。

「そうですね元々のコンセプトの中にもそういう概念が入ってるそんな感じです。前にあった人とやらないとかはないんですけど、どんどんできるだけいろんな人と作って、いろんな自分も引き出してもらえますし。その人とセッションして生まれるものとかをもっと大切にしたいなと。 自分がチャレンジしようと思う気持ちがだいぶ大きくなってきたんかなと思いましたね」

SIRUP自身もそういった才能とさらに活動の幅を広げています。
例えば今回のサウンドの要にもなっているSoulflexはSIRUPも参加するクリエイティブクルーです。

「バンドとしてのリリースとかも今年はずっと毎月曲出してるんですけど、バンドがいてラッパー、シンガー二人ではトラックメイカーもいるんですけどカメラマンと絵描きもいたりとか。なんかこう面白いものやろうっていうグループですね」

最新のHip-Hopシーンやクラブサウンドを取り入れながら、歌うようにラップし、ラップするように歌う。これもまたアメリカのチャートを席巻している流れに呼応しつつ、しっかり日本のポップスに昇華させたナンバーが揃っています。

そんなEPの中からSIRUPが、象徴する一曲として選んだのは自然と体が揺れるダンサブルなナンバー「Do Well」。

「この曲は、あの本当にただただ楽しんで欲しいなって思って作った曲で、メッセージ的にもこの曲を聴いてたら、色んな事どうでもよくなるわ、なんとかうまくいくやろ!みたいな意味で作ったんです。

直感的な単語の羅列とかをいっぱいしてるんですけど、僕の中でポジティブなクリエーションのことをずっと言ってるみたいな感じのリリックで、多分何言ってるかほとんどわかんない感じかもしれないんですけど(笑)全体でフィーリングで聞いてくれたら楽しめるんじゃないかなと

この曲についてのすごく面白いリリック=歌詞の取り組み方は、次の「どんなサウンドでもワードがしっかり耳に入ってくる」という感想に対する答えの中でさらに明確になります。SIRUPが考えるサウンドと歌の関係について。

「なんかスタンスの話になっちゃうんですけど。SIRUPを始めて踊れる楽曲にしたいのが一番なんですけど、歌詞がすごい先行して歌詞ばっかり聞いてぐってなるよりは、踊れるけど歌詞もちゃんと入ってくるというか、サブリミナル的にメッセージが伝わってくるのが、音楽として直感的でいいんかなと思ってるんでそれをスタンスとして守ってる感じはあります」

時に文章をそのまま伝えるのでなく、音楽とワードが密接に絡み合うことで「ひとつの楽曲」としてメッセージや詩情を伝えるのがベスト。ということでしょうか。

この曲ではSoulflexチームによるサウンドプロダクションでクールに盛り上げます。それにつけても全体にサウンドの直輸入感というか質感にやはり耳が惹きつけられます。

「こだわってるかもしれないですね。あのーもちろんフィルターは通しているんですけど、スタンスとしてこういうHip-Hop、R&Bならその上で自分の色を出していたいんで、できるだけその直輸入的なサウンドに近づいていくようには気にしてます」

近年、世界のトレンドを旺盛に吸収するというよりは、少し内向きに影響を受け合うことも少なくない国内の音楽の世界で、こういうスタンスは頼もしいです。

もうひとつSIRUPを特徴づけているのはそんな世界のR&Bやクラブミュージックとリアルタイムに共振したマニアックな一面もありながら、作品としてのキャッチーさを外さないところでしょう。
例えばこの曲なら印象的な「♪Da Da Da Da,Do Well」と繰り返されるウキウキするようなフレーズ の繰り返しは、楽しくてこの曲のポジティブなメッセージを際立たせます。そして、そこにも意識的で、きちんとした考えがあるのでした。

「好きに音を作っているもんで、もしかしたら(とっつきにくい)耳馴染みがない要素とかもいっぱいあるかもしれないんですけど、(その分)サビでちょっとポップでキャッチーなものを置いて、みんなで歌ってライブとかも楽しめるかなって。自分自身がそういうスタンスが好きなんですけど、あの、皆ライブで一緒に歌ってほしいなと(笑)

そう言ってヘヘヘと無邪気に笑うSIRUP。スタイリッシュでマニアもうならせるサウンドではありますが、同じくらい本人の人懐っこさが音に表現されているということなのでしょう。SIRUPの丁寧で穏やかな語り口に耳を傾けていると、結局根っこがポップな人なんだろうなあとも思えます。

尽きることのない音楽のお話。
始終、穏やかで理知的なSIRUPは、音楽への深い愛情と熱意が感じられて、普通の言葉にリズムがあります。とても気持ちのいい時間でした。

それでは、最後に番組中、SIRUPの一面を垣間見ることができた一番笑えたやりとりを紹介して今日はおしまいにします。

---SIRUPって英語の発音がすごい良いじゃないですか?

「でも、しゃべれないんですよ(笑)。マジで今勉強してますね。
この前、ついに韓国でライブしたんですけどそれが初めての海外でして(笑)。韓国の若い世代の人って結構。英語結構喋る人いるみたいで、ガンガン話しかけてこられるんですけど『センキューセンキュー』って(笑) ややこしいんですよね。めっちゃ発音だけ勉強してるんで」

最高でしょ。

  

SIRUP - SIRUP OFFICIAL SITE (外部リンク)

  

次週、9月22日はAimerを迎えします。お楽しみに。

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今日のゲストはクラムボンから原田郁子さん。 #クラムボン

音楽専門学校の同級生の原田郁子、ミト、伊藤大助で結成され1999年メジャーデビュー。
高品位なポップスでありながら常に実験精神旺盛な音楽性と、それぞれ充実したソロ活動、そして音楽のみならず活動形態から運営まで既成概念にとらわれない姿勢で、国内外から大きな尊敬も集めるクラムボン。

原田郁子さんは福岡生まれ。いつものように、のびやかな歌声にふさわしい柔らかな笑顔で登場。さっそくのドライビングミュージックはJanet Jacksonの『Got Til It's Gone』をチョイス。

「私遅ればせながら、この何年かで免許とったんだけど、すごい初心者でドキマギがすごいんですよ。いいんすか右折ここで。みたいな。だからあまり疾走感ある曲だとちょっと焦っちゃうんで、これくらいのかんじでお願いしたいなと(笑)もうほんとすみませえん」

なんか最初からホッコリ。今日の音解も楽しくなりそうですね。

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「最近、自分が10代の頃福岡から上京して東京に出てから、聞いていた音楽を今また聴き直したりしてるんですけど、TLCとかアレステッドデベロップメントとか、今の耳で聞くとなんかその時代独特のクールさっていうか、音はすごいシンプルなんだけどグルーブとかかっこいいなと思って。

この曲高い声のパートのところがジョニ・ミッチェルの「Big Yellow Taxi」って曲のサビの所をサンプリングのようにジャネットジャクソンが歌い直してて、当時それもすごい新鮮だったんですよ。こんなになっちゃうの!?って」

のっけから、根っからの音楽ファンっぽいお話をアツく語ってくれた原田さんです。

さて、クラムボンと言えば今年6月に『モメント e.p.』シリーズの第3弾『モメント e.p.3』がリリースされました。

今のクラムボンは2016年から、全く新しい形でのバンド運営、CD販売を行って大変な注目を集めています。原田さん自身に解説してもらいました。

「2015年でクラムボンが結成20周年の節目でそれを機にずっとお世話になってたメジャーレコードから離れて、流通を通さずにできるだけ一番届けたいリスナーの皆さんに直接渡したいということで直売ツアーと呼んでるんですが、ライブハウスをそのまま新譜のレコード屋さんみたいにできないかなと。

出来たばかりの曲を生で聞いてもらって、もし『いいじゃん』って思ってくれたら購入してもらって、その後でサイン会して、ホントにお一人ずつに手渡ししたい。その熱量がそのままダイレクトに届けられるんじゃないかって2年前から始めてて今年で3作目ですね」

一枚一枚音質から装丁までこだわってCDを作り、ライブをして直接販売する。完全な自主制作のスタイル。それが、現代にふさわしい心地よい制作環境で、未来に続く商業としての音楽のひとつの在り方じゃないか。そんな思いで取り組んでいるのだとか。

ただ会場だけでは欲しい人のすべての手には届かない。そこでユニークな「販売店」システムがとられています。

「ツアーで回りきれない街の方とか、来れなかった方たちに作品を手にできるチャンスがない。なんかいい方法無いかなってことで、ミトくんがライブのMCで『CD を取り扱ってくれるお店あったら教えて下さいっ』て呼びかけたんです(笑)。そしたら、ウチ飲み屋やってるからいいっすよ、とかホントにそんなかんじで始まって。通ってるバーでも病院でもカフェでもなんでもいいんですけど、今は自分たちの想像を遥かに超えるお店で扱ってもらっているんです」

福岡でもいくつかのお店で取扱中詳しくはクラムボンのWEBでご確認ください)。山口はただ今募集中なので、われこそは!と思う方応募してみてください。

箔押しのとても洗練されたデザインのジャケットに、開くと蛇腹型の超変形歌詞カードが広がる凝りまくった仕掛けも美しい「モメント e.p. 3」。
先程の言葉通り、一曲一曲にこだわりを尽くした全くタイプの違う5曲が収められています。

そんなアルバムの中から音を紐解いていただくべく一曲選んでいただいたのはJR西日本の夏キャンペーンCMソングにも提供されていたポップでダイナミックな「グラデーション」です。

こはまさんの興奮が伝わる感想をそのまま引用しますね。

「この曲すごく面白いなあと思って。静かな感じで始まってたラララララララっていうクラシカルな雰囲気があって、そっから今度ダイナミックにそのタタ、タタ、タタ、タタ、タタ がジャンジャンジャン、ジャンジャンジャンって三拍子になっていくっていう変化に うわっ!て驚きました!

その勢いを受けて原田さんの解説も熱が入ります。

「すごいですよね(笑)これはミト君がアレンジもしてくれてるんですけど、すごく小さな繊細な世界からダダッダダって激しくなる。そこで終わるんじゃなくて、収縮するようにまた小さな深い世界に潜って、また爆発の方に行くというのが交互にやってくるんですよね。私も最初は聞いた時にクラシックを聞いてるようですごく面白いなと。このダイナミクスが大きい曲はクラムボンの中でも今までなかったんじゃないかと思ってます」

ここで原田さんクスリ。ミトさんの攻めた楽曲の素晴らしさはともかく、実際に演奏するとなると大変だったようです。

「でも、これってこれどうやって(ドラムスの)ダイちゃんは叩くんだろう?って思って。人間には限界があるというか機械ではないので。(実際に聞くと)最後にクライマックスでダンダン!ってダイちゃんのドラムがもうとんでもないことになってるんですよ!

私はずっと音源としてのダイちゃんのドラムを聞いてたので、レコーディングで久しぶりにあったら。もうファンみたいになっちゃってて(笑) 「ああっ、あのドラムはこう叩いてるんだ!」みたいな(笑)、今だに速すぎてよく見えないみたいな。なんかすごいんですよ、刀を振り回している殺陣の人っているじゃないですか。名殺陣師にみえる。サパサパサパサパサパって...説明できない(笑)ぜひ、ご覧いただきたい(笑)」

ラララでダンダンダンでサパサパサパ。ふたりともなんだか少しテンションあがっちゃって、でも楽しそうですね。

そんな挑戦的なサウンドとそれに応えた演奏。歌詞を書く原田さんとしては力が入ったようです。

「歌詞も集中して書いたんですけど、この世界を一体どういう歌にするのが一番いいかと思って。ダイナミクスをなるべく活かしたいし、サビの所のあの爆発したところではここ数年ずっと感じてきたことであったり、クラムボンでやってきたことも、すべてあの場所にぶつけたいなと思って。 願いと言うかあれだけの場面では歌わなくてはいけないだろうと考えて書きました」

お話を聞いているだけで、今のクラムボンが自分たちの満足の行くまで音楽に向き合い、自分たちの許される自由の中でとことん音作りに取り組んでいる、そのしんどさ、楽しさ、そして揺るぎない自信を感じることができますね。


そんなこだわりの詰まった一枚は、ぜひメンバーから直接受け取りたいものですね。

現在、クラムボンは『モメントツアー2018』を開催中です。

clammbon モメントツアー2018

9月16日(日)、9月17日(月・祝) 福岡BEAT STATION <●サイン会あり>
開場17:30 開演18:00


「今回、新曲を全ての会場で演奏してきてるので、そうとう育ってきてるというか、みなさんに聞いていただくごとに曲が進化していているんです。福岡は地元ですし、ひさしぶりに2Daysでライブをやれることで、しかも日曜日と祝日ですからぜひ山口の方も遊びに来てください」

こはまさんとも何度も顔を合わせているせいもあって、最初からリラックスして楽しい雰囲気の今回の音解。それ以上に、今の活動に誇りと自信を持っていきいきとしていることが伝わってきます。

最後に頂いたリスナーへのメッセージには、そんな今の気分が溢れているのでした。

「今、クラムボンはすごく今良い形で音楽の活動が自分達らしくできてるんじゃないかなと思っていて。なんか私たちもやればやるほど、音楽は素晴らしいって自分たちでも思えているということはすごく幸せなことだと思ってます

ライブ会場でお待ちしてます!そう言ってまたにっこり笑う原田さんでした。

clammbon official website (外部リンク)

  


次週、9月17日はSIRUPを迎えします。お楽しみに。

9月1日のゲストはコレサワさんです。

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今日のゲストはコレサワさん。 #コレサワ

2014年活動開始、昨年2月デビューの大阪出身のシンガーソングライター。
一度聞けば耳を奪われるメロディとキュートな歌声。そしてその声で歌われる歌詞は独特の視点で女子の気持ちをしっかり捉えたリアルで時に毒もあれば夢も涙もあるもの。話題の覆面女子シンガーソングライター、それがコレサワです。

期待を胸にスタジオで待っていると、コレサワのビジュアルを担っている「れ子ちゃん」でやってきましたよ!!

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今日の音解はコレサワさんが選んだドライビングミュージックArctic Monkeysの『Mardy Bum』からスタート。

「最近友達とドライブしてる時に初めて存在を知ってハマってしまって。明るい曲なんですけど歌詞は彼氏が不機嫌な彼女に対して『君の不機嫌な顔よりもいつもの明るいの方が僕は好きだな』って歌ってるんですよね。歌詞も可愛いしメロディも面白くてギターのリフも何かお子様じゃないけどなんかヨチヨチした感じがすごい好きで最近ずっと聴いてます 」

と、なーんとなくコレサワさんらしいコメントですねえ。

今月19日に、メジャー2ndアルバム『コレでしょ』をリリース。

「前のアルバムは『コレカラ』なんで今回も 『コレ』がつくタイトルつけたくて『コレでしょ』にしたんですけど、女の子の気持ちと言えばコレサワでしょ!って定番にもしたくてこのタイトルにしました。」

今年コントロールベアとのコラボぬいぐるみをリリースした際のおまけCD『君とぬいぐるみ』を始め、長編アニメ『ゴーちゃん。?モコと氷の上の約束?』のエンディングテーマ『友達だからかな』『いたいいたい』、『彼氏はいません今夜だけ』など、話題の楽曲を含む全12曲収録されています。

「コンセプトは最初からガッツリ決めなくて、自分が一年間生活しててできた曲を12曲集めた時に、『あ、やっぱり女の子の気持ちが揃ったな』と思って。」

恋愛にまつわるさまざまな気持ちをリアルに歌っています。

「失恋も片思いも、手短な男にで済ませる曲もあるし(笑)」

そんな女性ならではの視点で、共感度が高くてユニークな歌詞はどうやって作られるんでしょう?

「だいたい、身内ネタが多くて自分自身が8割なんですけど。あとは友だちの話聞いたりとか、自分がこうしたいけど現実ではできないから、歌の中やったら自由に女の子操れるというか、なにやっても怒られへんからていう(笑)願望とかもあると思います」

そうやって書かれた12の世界。いずれも女の子の気持ちを代弁するようなバリエーション豊かな楽曲が揃っています。

そんなアルバムの中から、さらに音世界を紐解くべくコレサワさんご自身に選んでもらった一曲は、アルバムの最後を締める「最後の有給」です。アルバムの中でもちょっと雰囲気の違う一曲です。

「そうですね。この曲は最初から一番最後に入れるって決めてた曲で、本当はファーストの『コレカラ』のときからあったんです。その時はあまりにもいろんな曲があったので、次のアルバムの最後の曲にしようかなと言ってて。他の11曲はコレサワっていう女の子の気持ちを歌うアーティストとしての曲ですけど、この曲だけはその時のコレサワ(自分自身)が作った曲だなって自分でも思います。一番大事な気持ちがもう絶対ここにいなきゃいけない曲になりましたね」

コレサワさん自身のリアルが詰まった一曲なんですね。

「バイトをメジャーにいった時にやっと辞めれたんですけど、その時にちょうど3年目の夏を迎えそうな時やって、辞めるなら有給を使ってからやめようと思って書いた曲ですね

「なんか仕事してる人とかって言うと、今聞いてる人の中にも本当にやりたい仕事があるけど、そうじゃない仕事をしてる人とか、夢を追っかけながらバイトしてるけどなかなかバイト辞めれない人とか絶対いると思って。私もそのひとりやったんですけど。 私もメジャーがすごい早くはなかったので、そういう遠回りしてる自分の夢やけど、でもそれをちゃんと正しかったって自分で思いたいし、そうやって行ってほしいなと思って作った楽曲でもありますね」

ひとつひとつの歌詞が赤裸々で笑っちゃうけどわかるわかるって「私より時給が高いくせに働かないあいつにも愛着がわいてたんだな」とか。

もうほんまソイツ働かないんですよ!(笑)でも最後の方には愛着わいたし、あとすごいクレームおじさんが一人いたんですよね。絶対これ歌にしてやる!と思ったけどなんかここでは愛らしく歌えたのでよかったなーって思います。

辞める時にウチ、もうはよ辞めよってずっと思ってたんですけど何か辞める直前に寂しいと思ったんですね。さよならを寂しく思えたことになんか嬉しくて音楽で頑張ろうって決意できましたね」

旅立つ時にしかわからない感覚が言葉として鮮やかに切り取られていると思います。
そんな気持ちを美しく表現しているサウンドがまたとても素晴らしいです。

初めてストリングスを生で入れさせてもらって。もうチューニングしているぐらいから私泣きそうなって!
ストリングスをずっとこの方にアレンジしてもらいたいと思っていた出羽良彰さんにお願いして、音的には、これはサビで転調してるんですけど、普通転調って上に上がるんですけど、これは下にテンションを下に下がるのんですね。そこをストリングスで壮大に深くしてもらったなっていう印象もあります」

そのアレンジのおかげでより繊細なニュアンスが表現されてより深いサウンドになったんですね。

「『守りきるためには一番近くにいる人を傷つけなきゃいけない時もある』って言うのはやっぱ夢を叶える時に親とか恋人とかにでも別れを告げる人もいると思うんですよ。遠くに旅立ってしまうとか修行に行っちゃうとか、一番近くの人が傷ついちゃうけどでも、自分の夢を守るためにはそれをやらなきゃいけない時が多分あるんじゃないかなっていうのはすごい思います。

そんな人がもしこの曲聞いてちょっとでもなんか背中押せたらなっていう気持ちもあるし、自分の背中も押してほしいなと思って作った曲でもあります」

そんな曲を聞きながら、突如コレサワさんと香月は「有給大事!」と有給話で一盛り上がり。ホラ、共感度が高い。奇しくもここでも証明されました。

今のコレサワ、ここまでのコレサワの魅力がたっぷり詰まった自信作を携えて、この秋からツアーもスタート。

弾き語りの『ぼっち編』8カ所と、バンドの『仲間編』8カ所と、全国16カ所を廻る予定です。

コレサワ ワンマンツアー2018「コレでショー」-仲間編-

2018年12月8日(土) 福岡 DRUM Be-1
open17:00 / start17:30


「はい!もう今までで一番広いとこでやるのでたくさんの人に見てもらう気満々で、是非ソールドアウトさせたいなって思います。頑張ります! 」

『ぼっち編』と『仲間編』って面白いですね。ちなみに福岡は『仲間編』です。

「『ぼっち編』は皆さん椅子に座ってもらって、私も一人で歌うので聞きやすいと思いますし立って一時間半もしんどい方もいると思うんでゆったり聞いていただいて。 もっと騒ぎたいな、とかバンド編成の生演奏を見たいな、って方はぜひ『仲間編』の方に来てもらいたいなと思いますね。まあ両方来ていただくのが一番ありがたいですけど(笑)一番近いところに来ていただいたら嬉しいですね」

色んなお話をたくさん聞かせてくれたコレサワさん。
「れ子ちゃん」の下に隠れた素顔は、音楽通り自然体で歌詞の通り繊細で時に鋭い等身大の女性でした。聞いていただければおわかりの通り心地よい声で楽しそうにしゃべる様子はずっと聞いていたいほど。

最後にみなさんへコレサワさんからメッセージです。

「はい!とっておきなアルバムができたと思っているので、ぜひCDを買って、歌詞カードを見ながら曲を聴いて、そしてライブに会いに来て下さい。お願いします。男の子に向けた曲が多いので男子にも!」

コレサワ公式WEB(外部リンク)

  

次週、9月8日はclammbonを迎えします。お楽しみに。



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今日のゲストはフレンズからひろせひろせさんと、三浦太郎さん。 #フレンズ

それぞれが今に至る音楽シーンを賑わせてきたメンバーが集まって結成されたのは2015年6月。
ハイクオリティの新世代シティポップはあっという間に話題となり、この8月には1stフルアルバム「コン・パーチ!」をリリースという、いま耳の早い音楽ファンの間では話題沸騰中のフレンズ。

一見、メガネの学生風の三浦さんと巨漢でやんちゃなひろせさんの組み合わせがなんだかアニメから出てきたようですが、お二人のやり取りもなんだかイメージぴったりで楽しいもの。しかし、主にひろせさんの口から繰り出される音楽の話はかつてないほどマニアックでテクニカル、フレンズの底知れない音世界をかいま見せてくれました。

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三浦さんが選んだドライビングミュージックは、同じく今話題の福岡のバンドAttractionsの『Leilah』。

「福岡のバンドじゃないですか。僕、三浦太郎も福岡に8年住んでいたこともあってAttractionsのボーカルのTAROとTAKEが前のバンドやってる時に僕も前のバンドやってて一緒にライブやったり、ドラムのAKIRAは僕のサークルの後輩だったり、ベースのJUNは僕の弟と一緒に地元の佐世保でバンドやっていたり、実はめちゃくちゃ縁があるんです」

ひろせ「イケメンだよねえ」
三浦「すごいイケメンなのよ。9頭身くらいある」
ひろせ「(人気とられちゃうのに)なんで紹介すんのよ」

だいたいこんな感じで今日は進んでいきますよ。

東京都渋谷区神泉(しんせん)をイメージした音楽ジャンル、神泉系バンドとして活躍するフレンズ。「神泉系バンド」ってなんでしょう。ご自身に説明していただきました。

みうら「東京都渋谷区、その1駅となりが神泉なんです。飲み屋で『音楽やってます』というと絡んできたおっちゃんに「お前どんな音楽やってんだ?」という会話が絶対あるんです」

ひろせ「あるある」

「そこで『ポップでボーカルが女の子で』とか説明していると『そんなんどうでもいいからきかせろ!』って会話にいつもなるんで、なんとかならんのかなと思っててじゃあ自分で作っちゃおうということで『神泉系』。そこにはなにも深いものはないんですけど。ボーカルのえみさんは『渋谷から一駅離れているしワクワク感とかそのパーティからちょっと離れた、ちょっと落ち着いたイメージ』と解釈して僕らはレペゼン神泉でやっています(笑)」

そして満を持して8月に発売されたファーストフルアルバムが「コン・パーチ!」。挨拶代わりのナンバーが、全12曲収録されています。

ひろせ「いやー、やっとですね。今年の4月に日比谷野外音楽堂でライブさせてもらって、そこで夏にリリースしますと宣言してとんでもないこと言ってしまったなと。そこから制作で曲も本当に4曲ぐらいしかなかったんですけど。なので5月6月の記憶がないですね(笑)。毎日なにかずーっとやってましたね。」

洗練されてワクワクするナンバーの本当にバラエティ豊かな楽曲の数々の間に「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」...途中コントですかね。

「人間賛歌と言わせていただいております(笑)」

そんなアルバムの制作、さぞ大変だったのでは。

三浦「あのう、アルバム自体かなりタイトなスケジュールでやったので、レコーディングの作業がですね本当に難航して。曲ができてない状態でレコーディングするとか。俺は曲作ってるからわかってるんですけど、メンバーはみんなはわかんないみたいな」
ひろせ「前日レコーディング進んでいる時に、明日録る曲みたいなのがプッと送られてきて『これです』みたいな」
三浦「結果みんな号泣してました」
ひろせ「あっはっは」

タイトルは「コン・パーチ!」。ちょっとラテンぽくもあるタイトルですがどういう意味ですか。

みうら「ボーカルのおかもとえみがネットサーフィンしていて考えてくれたんですが、もともと相撲用語で。相撲部屋で(初めて髷を結えるようになった力士は)挨拶回りをする時に(迎える親方や兄弟子は記念として)デコピンをするというしきたりがあるんだそうです。「ごっつぁんです」パチン。みたいな。なので衝撃の挨拶。はじめてのフルアルバム→衝撃の挨拶→コンパチで。ここからはよくわからないんですけど。おしゃれにイタリア語っぽくしました。イタリアがおしゃれなのかもわかりません(笑)」

なにはともあれ、今回のアルバムに似つかわしい陽気なインパクト溢れるタイトルですよね。

さて、今日もご自身に一曲ピックアップして自らじっくり紐解いていただきました。
その一曲はアルバム最後を飾る「ベッドサイドミュージック」。

「これがフレンズのとして初めて作った曲なんですよね。これが結成のきっかけになって、この曲を演奏するために集まったバンドがフレンズになったんですよね

そして、この曲と三浦さんにとって切っても切れないある楽曲の存在がありました。

「僕がこれ書いたのが2012年ぐらいなんですけど、当時(ジブリの)「風立ちぬ」という映画がありまして。その中で荒井由実さんの「ひこうき雲」が使われていて大好きな曲なんです。(その影響で)僕、音楽プロデューサーになりたいなと思って音楽始めてるんです。だから僕、楽曲分析野郎なんです。結果的にはそんな風なヤツは良くないなと思って変わってきたんですけど(笑)」

「ひこうき雲」のすごさってどこでしょう。

「後で知ったんですが、荒井由実さんの旦那さんの松任谷正隆さんは『ひこうき雲』を聞いて、こいつと一緒にいたいと思ったと言ってるぐらいパワーがあるんですね。
この曲どこがすごいのか考えると、この曲は『切なさの塊』だなと。せつないことを重ねた先にあの曲ができているんだなと思ったんです。
その一番最初の切なさのキモはベースのイントロがあるんです。
その「どぅどぅどぅどぅん」ってベースの入りを(自分たちのこの曲では)完全に真似してます」

「わかりやすくAメロ→Bメロ→サビという構成があるんですけど、メインを僕が歌って、そこからずっとBメロからえみさんが歌ってる。そうすると場面転換ができないので、サビの前にカウンターメロディ=駆け上がりのピアノのメロディを入れました。ピアノの『パンパンパンパン』ってのは旅に向かう高揚感たっぷりで、歌が変わるよって。(男女が交互に入れ替わりみたいなわかりやすい変化が無い分)場面転換を入れることによってさらにぐっとあげてる」

はらだ「よく考えてますね(笑)」

止まらない!溢れるようにこの曲について解説する三浦さん、とても楽しそうですし実際隅々まで施された工夫に感嘆するばかり。

「サビの折り返しに『♪ベッドサイドミュージック』って後に左右同時にコーラスで『ミュージック』って入っているんですが、ベッドで寝ている間にラジオから流れてきているイメージなんです。じゃあラジオっぽくってどうしようとエンジニアさんと相談して。結局、録音したものを一回電波で飛ばして、それをラジオで受信して鳴らしたものをマイクで録って。というデータなんです。ラジオっぽく編集したとかいうものではないんですね」

はらだ「僕の知らないことも...(笑)」

「今回、初めてのフルアルバムということで歌もギターも改めて録り直してんですけどその ラジオからなる『ミュージック』っていうのは、僕が2012年に録ったときの音そのまま使っているんです」

その他にもボーカルの声を眠りにつきやすい周波数を意識してチューニングしてあったりと、いくらでも秘密が出てくるんです。

「この CDのリリースでいろんなところを回ってるんですけど、今すごく楽しいです(笑)」

そう言って満面の笑みの三浦さん。ホントに音楽好きなんですねえ。その傍らで他人事のように感心しながら少し呆れた顔で笑っているはらださん。ホントにいいコンビです。

そんな、ありったけの情熱とそれぞれの才能と工夫を注ぎ込んだ今回のアルバム、決して聞き逃がせませんよ。

そしてライブも楽しみです。

まずは9月15日に『海の中道パノラマ広場』で今年初開催となる野外フェス『GOLD SOUNDZ 2018』出演。

「初めて開催されるフェスなんですよね。我々がぶちかますしかないですね」

GOLD SOUNDZ 2018

2018年9月15日(土)
開場 10:00 / 開演 11:30 / 終演予定 19:30
会場 海の中道パノラマ広場 (福岡県福岡市)

そして、秋から全国ツアーもスタート。

コン・パーチ! Release Tour シチュエーション・コメディ season3

11月11日(日)BEAT STATION
OPEN 17:00/START 17:30


三浦「今回、福岡は正直ちょっとえこひいきしちゃいます。というのも、ギターの三浦太郎の凱旋なのでスペシャルなことになるかと思います。ツヨシも来てくれることなので」
ひらた「俺のお父さんですそれ(笑)。
嬉しいですね。福岡でバンドやってたんですけどフレンズでまた帰ってこれるというのはまた一つ乗った感動があります。福岡地元でもあるんですけどまふれんずとっても大切な場所なのでまたライブで是非皆さんにお会いできたらと思いますよろしくお願いします]

一つの楽曲にここまでいろんな思いと工夫が施されているもんなんだと、音楽の聞き方が少し変わってしまいなそうなくらいたくさんの驚きがあった今回の音解。アツくアツく語るひろせさんとふんわり突っ込む三浦さんのコンビネーションも楽しく濃厚な30分。みなさんは楽しんでいただけましたか?

お二人、今日はありがとうございました。

  

フレンズ OFFICIAL WEB (外部リンク)

次週、9月1日はコレサワを迎えします。お楽しみに。

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストは先週に引き続いて東洋一のサウンドマシーン、クレイジーケンバンドの横山剣さん。 クレイジーケンバンド #CKB #CRAZYKENBAND

結成20周年。
その集大成でもありネクストステップでもある3年ぶりのオリジナルアルバム『GOING TO A GO-GO』を中心にクレイジーケンバンドの音世界をひも解いていたら時間も忘れて、そのお話に夢中になってしまいました。

2週目になって剣さんもすっかりリラックス。
剣さん自身の人生観も垣間見える素敵なお話をたっぷり聞くことができました。
どうぞお楽しみあれ。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


今日のドライビングミュージックに剣さんがピックアップしてくれたのはニューアルバムから5曲目「ZZ」。変わったタイトルですけども。

「そうですね。ま、かっこいいZZ=ジジイになりたいという願望ですね。
おじいちゃんになってもポルシェのタルガをぶっ飛ばすような、かっこいいジイサンになりたいなって理想はあるんだけど、でも現実は BBA=ババアをのせて(笑)家内を乗せてるのが現実なんだけどでもまあいいじゃんっていう。でもそんな毎日楽しいよって。これもまあ、歳を重ねることを肯定するソングですね

誰だってあんな大人になりたいと憧れる剣さん。
なんといっても歳を重ねることを楽しんでいる様子に憧れる方は多いのでは。

「僕も10代20代の時も30になったらどうしようっていつもイライラしてたけど。なんか逆になってきて良かったですよね。今は歳を取るのが楽しみ

先週もお話いただいた20周年でこれからの20年にまたワクワクしている。
そこにはお手本になるべきやんちゃな先輩たちとの交流も大きいようですよ。

「特にクラシックカーの集まりでいろんな方の話を聞いていると、みんなますますヤンチャになると止まらなくなっちゃう。堺正章さんが言ってたんですけど『仕事はやりがい、趣味は生きがい』そうなのかなあ、なんてだんだん思ってきて。

58歳だけど最年少なんです。 かつての日本を彩ったレーシングドライバー生沢徹さんとかミッキー・カーチスさんなんかも顔をだすんです。そういった方々の話聞いてるとずっと小僧でいられる。『お茶持ってきました!』なんてね(笑)新鮮なんですよね」

そんな、まさに今が絶好調の剣さん率いるクレイジーケンバンドの3年ぶりのオリジナルアルバムにして20周年記念アルバム『GOING TO A GO-GO』。

剣さん自ら「出したくて出したくてしょうがなかった」という新アルバム。

テーマは「支離滅裂」。
この間、ずっと新曲を作っていながら「できるだけ新しい曲を出したくて、結局今年生まれた曲が8割」なんだそうです。

そんなアルバムの中から、特に1曲剣さん自らピックアップしたのは、アルバムの中でもとりわけ剣さんのエッジの効いたボーカルと全体にクールで危険な雰囲気が魅力的なナンバー「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」です。

このナンバーにはすごい秘密が隠されていました。

「さっきも言ったように、今年の曲ばっかりの中でこの曲は異色なんです」

実は20年前に既にレコーディングを済ましていまして、1st アルバム『Punch! Punch! Punch!』に入る予定だったんですけど、どうも気に食わないと。でそのままデッドストック状態で放置してたんですけど。

なぜかというと当時サックス一本しかなくて。でもホーンセクションじゃないとヤなんだよなと思って、当時は5人編成で、キーボードもホーン・セクションもいないわ、パーカッションも女性コーラスもいない状態で。しょうがないから寝かせたんですけど、20年経ったんで蘇生させようかと。(新たに)ホーンやキーボードをトッピングして、20年の歳月を経て完成しました」

つまり声もドラムもベースもギターも20年前のまんまなんですこれ。
もう一度、イチから全部録り直しとか考えなかったんですか?

「そうですね。これに関してはチャレンジしようとすら思わなかったぐらいに。
この時の声って絶対出ないので。この時の、この空気感が音に入ってるわけなんですよ。こりゃもう、これを使うのがエージングというか。はい。 瞬間瞬間の輝き、煌めき、爆発を感じるということですね、やり直しちゃダメですね

音楽家としてのこだわりを感じますね。
20年前、環境も力量も理想に及ばなかった当時の横山剣さんの頭の中に鳴っていたサウンドが、時を経てついに完成させた、ということなんです。

「結構、恥を忍んで、というところもあるんですけど(笑)今だったらもっとこうやって歌いたいとか思うんだけど、でもそういったスケベ根性とか色気づいちゃうと良くなくなっちゃうってかね。

例えば、ベテランシンガーの方が代表曲をね、ためすぎて歌ったりとかちょっとメロディ変えちゃったりとか。そうじゃなくて正調で歌ってよ!ってリスナーの時の僕は思うんですよね。そういうのも含めてそのまんまが美しいと僕は思うんですよね」

もちろん過去のままではなく、新たに加える音は細部にまで剣さんのこだわりがほどこされていて、アルバムの中でもしっかり馴染んで、今の音楽になっています。

「頭の「せーの!」も20年前のドラムス廣石恵一の声です。今より気合入ってますね(笑)」

アルバム『GOING TO A GO-GO』はまさに結成20周年のクレイジーケンバンドの歴史も音楽も、隅々までぎっしり詰まっていて、さらに未来へと旅立つ一歩として相応しい思いの詰まったアルバムなんだなあと、思いますね。

そんな20年を迎えてなお今が旬!のCKBのライブ、これは見逃せませんね。

CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO

10月8日(月祝)福岡国際会議場メインホール(福岡)
11月1日(木)防府市公会堂(山口)

※詳しくはクレイジーケンバンドOFFICIAL WEB SITE (外部リンク)


2週に渡ってお届けしたクレイジーケンバンド、横山剣さんとの音解、いかがだったでしょうか?
人としての横山剣さん、音楽家としてのクレイジーケンバンド、それぞれの魅力にちょっとだけ迫ることができたのでは?と思います。

その語り口や所作、随所に覗かせる照れなどスタジオの横山剣さん、やっぱり素敵なオトナだなあと改めてファンになります。

最後に皆さんに向けて剣さんからひとこと。

「我々クレイジーケンバンド、20年やってましたけども、ここでちょっとハーフタイムの時間を取って、これからもバッと行こうとアグレッシブな気持ちになっております。是非確認しにライブ会場に来て下さい。皆様のご健勝を心より祈念申し上げます。イーネッ!」

  

次週、8月25日はフレンズを迎えします。お楽しみに。