番組紹介

放送時間: (土) 11:30-11:55
出演者:

こはまもとこ
香月千鶴(FM福岡)
ちん。(ラジゴン水担当)

提供:サウンドピュアディオ

毎週多彩なゲスト(ミュージシャン/映画監督/俳優/文化人 etc.)を迎えて、音楽トークを中心に展開する25分番組。「音」を「楽しむ」と書く「音楽」をゲストと一緒に紐解くことで、より深く、広く、音を楽しむことができるハズ。そんな音楽にまつわる私たちの知的好奇心を刺激する番組です。
メールのあて先は、 oto@fmfukuoka.jp まで。

SOUND PUREDIO presents 音解 これからの放送予定

  • 投稿日:
  • by

◆今後のラインナップ

5月19日 女王蜂
5月26日 NakamuraEmi 
6月  2日 藤原道山  
 

放送予定は諸般の事情により予告なく変更する場合もございます。予めご了承ください。
☆この後も続々注目のアーティストが登場。これからもどうぞご期待くださいね!

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストは女王蜂のアヴちゃん。 #女王蜂

アグレッシブで扇情的なサウンドとライブ、アヴちゃんが書く魂を削るような生々しくもう美しい歌詞と聞く人すべての心を揺さぶらざるを得ないボーカル。

謎めいていてそれでいて多くの人に寄り添う唯一無二のロックバンド女王蜂。

その生き様や社会や周囲に対する思いは多く語られますが、その音楽について自ら語ることは極めて稀ではないでしょうか。今日はそんなアヴちゃんに自身の音楽についてたっぷり語っていただきました。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


まずドライブミュージックに選んでいただいたのは宇多田ヒカルさんの「traveling」から。
「カラオケの18番なんて絶対ブチ上げる自信がある!(歌えば)カラオケボックスにアリーナが存在する」と笑顔で語る大好きな一曲だそう。

実は宇多田ヒカルさんはアヴちゃんに強い影響を与えるアーティストの一人。
確かにこの曲は、華麗でPOPでありながら、古語的な情緒あふれる日本語使いやきらびやかさとウラハラに全体に漂う切なさや虚無感など、女王蜂の音楽との共通性をたくさん見ることができます。

何もないっていうことを書くってすごい大事なことだと思ってます、結局無に帰すという。それをさらっと書くことですね。なんか切ないっていうところでやめておくっていうのも大事なことだと思う」


そんな女王蜂、先月25日におよそ2年ぶりのニューシングル『HALF』をリリースしました。
TVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』のテーマ曲として話題の楽曲ですが、いわゆるタイアップ曲とは随分異なるようです。まず原作の石田スイ先生とは仲良しだそう。

「原作のあとがきに『女王蜂を聞いている』って書いてくださって、それを観てお誘いしたら福岡のライブに来てくださって、そしたらライブ中に私たちの似顔絵入りの色紙を描いてプレゼントしてくださったんですね。大好き!って思って、ちょっとお話ししてこの人のことすごい好きだわって思って。 打ち上げ来ませんかって勇気振り絞ってナンパしたんです(笑)。

打ち上げの後もホテルの自分の部屋で部屋のみをしていろんなことを話しましたね。

一緒に飲んで話して語り合って自分の底というか大事にしてることをお互い話し合ってその情熱を閉じ込めることが出来たとは思います」

その結果、出来上がった楽曲は内容に沿うというよりは、同じ方向に向かっているような女王蜂らしい楽曲になりました。

「気に入ってる楽曲になりましたね。作品の根底にあるものと同じ血が流れてるんじゃないかなって思っています」

さて、そんな女王蜂の音楽についてさらに深く紐解くべく、アヴちゃんに1曲選んでもらいました。

ピックアップしたナンバーは、最近の代表曲でもあり人気曲の「金星」です。

怒りや無常観、情念とそれ故に求める愛といったモチーフが多い女王蜂が、ストレートなダンスビートに乗せて色々な事を乗り越えて高揚感と共に明日に期待しようと奮い立たせる1曲です。

この曲からちょっと変わったなと思います。クラブやライブハウスに遊びに行くような人間なんですけども。いつも一人で行ってわーっと踊って、明日もお仕事頑張って!という感じだったんですけどね。

この曲をかき始めたぐらいからお客さんの横顔だったりとか風景ですね、そこに何が見えるんだろう、日常生活でこの曲が流れたら嬉しいんじゃないかなあとか考えるようになりました」

自分の内面に向き合ってきたアヴちゃんが、自分を取り囲む世界や関わる人達の事を思って音楽に向かい合うように変化した転機の一曲。

「そうですね、(嬢王蜂が)続くと思わなかったんですよね最初は。始めた頃が楽器を初めて1年位でデビューしちゃって(!)、どんどんどんどんお客さんが知ってくれて 期待値が上がってく中で自分達には武器がないじゃないですか。でも、無理矢理血を吐いて、身を削ってやってきたんですけど、それも今、あの時に走ってたからこそ今がある。そんな風に思えるようになったのがこの「金星」あたりからかなと思います」

アヴちゃん自身「戯曲を1本書くような気持ちで書いていた」という初期からより肩の力を抜いて、広い視野で書くようになった「金星」。お話を聞いていてアヴちゃんと音楽の独特の関わり方があることがわかってきました。
その一つはアヴちゃんのお話によく登場する言葉「武器」。

自分の大切な表現でもあり自分たちが周囲と戦い道を切り開くためのツールでもある音楽。単に情緒的でも単に理性的でもない、それらがないまぜとなって今の女王蜂の独特の音楽ができあがっています。

「楽曲が生まれた背景としてなんですけど、レコード会社の人から戦える曲はたくさんあるんだけど、また潮目が変わるような曲が欲しい言われた時に、今第一線で戦っているバンドの皆さんの音楽をたくさん聞いていろんなバンドがあるんだなあとか、ダンスやシティーポップやオシャレな音楽なんかも聞いて、だけどやっぱり自分が実用的にずっと聞けるものじゃないと意味ないなあと思って」

そこでアヴちゃんのもっとも心揺さぶられる一瞬で楽曲に命が吹き込まれました。

「クラブに行って、踊り疲れて外に出ると朝焼けに紛れて金星が見えたらアガるなあって。歌詞もロマンティックかつ、ちょっと切なさもありますよね」

これって、恋愛の歌のようでいてこれは、自分自身に向かって呼びかけているような気もします。

「そうですね。そんな風に表裏一体なところを私は書いていけばいいのかしらとか思い出した頃の曲ですね」

女王蜂といえばファルセットの使い方にも特徴があります。これまでは二面性を表現する内向きで劇的な手法として使われることが多かったのですが、この曲ではまた違いますね。

「アンドロギュノス的、両性具有的なんですけど、ファルセットで天を突き抜けるような開放感を感じてもらえたら。『自由』って言葉も不自由だったりするんですけど、音楽って開放してくれるところもあると思うのでなんかそこらは大事にしたいところです」

実はバラしちゃうと、アヴちゃんは音楽の話をするのがやっぱり苦手なんです。
音楽は楽曲を聴いてもらって感じてもらうことが正解。それをあえて造り手が細かに説明するのはかっこ悪い。そんなシャイでスタイルとしてのこだわりがあるんです。

だけど、そんなお話をしつつも、精一杯番組のために語ってくれて、とても感激したことを記しておきます。

だからアヴちゃんが実は「金星」の聞き所について、ホントに言いたいことってこれだけなんです。

「多幸感!それが一番の音楽!」

福岡のライブは残念ながら終わったばかりですが、DRUM LOGOSで行われたライブはかつての攻撃的で挑発的なステージから、無数のジュリ扇(女王蜂ライブの定番応援グッズ)舞い踊る会場で激しくも優しく、そして多幸感溢れるステージで魅せてくれました。

今回の音解は女王蜂の音楽を知るきっかけの一つになれたかなって思っていますが、いかがだったでしょうか。ちん。は女王蜂のファンでもありかなり強引に色々お話をぶつけてしまって、そんな質問にも一所懸命応えてくれたアヴちゃんに深く感謝です。

最後にアヴちゃんからみなさんへ。

「今とても好きなことを、好きな人たちに聞いていただける、という素敵なゾーンに入っています。好きになったら色々調べていただいて、まあギョッとしたりヤベえって思ったりもするかもしれませんが、実際ぎょっとするしヤバイので是非ともライブなんかに遊びに来ていただけると嬉しく思います。ライブハウスで待ってます!」

ライブハウスでお会いしましょう。

女王蜂 公式サイト (外部リンク)

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストはNothing's Carved In Stoneの村松拓さん。

エモーショナルなギター・サウンドと綿密なサウンドで魅了しつづけ、コンスタントにアルバム制作と精力的にライヴ活動を展開して今年10周年。

「まあすごい前向きなバンドなんで、みんな集まって曲作りましょうとか、もしくはツアーに回りましょうかってなことをずーっと続けてるバンドなんです」

そんな風にスラっと笑顔で語ってしまう村松さんですが、決して簡単なことではありません。

今日は10年のキャリアを重ねてもなお前進し、深化している音世界について伺うことができました。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


まずは村松さんセレクトしたドライビングミュージック、ファウンテインズ・オブ・ウェインの『リーヴ・ザ・バイカー』でスタート。

「ファウンテインズ・オブ・ウェインものすごい大好きで最初からずっと聞いているんです」

今のNothing's Carved In Stoneのサウンドの時にテクニックの集大成のような変則的なナンバーがあっても、根底にはやっぱりストレートなロックへの愛も感じられますもんね。

原点はロックですから。 みんな本当にロックがあるから、集まっていろんなジャンルの音楽を横断しても収まるんですね。ちょっと熱がこもってると言うかね哀愁があったりするのは、いいとこなんじゃないかなと思って」

ファウンテインズ・オブ・ウェインの十八番である独特の切なさは確かにNothing's Carved In Stoneの音楽の中にも感じられますねえ。

さて、アルバムごとに変化しながら走り続けたNothing's Carved In Stoneの10年。
御本人はどのように思っているのでしょうか。

「なんだろう。すごい駆け足でやったと思うんです。あっという間で。 普通のバンドだったら9枚とか10枚とかアルバム出して、もう解散してもいいくらいですが(笑) この間ツアーもたくさん回ってますし曲は100以上作ってて、普通のバンドが20年ぐらいかけて経験すること10年に凝縮して経験したなって感じがあるんです。酸いも甘いも味わって、自分たちの身ももたくさん削ったと思うし、感謝すべき人たちも沢山出会えて、色々変化もあったけど成長してきたなっていうふうに思います」

そんな10周年のNothing's Carved In Stone、およそ1年2カ月ぶりの9枚目のオリジナルアルバム『Mirror Ocean』をリリースしました。

今までのNothing's Carved In Stoneの世界をさらに推し進めるような大きな世界観のアルバムです。

「エモさみたいなのは今回かなり凝縮されていて、自分たちはギターが作るグッドメロディーとその中にあるエモさとメンバーのプレイアビリティと激しさ、冷たさみたいなところが持ち味だと思っているんですが、例えばそこらがギュッって(タイトルチューンである)『Mirror Ocean』には詰まっています。

あと大陸的でUSオルタナ、これも俺たちのルーツなんですけど、本当にジャンルレスですけどちゃんとNothing's Carved In Stoneの音でまとまっているパワーのあるアルバムができたと思ってます」

そんなアルバムから代表的なナンバーを1曲選んでもらいました。
雄大でアンビエントな雰囲気もあるシンプルで美しいナンバー「シナプスの砂浜」。ちょっと意外な選曲?と思いきや、この曲にはみっちりと工夫が仕込まれていました。

「まず音の話からさせてもらいたいんですが、すごくシンプルな曲なんですが構成がちょっとね。普通の曲よりは変わっているんです。 A メロ(歌い出し)の「合わせ鏡♪」から、サビに行くまでのメロディーがあるんですけど、そこのメロディーがのってる部分の、例えば普通だとCのコードを2小節弾いて、その後 Em7(Eマイナーセブンス)を2小節やって1セット、それを4回繰り返したらサビに行きますよ。みたいな構成が一番作りやすいんですよ。

それをしないでCのコードが2小節、Em7が1小節、をひとくくりにしてそれを4回繰り返して、その後にDのメジャーのコードを1小節だけいくみたいな変則的な進行になっているんです。でも、これAメロ聞いてもわからないんですよ

マニアック!実際に聞いてみても私なんかだとぜーんぜんわからないんです。

「そうそうそう。それをいかにメロディーとブレークとか打ち込みのセンスとかで、どうやって聞こえないようにするかみたいなこだわりがあって (笑)」

聞こえ心地はシンプルでスムースな中にもこんな隠れた工夫があって、気づかなくても結果、楽曲の細かなニュアンスを高度に表現しているんですね。

「あとはでっかい音で密閉されたところで聞いてほしいんですけど、打ち込みの音がかなりはいってます。そして、『Strangers In Heaven』(2014年リリースの6thフル・アルバム)の「キマイラの夜」という曲があるんですけど、その歌をサンプリングして、打ち込みの音に入れてくれてるんですよ

ええええ、これも気づかないですねえ。

「実はマニピュレーターって打ち込みをやってくれる仲間に、これこれこういう音っていくつもいくつも指定してこれで完璧だよっていう形でお願いしたんですけど、上がってきたらさらにそんな事を足してくれて。もう5人目のメンバーみたいな形でアイディアをくれたもので。そのおかげで世界観が完璧になったんですよ」

メンバーのみならず全員でいろんな工夫やアイディアを込めたのがこの曲であり、このアルバムということなんですね。

変則的でカッコイイ楽曲を超絶テクニックとボーカルで圧倒する音楽から、シンプルで美しい音楽へと深化。と思いきや、実は気づかれないレベルまで突き詰めて高度に進化しているとは。実は一番実験的な楽曲なのかも。

「変態ですね(笑)」
変態です!でも最高です。

そんな素晴らしいアルバムを発売したNothing's Carved In Stone。ライブもぜひ見たいところ。

実は福岡でのワンマンライブは先日終わったばかり。
ちなみに、アルバムの好調ぶりをそのままに本当にめちゃめちゃカッコイイステージでした。

見逃したみなさんに朗報です。
今度はTHE BACK HORNの福岡ライブに対バンとして、また福岡にやってきてくれますよ。

THE BACK HORN 20th Anniversary「KYO-MEI対バンツアー」〜情景泥棒〜<福岡公演>  

出演:THE BACK HORN / Nothing's Carved In Stone
2018年5月13日(日)福岡DRUM LOGOS
open16:15 / start17:00


「僕が日本一敬愛するボーカリスト山田将司さんの対バンなんで、僕はとてもとても嬉しいしめちゃくちゃ気合が入っているのでぜひ見ていただきたいです」

さらに今年は10月にバンド初の武道館公演も控えています。
初めての武道館はちょっと意外な気もしますね。

Nothing's Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN

2018年10月7日(日)日本武道館
開場 16:30 開演 17:30


「10周年でもなければ、武道館でやらしてもらうこともなかったかなっていう印象なんですけど、ファンの人達と周りの人達をちょっと喜ばせたいなっていうのもあって今回武道館でやらせてもらうことになりましたね。はい 」

村松さんが加入した頃、周りは全員年上で知名度も技量もスーパー級のメンバーぞろい。その中で日々着実に実力と存在感を増して今や唯一無二のボーカリストとなった村松さん、その成長がそのままバンドの変化につながっている、そんな物語も想像できそうなのですが、目の前の村松さんは堂々としてフロントマンとしての自信にあふれています。

的確に自分たちの音楽について解説してくれる村松さんは、本当に楽しそうでNothing's Carved In Stoneが今まさに充実期にあるんだなあと思わせてくれました。

「今年は10周年ライブをやったり面白いことをやってですね、たくさんファンの方と楽しんで行きたいと思ってますね。武道館もちょっと遠いですけど10周年ということで多分ナッシングスの中で一度しかない時だと思いますんで一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです」

そういって笑う村松さん。
本当にありがとうございました。

Nothing's Carved In Stone Official Website (外部リンク)


次回5月19日は女王蜂 をお迎えします。どうぞお楽しみに。

5月5日のゲストはスキマスイッチです。

  • 投稿日:
  • by

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストはスキマスイッチ。大橋卓弥さんと常田真太郎さん。 #スキマスイッチ

結成したのは1999年、今年でデビューして15周年。

極上のメロディとサウンド、背中を押してくれるような応援歌も、胸が締め付けられるようなバラード。唯一無二の世界を作り続けるお二人。

スタジオにスッと入ってきて、目の前に並んでやわらかに微笑んで座っているお二人からは、人生の多くを共に過ごし、様々なことを乗り越え共に戦って来た関係ならではの絶妙な空気感が感じられます。

そして今回の音解は通算7枚目のオリジナルアルバム『新空間アルゴリズム』についてじっくりお話を聞かせていただく中で、今の充実した関係性もちょっとだけ垣間見ることができました。

今週のお相手はこはまもとこです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


今年3月にリリースされた『新空間アルゴリズム』。
リアレンジアルバムの制作や対バンツアーなど3年の活動を経て、レコーディングされた珠玉の10曲。そして、15周年を迎えての今回のテーマは「原点回帰」。

「デビューした頃って、本当にただ必死に自分たちがこんな音楽あったらいいな、っていうものをテクニックも知識も経験値もなかったのでむしゃらに作っていて」

大橋さんのお話はまさにそんな原点の「初期三部作」の頃からスタートしました。

「前作のアルバムでそれまで積み上げてきたものを全部駆使して作ったので、じゃあもうこれはタイトルも『スキマスイッチ』とつけたんですが。それ終わったら本当に全部空っぽになっちゃって」

「そこからしばらく、お互いちょっと違う活動をしてきて出てきたのが今回の『原点回帰』。

当時の情熱だけで作っていた、そのマインドでアルバム制作に取り掛かったら面白いものができるんじゃないかな、ということで取り掛かったんです」

タイトルも漢字+カタカナ『新空間アルゴリズム』で、初期の頃を思い出させてくれますね。

それを受けて常田さんもアツい制作時の様子を話してくれました。

「楽しかったですし、やっぱり今回、難しくならないように、テクニカルにならないように、言葉でお互い『ちょっと今難しくなってない? 』とか『初期はそんなことやっぱり思わなかったよね』とかいう、そういう会話もしながら密に喋りながら作ったので楽しかったですし、スタジオのテンションも高かったような気がします」

そんなアルバムの中からお二人が象徴的な一曲として選んでくれたのは、ピアノだけのシンプルなバラード「未来花(ミライカ)」です。

「これはアルバムに収録するか最後の最後まで悩んでた楽曲だったりするんです」と大橋さん。

2015年頃にこの曲のデモが出来上がって、その時すごく手応えがあったので大事にしたくて。二人の中でこれは一番いいところで発表したいな、と思っていたら(タイミングを図りすぎて)いつまでも出し惜しみしちゃってるようなところがあったんですね。

今回のアルバムの制作に入る前にも『未来花』みたいな曲が今回のアルバムに収録されたら全体がぎゅっと締まるよね、って言って『未来花』みたいな楽曲、『未来花』みたいな楽曲ってずっと言ったので(笑) 。だったらもう『未来花』を収録するのはこのタイミングでしょ!ってことで収録したんです」

満を持して世に出すこととなった大切なこの曲、歌詞はそこからつけ始めたんだそうです。

「悲しいバラードがいいのか、あったかいバラードがいいのか。二人とも思ったのは、大きな世界観のピアノ一本で素朴なアレンジではあったとしても『素朴な曲にしたくない』。歌詞の世界観も大きなテーマを歌えたらいいなと二人で話をしましたね」

ピアノだけのシンプルなナンバーだけに、そのアレンジもこだわりつくしました。常田さんのお話もやはり「素朴なだけの曲にしない」ことにこだわったと言います。

「例えばコードを弾いて歌が乗るという、それが普通の伴奏だと思うんですけど、そうではなくてピアノもやっぱり歌と同じように歌っていて、フレーズを弾いていているけど邪魔はしないという。 今回派手な曲も入ってますけどね、そういう曲と並べても素朴になりすぎないように。

鍵盤のタッチとかも本当にこだわって弾かないと、歌の裏側に流れているメロディーとか邪魔しちゃったりとか逆に消えすぎちゃったとか、色んな所を本当に繊細に。そう考えながら、作りながら聴きながら音を組み上げたというのはありますね」

そうやって作り上げた楽曲は、大橋さんの歌と常田さんのピアノという欠かすことの出来ないつの要素が呼吸をするように、お互いの息づかいを感じるように溶け合った「原点回帰」にふさわしいナンバーとなりました。

「そうですね、これが僕らの原点というかね、一番シンプルでありますけど最大の形態です


そういえば『未来花』っていうタイトルも、未来ってやはりこう花が開いていくように明るいものであってほしいという思いが伝わるようなタイトルです。
そこから歌詞のお話も聞かせてくれました。

「たとえば『心に一輪の花が咲く』っていう表現を、昔の僕らだったら違う言い方をしてたかもしれないんですよ。 ストレートすぎるなあ、とか、どっかで聞いたことあるなとか。でもやっぱり最初に思ったらそれは歌詞にしようよって。初期衝動というんですかね、パッと思ってそれが一番いいと思ったら今回はまず形にしようというのがテーマでしたし、タイトルとして花を使いたいなったこともありました。本当に結果としてはすべてはそういう風に繋がっていたんだなと思いますね」

素敵なお話。きっとラジオの前のみなさんも歌詞カードを見ながら聞いてくれるんじゃないでしょうか。

「本当に嬉しいですね。僕たちの思いが少しでもたくさん届くといいなと思って書いてますし、一つでもこれでいいやっていう言葉を入れたりはしてないつもりなんで、ぜひ歌詞カード見ながら聞いていただけたらいいなと思います」

ただいまお二人はツアー中。
福岡でも間もなく開催されます。

今回のツアーは単なるツアーではなく重要な意味もあるそうです。


SUKIMASWITCH TOUR 2018 "ALGOrhythm

5月9日(水)会場:福岡サンパレスホール
開場 18:15 / 開演19:00

スキマスイッチ OFFICIAL WEBSITE (外部リンク)


「ツアーまででアルバム完全に完成みたいなところもあって。というのもレコーディング中にいろんアイディアが出てくるんですけど『あ、それはツアーにとっとこうよ』みたいな会話もすごく多くて、ツアーまでやって『新空間アルゴリズム』というアルバムが本当の意味で完成するのかなってところもあるので、完成する瞬間をみんなと一緒に迎えられたらいいなと思ってますね(大橋)」

「ライヴもアットホームでやってますので福岡もすぐですが、例えばちょっと小旅行がてら8月まで各地でやってますんで、もしよろしければ足を運んでもらえたらいいなと。よろしくおねがいします(常田) 」

「新曲と今までの楽曲も加えて、仕掛けもたくさん考えています。とにかく全国を回るのを楽しみにしていて。 だからライブ会場に是非遊びに来ていただいて皆で音楽を楽しみたいと思います。よろしくお願いします」

お二人の音楽への情熱。それは溢れ出るような密度の高い言葉の数々にしっかりと刻まれていて、そんな中でとりわけ今回はお二人が膝突き合わせて、しっかりと言葉を交わし思いをぶつけ合うことで作り上げられたことが強調されていたように思います。

様々なことを乗り越え、お互いの存在を確かめあいながら、今、お二人の関係性もがむしゃらに音楽を追求してきた頃の原点に回帰したのかな。そんな風にも思いました。

今回の音解で紐解かれたのは音世界のみならず、築き上げられたちょっと羨ましいような信頼関係だったのかもしれませんね。

  

次回5月12日はNothing's Carved In Stone をお迎えします。どうぞお楽しみに。

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストは先週に引き続きバンバンバザールのお二人。

福島康之さんと黒川修さんの二人。      
考えてみるとゲストでもありますけど、お相手のこはまもとこも加えてエフエム福岡のパーソナリティ2人がいるわけですし、福島さんも勢いヒートアップ。番組史上、かつてないほど笑いいっぱいの賑やかな音解となりました。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミア会員 の方が聞くことができます)


今週は黒川さんが選曲したドライビングミュージック、Valentin Elizaldeの『EL VENADITO』からスタート。こはまも初めて聞く曲です

この曲には、今よりちょっと若きお二人がかつて訪れていた西海岸での思い出エピソードがありました。

「2004年からしばらく、僕らバンバンバザール一同で東京でレコードショップをやってたんですね。でそのころ買い付けにアメリカの西海岸よく行ってて。ラジオを流しながら『最高だね―』なんて。ラジオで流れるスペイン語が博多弁に似てるね―なんつってスペイン語に親近感をもってたんですけどね」

「その耳でフリーマーケットに行ったら。めちゃめちゃご機嫌なスペインの音楽が流れてくるんですよ。でこれは何だっつったら北島三郎みたいなおじさんが、『おいハポン』と、『お前コレ知らんのか』と、『バレンチンエルザルデに決まっとるだろうが』と(笑)。
そのおじさん(北島三郎さん似)から買って それ以来車の中でこれを爆音でかけながらアメリカ中駆け回ったんですよ」

爆笑のエピソードのフル版はぜひタイムフリーで。  

この曲について黒川さんから一言
「日本ではほぼ手に入らないと思いますが、ぜひどうぞ!」

さて先週に引き続いて5年ぶり15枚目の新しいアルバム「えとらんぜ」から、今日は1曲ピックアップしてお二人に紐解いていただきましょう。

この一曲からバンバンバザールの音楽すべてに通じる楽しさの秘密、お二人の信頼関係、そして音楽に対する向き合い方まですべてが見通せる楽しいお話がたくさん聞けました。

選んでくれたのはこのアルバムの1曲め、カラフルで楽しくちょっと切ない「Stranger(feat.Inotomo)」です。

こはまも車の中で聞いて「ストレンジャ~♪」から始まる美しく切ないボサノヴァナンバーで、大変お気に入りだそう。

そんな中で気になる点も。
クレジットを見ると「Stranger 日本語バージョン」という表記を発見。じゃあ日本語バージョンじゃないストレンジャーがあるんですか?

「実はですね。このストレンジャーのバックトラックはもう10年前に録音したものなんですよ」と福島さん。

この曲にまつわる数奇な運命について披露してくれました。

「ブラジル人シンガーのですねCatiaさんという女性シンガーがいらっしゃるんですけど、その人が10年前ぐらいに来日した時にセッションで作った曲なんですね。日本語で書いたんですが、外国人の方が日本にやってきて迷子になる、みたいなイメージの曲ですってことを伝えてポルトガル語で歌ってもらったんです」

そうしてサウンドができあがったものの、
「出来上がった時点で、これバンバンバンの曲だろうか?ってなったんです当時」。

当時のお二人にはなんとなくフィットしないということで、そのままに。

それから10年。

拠点も福岡に移り、今回のレコーディングの間のツアーで、かつて住んでいた東京で宿泊。まわりが外国人だらけで所在なさや違和感を覚えた福島さん、ハッと気づいたそう。
「この感じ知ってる!」。

「東京に住んでたから東京に泊まることはなかったじゃないすか。だから、東京ってのやっぱこういう町なんだなっていう風に思ったりもしたし、実際、地下鉄に乗ったり空港に向かったりとかする光景のようなものはもともと思いっきり自分が書こうとしてた世界だったんですね。
福岡でもストレンジャーになってるし東京でも福岡から来てる人間になってるし」

それから、その日の夜に日本語の歌詞を手直してすぐに録音したのだとか。

ずいぶん長い間お休みさせていた楽曲は、福岡に移り住むことで今回のアルバム全体のテーマを象徴するような一曲に成長したわけですね。

ちなみに今回Catiaさんがフィーチャリングしたナンバーも「ポルトガル語バージョン」としてStranger (feat. Catia Werneck) by Ban Ban Bazar」で世界デジタルリリースされました。

さらにこの曲はサウンドにもたくさんの秘密が。

黒川さんが大正琴を弾いている?

「そーなんですね。あのね、ツアーで車で日本全国回るじゃないですか。その時にリサイクルショップあるじゃない。あそこに入って掘り出し物さがすのが好きなんですね、楽器とか。 プロミュージシャンとしてあるまじき行為ですけど(爆笑)」

楽器屋さんじゃなくって?

「まともな楽器屋さんには行きませんよ。 だってまともな楽器しかないですから(笑)!以前ちょっとイベントで見かけた大正琴アンサンブルがすごく気に入っていたんですよ。知ってます?ベース大正琴とかソプラノとか。普通に買うと結構するんですけど、ハードオフのジャンクコーナーなら2000円です(笑)」

改めて聴いてみてくださいね。冒頭からこのナンバー、ハードオフの大正琴大活躍です。

「2000円のソプラノ一本と2500円のテナーその2本が入ってます!」

ちなみに尺八もジャンクコーナーで買ったそうですが、結局キーが合わずに断念したとか。
このあたり、面白話でガンガンスタジオを沸かせていますけど、アーティストとしてありきたりでつまらないことは絶対しないぞという、いかにもバンバンバザールらしいこだわりも感じられるエピソードでもあります。

そして、それもお二人の間の信頼感と阿吽の呼吸があればこそ。

そうですねえ。日本と世界とか、福岡と東京とか、オリエンタルなものと南米のものとか、異国のものを混ぜたいなという気持ちがあったので(大正琴も)「リーダーちょっと前買った大正琴入れてみません」っていったら「いいね」って言って終わりで」

そんな並外れた遊び心も結局、聞けばわかるようにとろけるような美しいナンバーの強い武器にしてしまうんですから、見事です。

大正琴だけではありません。

この曲、その大正琴のフレーズからはじまりますが、その後からは南米のカヴァキーニョっていう小さな弦楽器に変わったり。スキャットはInotomoさんじゃないなあ、と思ったら実はオリジナルのCatiaさんの声だったりもします。

一聴しただけでは、ただ美しく軽快でサウダージ感覚あふれるこのナンバー1曲の中に、こんなにいろんな工夫と遊びが込められているんですね。

◯ッホタッチで描かれた美しくて洒脱な中洲の風景があしらわれたジャケットもそう。
パリの路地にあるカフェテリアかと思いきや、中洲の屋台街ではないですか。

隅から隅までバンバンバザールの工夫と魅力が詰まったアルバムなんです。

佐賀城下Jazz Festival 2018

2018年5月3日(木)~ 5日(土)
※バンバンバザールは5/4(金)の出演です。
詳しくは公式WEBでご確認を。


2週に渡ってお送りしたバンバンバザールの音解。 いかがだったでしょうか?

周囲を笑顔にせずにはいられないお二人、絵インターテインメントとしての音楽の楽しさが人としての魅力とイコールなんだなと思わされました。

と同時に、その裏にはアーティストとして一貫して一筋縄ではいかないこだわりの音楽性と、驚くほど客観的でクールな視点が流れていることもよく分かりましたね。

たくさんお話していただいてありがとうございました。

「そうですねえ。つい喋りすぎてしまいますねえ」と福島さん。

黒川さんも、またぜひスタジオに来てくださいね。
またというのは来週のことですか」

...さすがなんであります。


BanBanBazar☆Website (外部リンク)

来週5月5日は、スキマスイッチを迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。


毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストはバンバンバザールのお二人。
1990年結成。ギタリスト吾妻光良氏に見いだされ、1stアルバム「リサイクル」でデビュー。幾多の変遷を経て現在は福島康之さんと黒川修さんの二人で、ジャズ、ブルース、ジャイブ、フォーク、カントリーなど様々なルーツ・ミュージックをベースにしながらユーモアたっぷりで独自のグッドミュージックを送り続けています。

そして現在は拠点を福岡に移し、大名の拠点でもある拠点「LIV LABO」の運営や、北九州出身の黒川さんはエフエム福岡で「GOW!」はじめパーソナリティとして大活躍...は、福岡の皆さんはもうご存知ですよね。それぞれも多方面で活躍中です。

いつもとはちょっと違った雰囲気の中、勝手知ったるスタジオでなじみの顔合わせ、リラックスしてはじまりましたがそんな中でもバンバンバザールの音楽について深い部分まで聞くことができました。みなさんもタイムフリーでぜひお聞きくださいね。

お相手はこはまもとこです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミア会員 の方が聞くことができます)

  
バンバンバザールは、今年3月に5年ぶり15枚目にして、福岡に拠点を移して初めての新しいアルバム「えとらんぜ」をリリースしました。

「5年ぶりってなんか大御所みたいですけども(笑)、できないんですよ曲が。頑張って頑張って絞り出したアルバムで今回は」と、笑う福島さん。

 
もちろんこのアルバム、そんな苦労?苦悩?は一切感じさせない、日常で思ったことや感じたことがふっと出てきたような素敵なアルバムだとこはまは感じました。

「実際、音楽的なことよりは考え方というか。作ってる間に、今までやってきたことは一旦置いておいて、ここでの生活の変化とかそういうものがじわっと出るようなものじゃないと。とは何となく頭の中にあったので」

美しいジャケットを始めとして「福岡」に対するこだわりも感じられます。ここまで黙ってニコニコうなずいていた黒川さんもそれを受けて、
「東京のメンバーもいて、彼らをライブツアーの時にちょっと延長戦で残ってもらって、福岡で音を閉じ込めてもらったり、曲が作り上げられるバッグボーンも福岡だし、福岡で音が積み重ねられて福岡で作り上げられたものですね」と続けます。まさに「メイドイン福岡・博多」。

気になるタイトルは「えとらんぜ」。
「見知らぬ者」とか「よそ者」というような意味です。

アルバムの惹句には「どこに暮らして居ても、哀しくて楽しいね。終わりなき人生路のサウダージ。」という一文が添えられています。

どこに居ても感じる、郷愁のような楽しさも悲しさもないまぜになったまさにサウダージ。

「東京にいても僕は居心地が悪いなーって思ったりしたこともあって、福岡にいてもやっぱりなんかちょっと違うんだなあ、とか。そんなことをなんか曲にできないかなみたいなところです」

すかさず黒川さんが「居心地が良いはずの家もね。厳しいときもあるし、いつもの近所の公園だって寂しい所はあるでしょうねリーダー」と一言添えます。

「毎日の中で自分が今どういう風に心が動いてるかなみたいなことをちょっと捉える時間としてはなかなか良い時間頂いたなと思って、福岡に来て」

そんな情感豊かなタイトル通りに、色々な形の音楽の楽しさに溢れたこのアルバムをこはまは大絶賛。とりわけフォーキーな「BUDDY BUDDY」がお気に入り。

長年連れ添ったパートナーとの長い時間を過ごして出来上がった微妙で得難い距離感と思いを繊細に歌って、暖かい気持ちになるそんな詞も素晴らしいです。

「なんか時間がたってきて友達との関係とかも、口では説明できないかんじとかあるじゃないですか。で、なんとなくたまには話そうか、とか時間過ごそうか、ってことを歌にしたかったんですね」

そういう意味ではパートナー黒川さんのお話も聞きたい所。
バンバンバザールでは基本的に福島さんが作詞作曲をしています。それらを受け取る黒川さんは福島さんが今思っていることなどを感じたりしますか?

毎回 どの曲を聴いても俺のことを怒ってるか、俺のことを仲いいと思ってくれてるんだろうなと思って聞きますよ。少なからず自分に向けてるのかなとか『BUDY BUDY』は違うと思いますけど(笑)ファーストファンとしては誰よりも最初に聞かせてもらうので感激していつも演奏してます。そのときの感激が入るように演奏を心がけてますね」

そうやって福島さんの手により作られた楽曲は、黒川さんやその時のメンバーも加わって生命が吹き込まれます。その過程もちょっと変わっているようです。

いつも『いきなりやるよ』って言ってはじめますね。練習とかプリプロでこんな曲やりますからとかキーはこうです、みたいなことは誰にも知らせません(笑)」
「準備を許さないバンドなんですよ(ニコニコ)」と黒川さん。

えええ。

「自分たちが楽しいってことをまずメインにしたいので、やり尽くしてつまんなくなるよりはドキドキしながら知らないでやったほうが面白いんじゃないかっ、て思ってる節があるんですよね」

今回の「えとらんぜ」でも「マフラー」はそうやって作られたナンバーだそう。

結果、メンバーがヒートアップして、福島さんの最初のイメージとは大きく変貌してしまったそう、それもまたよし。音楽って不思議です。

そういえば時にエキセントリックに語る福島さんと、いつもすかさず柔らかく受ける黒川さんのコンビネーションもまたよくできたセッションのようです。目の前で観ているだけでも楽しいですね。

結成以来一貫してライブ、生の音楽にこだわってきたバンバンバザール。今もツアーで全国を飛び回っています。ぜひ生で感じて下さい。

近々では、5月3日から5日までの間に開催される「佐賀城下ジャズフェスティバル」に登場です。

佐賀城下Jazz Festival 2018

2018年5月3日(木)~ 5日(土)
※バンバンバザールは5/4(金)の出演です。
詳しくは公式WEBでご確認を。

「なんかこうやって九州県内のいろんなイベントに呼んでもらえるようになったのは本当に嬉しいですね。地元枠として声がかかるようなってきたので最近は
「だいぶ気軽な感じですよ『空いとるっちゃろ?』みたいな(笑)」

楽しそうに笑うお二人。
まだまだ、お話は尽きません。

来週もお二人をスタジオにお迎えして延長線。
さらにバンバンバザールの音世界を紐解いていこうと思います。

BanBanBazar☆Website (外部リンク)

来週4月28日は、ひきつづきバンバンバザールを迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストは先週に引き続き5オクターブのマリンバを自在に操り、唯一無二の世界観でメロディを奏でるマリンバ奏者、SINSKEさんです。 相手は今週も香月千鶴です。 #SINSKE

どんなお話でもよく通る低めの声で楽しそうにお話してくれるSINSKEさん。
マイクの前の香月にも、ラジオの前のリスナーさんにも楽しんでもらおうと気遣ってくれているのが伝わってきて、気がつけば凄く安心して楽しくお話できるそんな素敵な方です。

今週はまず改めて、知ってるようで知らないマリンバについて教えていただきました。皆さんは御存知でした?

「基本的にはローズウッドという木材の鍵盤があってその下に金属のパイプがついてます、鍵盤を叩くとそのパイプで音が響きが拡張されて出てきます。それを叩くバチは『マレット』という頭の先にゴムの中央を丸い毛糸で巻いたものですね。ぼくの使っているもので幅、2.7mくらい。このスタジオではいっぱいいっぱいです(笑)」

コレ先週の組み立てたお話ですね。

「マリンバの源流を辿ると本当に奥深い歴史があって、アフリカを中心として地面に穴を掘ってその上に木の板を置いて、地面の穴の中に音を響かせたことから始まった楽器とも言われております 。

諸説はありますが基本的にはアフリカ発祥の木琴バラフォンがもとではないかと言われております。
なんせ言葉が誕生する以前から物を叩いて音を出す信号から始まっている楽器と言われていますから、人人間の本能的な部分に訴えかけてくる楽器なのじゃないかと思っております」

なんと人類の歴史はマリンバに連なる鍵盤打楽器の歴史でもあるのですねえ。
壮大なお話にちょっとびっくり。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミア会員 の方が聞くことができます)


さてSINSKEさんといえば、ソロ活動と平行して、藤原道山さんを始め、女性マリンバ奏者、三村奈々恵さんとのデュオ活動にも精力的に取り組むなど、様々なミュージシャンとコラボレーションやジャンルに捕らわれない楽曲やアルバムへの参加など様々な取り組みも積極的に行っています。

「マリンバは楽器としては確立されて100年ぐらいで、楽曲自体もまだまだ少ないですから、自分の活動のベースとしてコラボレーションやカバーをして、こんな曲がマリンバで生まれ変わるんだと思って頂けるようなトライを常にしていますね」

そんな「トライ」の中からSINSKEさんご自身に一曲ピックアップしていただきました。
その曲は「hurry go round (hide TRIBUTE -Classical SPIRITS-)」。

言わずとしれた1998年に急逝したX-JAPANのギタリスト、そのソロとしての代表曲です。

SINSKEさんとX-JAPAN?
意外な組み合わせと思いきや、実はSINSKEさんにとって思い入れの深いアーティストでもあるんだそう。

「僕、実は中高時代、吹奏楽だったんですが同時にいろんなバンドに呼ばれて演奏しておりまして、結構バンド小僧だったんです

と笑いながらバンド小僧をカミングアウトです。

「色んなジャンルの曲を演奏するんですけれども、その中でXですね。
まあ、(演奏は)難しいんですけれどもかっこいいじゃないですか。で、Xもかっこいいんですが、hideさんのソロのかっこよさって言うかな。すごくサイケデリックで鮮やかな音世界と言うか。あんまり音を知らない子供にとってみたらちょっと大人のいけない世界を見てしまったような。そんな刺激を感じたのをすごく覚えています」

と、思いがけず愛を爆発させるSINSKEさん。
そんな気合を入れてマリンバでトリビュートした楽曲は、原曲とはまた異なってとてもカラフルで少しトロピカルな雰囲気の楽しいナンバーになりました。

「マリンバっていう楽器自体が、東南アジアでも結構昔から演奏されていて、鍵盤が金属になったりいろんな楽器の名前変わったりいうのはあるんですけれども、スチールパンとか、ビブラフォンとかそういういろんな楽器自体がマリンバを彩ってきたと言うか。そんな楽器たちでhideさんの楽曲全体を暖かい華やかな色彩で彩ってみたいなと思ったんですね」

聞いているだけで心が浮き立つような楽しい演奏。楽器はすべてSINSKEさんの演奏です。

「僕がたくさんいる感じですね(笑)。シェイカー鳴らしたりマラカスもマレットで叩いたりして。いろいろ楽しんでやってみようと」

特に最後の2分は聞き所。
「そこに僕の想いが全て詰まってますから(笑)」

若かりし頃のhideさんへの愛とマリンバの可能性、ひとことでいえば「エモい」カバーになりました。
SINSKEさんのお話もひときわ楽しそうでした。

さて、そんなSINSKEさん、本当ににいろんな挑戦を続けていますがそんな中でも、音解のリスナーの皆さんにはすっかりおなじみなのは藤原道三さんとのコラボ『~尺八とマリンバによる世界最小のオーケストラ~』ですね。
ついに7年目を迎えて今年もまた福岡にやってきます。今年のテーマは、『花 ~FlowerS~』。

藤原道山×SINSKE-尺八とマリンバによる世界最小オーケストラ-

日時:2018年6月15日(金) 昼・夜2回公演
昼公演 13:30開場 14:00開演
夜公演 18:30開場 19:00開演
会場:電気ビル・みらいホール

詳しくはヨランダオフィスWEBでご確認を(外部リンク)   


「僕達、ユニットとして最初5年っていうのを目指してたんですよね。その後5年目でヨーロッパツアーも行って一段落、また新たなスタートを切った。そんな気持ちだったんですね。
だから6年目のツアーが僕にとっては「ホップ」今回の7年目のツアーは「ステップ」。そのステップでもう一段階踏み込む、というところで全てのストーリーは繋がっていると思ってます。今年のツアーも皆さんにバッチリ楽しんでいただける内容になっているんじゃないかと思います。色とりどりの花を用意してお待ちしておりますので是非いらしてほしいですね」

とにっこり。

2週に渡ってお届けしたSINSKEさんとの音解。毎回楽しくて意外な音世界について披露していただいて、早くも次の登場が待ち遠しい。そんな気持ち。

どうもありがとうございました。

SINSKE OFFICIAL WEB SITE (外部リンク)


  

来週4月21日は、バンバンバザールを迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。


毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

皆様のおかげでこの音解も2年目に突入。そして今週からFM山口でも放送スタートとなりました。
今まで応援していただいた皆様も、FM山口のリスナーの皆様もどうぞよろしくおねがいします。

今週のお相手は香月千鶴です。

さて、今日のゲストは5オクターブのマリンバを自在に操り、唯一無二の世界観でメロディを奏でるマリンバ奏者、昨年7月15日22日に続いて登場のSINSKEさんです #SINSKE

実はSINSKEさん。サウンドピュアディオの番組には、この音解がスタートする以前から何度もゲストで出演していただいているとても縁の深い方なんです。

「2013年ぐらいでしたから5年ぐらい経つんですかね。このスタジオに戻ってくるとまたいつもの風景、そして皆さんの笑顔があるっていう意味では何か見守って頂いてるような気持ちがします」

スタジオで生演奏をするべく、ギリギリの広さのスタジオにマリンバを持ち込んでスタジオ内で組み立てたり、サウンドピュアディオ井川社長と一緒に車に乗ってカーオーディオの話に花を咲かせたり(そのエピソードはぜひタイムフリーで)楽しそうに笑いながらお話するSINSKEさん。

そんなわけで「SOUND PUREDIO presents 音解」の記念すべき2年目は、この上なくピッタリのゲストSINSKEさんをお迎えしてスタートです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミア会員 の方が聞くことができます)


まずはドライビングミュージックとしてSINSKEさんがセレクトしたのはStevie Wanderの『Too High』。

6年間住んでいたヨーロッパでの生活について楽しそうに話してくれました。

「ヨーロッパ中ボロボロの車でずっとドライブしながらコンサート活動を各地で行っていたんですけど、『インナービジョンズ』ってアルバムが大好きで、ずっとかけながらアウトバーンをドライブしてました。ほんとに憧れてましたね。本当の音楽家ってのはどんな楽器をやっても歌うことができるんだなって感動しながら朝から晩までこれ聞いてましたね」

そんなお話をしているSINSKEさんは本当に音楽好きの素敵なお兄さんそのもの。

だけど今日の色々なお話を聞いた後だと、そんな幅広い音楽の趣味と、陽性な茶目っ気はご自身の音楽にも生きているんだろうなってことがよくわかります。

 
そんなSINSKEさんの音世界を深く知るために、ご自身に自分の楽曲から一曲選んでいただきました。

ピックアップしてくれたのは、昨年発売された「CLASSICAL*LOVERS LIVE TRACKS VOL.1」から「ヴォカリーズ」です。

ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフの歌曲で代表曲のひとつ。

ロシア音楽らしい愁いを含んだ旋律と、淡々と和音を重ねていくピアノの伴奏が印象的な有名な曲ですが、このアルバムでのお二人は力強くてフレッシュな演奏を聞かせてくれます。

「これはサビといますか、実は一番聞いていただきたいのは最初の8分音符二つなんです」

ニヤリと笑ってお話が始まりました。

「このアルバムは最初からコンサートのライブ音源でアルバムを作りたいということで、楽曲のアレンジ自体をガラッと変えて生感をすごく求めていたんです。歌曲らしく普通にピアノの伴奏に合わせてもマリンバの良さもでないだろうと思ってメロディはもちろん優しく残すけれども、リズムはファンクで

なんとファンク。

「いきなりマリンバのパンチのある音でドンドンっと入ってそこでテンポを作るわけなんですが、よく聞いていただくと最初に置いてある二つの音が普通のテンポよりノリを作るためにすごく引き伸ばしてあるんですよ。(ロック的に)縦揺れで聞いていただけるラフマニノフなんてなかなかないと思うんですけれど、ロックでファンクで。ノリの良いラフマニノフを楽しんでほしいですね」

クラシックでも有名な歌曲でもこのお二人にかかれば、オリジナルを尊重しながらも挑戦的で楽しい音楽に仕立て上げてしまうんですね。

「ピアノを演奏してくれたひろたたまみさんがまたファンクのリズムが得意なんですね。途中の即興のところも実際ステージとまったく一緒で、このやりとりがライブの生感、アルバムの魅力になってると思います。汗が飛び散ってます」

と、笑います。

「ホントはマリンバって木を乾燥させた鍵盤なのに、それを濡らすとは何事かって話なんですけど(笑)」

他にも楽しいナンバーが満載の「CLASSICAL*LOVERS LIVE TRACKS 」ですが、3月8日にはシリーズ最新作「CLASSICAL*LOVERS LIVE TRACKS VOL.2」も発売されました。

「今回は『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』とかも面白いアレンジで、そして有名なところではチックコリアの『スペイン』これもライブ感満載ですよ」

そんなお話を楽しそうにお話するSINSKEさんを見ていると、やっぱり私たちとしてはSINSKEさんの勇姿を目の前で観たくなっちゃいますね。

6月には音解のリスナーさんならもうすっかりおなじみ、尺八奏者 藤原道山さんとのコンサートが予定されています。

一度は聴いたことがある有名な楽曲がの数々やオリジナル楽曲がマリンバと尺八という意外な組み合わせなのに他に変えることのできない魅力的な楽曲としてステージで作り上げられ、その演奏はいまや日本のみならずフランス、ベルギー、ルクセンブルク、ラトビアなど世界中のファンを魅了しています。

藤原道山×SINSKE-尺八とマリンバによる世界最小オーケストラ-

日時:2018年6月15日(金) 昼・夜2回公演
昼公演 13:30開場 14:00開演
夜公演 18:30開場 19:00開演
会場:電気ビル・みらいホール
詳しくはヨランダオフィスWEBでご確認を(外部リンク)   


ここ福岡でも行われる今年のテーマは、『花 ?FlowerS?』。

「昨年も『四季』というツアータイトルで名曲をお届けしてきたんですが、前回のツアーを終わったところで、僕らの中で今度は四季に咲き乱れる花が出てきたんですよね。今回も色んな曲を取り揃えて皆さんに尺八とマリンバの魅力を存分にお届けしていきたいと思います」

それにつけても藤原道山さんとのコンビも7年目になりました。

「結構来たなあと思うんですけれども、僕にとってはあっという間で。道三さんと一緒にこういうことやりたいねって言ってるうちに7年経っちゃったっていう感じです。そういう意味では10年、20年そして何十年行けるか分かりませんけど、そんな先を見ながらその時の音を楽しんでいただきたいな、と思っております」

と、楽しいお話も今日はここで時間切れ。

まだまだ聞きたいお話がたくさん。
この続きは来週またお迎えしてお聞きしましょう。次週もどうぞお楽しみに!


SINSKE OFFICIAL WEB SITE (外部リンク)

  

来週4月14日も、ひきつづきSINSKEさんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。

3月31日のゲストは斉藤和義さんです。

  • 投稿日:
  • by

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手はちんです。

今日のゲストは斉藤和義さん。 #斉藤和義

今年はデビュー25周年イヤー。
もう説明は不要、数多くのヒット曲とともにバンドでもギター1本でも揺るぎない音楽を送り続ける歌うたい。移ろいやすい昨今でもその姿勢は少しも変わること無くマイペース。

そんな斉藤和義さんがいつものようにフラリと登場して、一曲目のドライビングミュージックに選んでくれたのは、なんとYMOの「FIRE CRACKER」。

そして少し楽しげにその曲について話してくれました。

今日の音解は、25年を越えてもなお少年のような好奇心で音楽に取り組む斉藤和義さんのちょっといいお話。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/SAITOU_oa
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


「僕もドンピシャのリアルタイムですからね。(YMOの登場は)『何だこれは』って衝撃がみんなすごくて。シンセサイザーで作っているっていうのも含めて、うちらの世代全員アルバムも聞いてたんじゃないかっていうくらいですからね」

そういえばエリック・クラプトンもYMO(Behind the Mask)をカバーしていて、その当時世界中で大変な人気でした。斉藤和義少年にもちょっとこの時代の音楽はしっかり根を下ろしていたんでしょうか。

それにつけてもピコピコしたサウンドをバックに聞く斉藤和義さんのお話ってちょっとシュール。なんて思っていたのですが、これが今回の新しいアルバムにしっかりつながってくるのですね。

今月14日に通算19枚目のオリジナルアルバムは『Toys Blood Music』。

藤原さくらさんがゲストコーラスとして参加した『Good Luck Baby』や、鈴木雅之さんに提供した『純愛』のセルフカバーを含む、今回も1人多重録音で制作されたいつも以上にすばらしい11曲が収録されています。

そして、それ以上に耳に飛び込んでくるのは今までとはずいぶん違うサウンドです。

「そうですね。今までにない作り方をしてみたいなと思って80年代のドラムマシンだったりシンセサイザーだったり、そういうのを駆使して作ったんですね

今回はTR-808やLINN DRUMといったテクノを中心に80年代を席巻した懐かしいデジタル機材が多数使われています。今までにもブルース進行のシンプルな打ち込みのリズムがクールでカッコいい「MUSIC」とか「I Love Me」などありましたが、全編に渡って聞くことができるのは今回がはじめて。

今回のアルバムで重要なキーワードは「MIDI」。

現在のデジタル音楽の源流となる技術で、異なる電子楽器をつないで同期して一斉に演奏することができる仕組み。1981年に策定され、80,90年代のYMOや数々の音楽はこのMIDIの登場によってはじめてレコーディングやライブが可能になり時代を席巻したのです。ちなみにちょっと懐かしい言葉かも。
「TR-808を頂いたんですね。MIDIをどうやってやってるんだろうと思ったんですが、今回エンジニアと『あ、こうやるんだ』とわかって、いろんな楽器をつないでみたり、新たに買い込んでつないだりして一斉に演奏させたりしたら楽しくて楽しくて」

え。今ですか。というとンフフと笑う斎藤さん。
まったくのイチから試行錯誤することによって新鮮なアプローチを獲得しました。

「なんかギター持って作り出すと、自分の手癖だったり、またこのコードになっちゃった、とかあるんですけど今回は偶発性がすごくあって、やらしてみたらなんか変な音になっちゃった、とかそんなとこから膨らますとかね 。気がついたら、あ、もうこれで全部やっちゃおうと思って」

確かにYMOが在籍したアルファレコードあたりで80年代ロックバンドなども一斉に取り組んで、今にして思えば寄り道だけどすごく楽しい時代を思い出します。

「シーナ&ロケット、南佳孝とか機械とポップス、ロックの融合というか影響も受けましたし。すごく面白かったですね」

新しいおもちゃを手に入れて(でも結構昔のおもちゃかもしれませんが)楽んでできたのがこのアルバムってことなんでしょうね。

そんなアルバムの中から1曲ピックアップしてくれたのが「オモチャの国」。
辛口の社会批判を折り込みながらまさに今回のアルバムの象徴のようなサウンドです。

「1980年に発売されたLINN DRUMってやつなんですけど、実際の生音を録音初めてのドラムマシンで。人が叩いた音がボタンを押すとバスドラムだとかスネアとか鳴るっていう名機中の名機ですよね。

最初借りてみたんですよね。マニアックな話になっちゃうけどその初代のやつと2代目があって、それにどうも個体差があってグルーブも違うらしくて色々試してみたんですね。独特の揺れもあって意外と人っぽいんですよ。デジタルなのに。

それで808とかリンドラムとか割と最近の2000年代ぐらいのドラムマシンと3台同時に出したりして、自分の生ドラムも加えてみたりして、このレコーディング中に買い揃えたりしたマシンも総動員したのがこの曲かもしれませんね」

デジタルなのにアナログ。ヴィンテージなデジタル機材の面白さに目覚めちゃったんですね。

「そうですね結構揺れたりするし、その上に生で自分でギター弾いたりたりするもんだから結局は人間がやったのとは違うんだけど、機械と一緒にやる独特のグルーブも出してみたりして それがまた楽しかったですね」

近年になるにつれどんどん一人多重録音になっていく斉藤和義さんとデジタルの作業的な相性は確かに良さそうです。

そういえばなぜ一人多重録音が増えているんでしょう。

「元々は最初にアルバムの3、4枚目ぐらいから始めたんですけど、スタジオミュージシャンとだとすごいうまいんですけど『そんなにうまくなくてもいいのになぁ』みたいなのがあって、自分の頭の中にあるのはもっと適当な感じなんだけどなって思って。もともと色々自分でできたりもするので、デモなんかは全部自分で作ってみて、これでいいんだけどなーって増えちゃったんですね」

最初は懐かしのデジタル機材と斉藤さんとの組み合わせにオヤ?と思ったものですが、こうやって聴いていくとむしろ自然な成り行きだったんだなあと思います。

ギターもヴィンテージならデジタルだってヴィンテージ。
そしてまたイチからいろいろ試行錯誤して、音楽を始めた初期の楽しさをまた取り戻しもしたのかもしれませんね。結果できあがったのは、とてもフレッシュなそれでいて斉藤和義そのもののアルバムになりました。

「家でもねさらに機材が増えて。いっぱい繋いで中もう、一人でテクノごっこしちゃってますしね。最近はギターよりシンセのサイトばかり見てたりして(笑)」

斎藤さん本当に楽しそうです。

ここまでお話を聞けばアルバムタイトル「Toys Blood Music」の意味もすんなりと納得。

「電子楽器はおもっちゃっぽくも感じたし、でもちょっと血が通ってる感じもあったしそんな意味合いでつけましたね」

この楽しくて新鮮なアルバムを携えてのライブ、一体どうなるのかまったく想像もつきません。

「ほんとにねえ、これはどうやって再現しようか色々やってるところなんですけどね」

『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2018 "Toys Blood Music"』

5月3日(木・祝)、4日(金・祝)福岡サンパレスホテル&ホール
開場 16:00 / 開演 17:00

KAZUYOSHI SAITO OFFICIAL WEB SITE (外部リンク)


今回のアルバムはとりわけ楽しかったようで、一貫して笑顔で楽しそうに機材の話などする斉藤和義さんはロック少年と少しも変わらない、そんな所に音楽ファンはグッときてしまうわけですね。私もそうです。本当に楽しかった。

最後にみなさんにメッセージをお願いします。

「そうですね福岡はライブじゃなくても来たいですからね。飯も美味しいし。お姉さんの言葉もカワイイっすねえ。フフ」

  


次回4月7日はSINSKEさんをお迎えします。どうぞお楽しみに。

3月24日のゲストは阿部真央さんです。

  • 投稿日:
  • by

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手はちんです。

今日のゲストは阿部真央さん。 #阿部真央

大分で生まれて高校卒業後に上京してデビューしたのが2009年。以来、パワフルな歌と同世代を中心に圧倒的に共感を呼ぶソングライティング。山あり谷あり、自分の生き方をそのままに投影した音楽は高い支持を受け続けて今年で10年。

上は最新作「YOU」のジャケットです。

恋愛ソングの達人らしいシンプルでオシャレなビジュアル。に見えて、実は左の女性も右の男性も阿部真央さん。ジャケットを開くと真ん中から男女に別れた服を着た内股にしている阿部真央さんがすまし顔でポーズを決めています。

また阿部真央にやられた!
ユーモアがあって挑発的、それでいてみんなが望む表現も決して忘れない。

10年目の阿部真央さんはそのまんまの人でした。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/ABEMAO_oa
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)



阿部真央さんがチョイスしたドライビングミュージックはOASISの代表曲の一つ「lyla」。

「歌もかっこいいんだけど、圧倒的なボーカルのカリスマ性ですね。なんか自分の声が入るべき位置が生まれながらにわかってる人だなんて。歌い方も、ぶっきらぼうで棒読みみたいな感じでだって聞いたことあるし。てっきり入り込んで歌ってるもんだと思ったから、歌詞見ながら簡単にこんな素晴らしい歌を歌っちゃうんだって」

と一気に話してハッとして「ちょっと。ファンの人に怒られちゃう!」と笑う真央さん。
ロックが大好き、そしてボーカリストの表現力や技術の話になると夢中になってしまうようですね。

3月7日に発売されたおよそ1年ぶりとなる8枚目のニューアルバム『YOU』です

去年12月に配信シングルとしてリリースされた『K.I.S.S.I.N.G.』、山本彩さんに楽曲提供をした『喝采』のセルフカバーなどを含む全11曲が収録されています。

「今回はそう、昨年の「babe」は出産を経験してからのアルバムだったので、そことは打って変わって、母親とよりは一人の27歳の女性のひとつの恋模様みたいな、恋愛温度の高い一枚ですね。

タイトルの「YOU」。それはある程度楽曲が出揃った時に『私これ一人の人のことしか歌ってないな』って気づいたんです。なので私の中の「YOU」に向けたっていう意味を込めて。あとはこのアルバムが聞いてくださる皆さんのお手元に届いた時にその方の中にいる思い人である「YOU」に思って聞いてもらったら嬉しいなっていう気持ちも込めて」

心境の変化はありましたか?

「ありましたね。産後すぐの母親としてホルモンに支配されてる時期(©坂本美雨だそう)からやっと私の人生に戻ってきて、そういうテンションだったんだと思うんですよね。恋をしたりだとか。人生の岐路に立って今後どうするっていうことを一度向き合い始める年齢だと思うんですよね27歳って

前作に当たる母性に溢れて人生としっかり向き合った傑作「Babe.」は、彼女に今作に連なる試練も与えていたようです。

「やっぱり前作『Babe.』はヘビーな内容のテーマのアルバムだったと思うので、ファンの間でも賛否両論があったんですね。その経験もあって、チャレンジすることにあんまり抵抗がなくなったんです。何言われてもいいやって気持ちがちょっとあったし、周囲の反応とかそんな恐れはなくなったんですね。そこはすごく大切な変遷だったのかな」

そして出来上がったアルバムは、吹っ切れた陽性のトーンと大人の自由な恋愛ソングにあふれています。

先行シングルで弾けるようなポップナンバー「K.I.S.S.I.N.G.」に始まるファンならば「待ってました!」と言いたくなるような「ザ・阿部真央」な3曲から、新境地とも言える中盤への流れは見事です。

意識しました。書き終わった時に「これは恋が始まって終わるまでの話なんだな」って思ったのでそのままの順序で行きたいと思ったのと、あとこれは本当に思うんですけど頭の三曲がその後の中盤戦を聴かせるための序章だなと。M5から6の流れは絶対につなげたいと細かく思ってました」

そのM5、5曲目「immorality(Arranged by 岡崎体育)」は岡崎体育さんとのコラボです。

「私が岡崎体育さんの大ファンなんですね。楽曲のセンスとか面白い曲が人気だけど私は彼のビートが好きなんです。この曲を書いた時に岡崎さんにトラックを作ってもらえたら最高だなと思って、お願いしたら快諾していただいたんです」

そして、愛のアルバムを締めるにふさわしい美しいナンバー「朝日が昇る頃に」で見事に締める。かと見せかけて、コミカルで陽気にサバサバした「27歳の私と出がらし男」で終わります。

さっきまで見事なドレスで妖艶な悲恋の主人公だったはずが、急にのびのびジャージにヨレヨレTシャツを着てすっぴんのサッパリした顔であくびしてるようなナンバー。

これぞ阿部真央。
「ありませんか?清々しさが先にくる失恋ってあるじゃないですか『なんか良かったちょっと終わって』みたいな。それに似てる(笑)」

そんなアルバムから1曲だけピックアップしてくれたナンバーは、先程もお話してくれた「M5からM6」の6曲目。「傘」です。

「打ち込みと生音の融合を目指しつつ、大人なクラブミュージックと言うか少し昔の「今夜はブギー・バック」みたいな大人の人が入るノれるような楽曲」とその曲の狙いを説明してくれました。

同時にこのナンバーでは今まで行ったことない発声の仕方がポイントです。

「語尾をふわっとちょっと抜くっていうか、『かぁ(↑)』って裏声みたいに(歌ってみせる)、サカナクションの山口さんとか吉澤嘉代子ちゃんみたいに、岡崎体育さんもそうですね

(実際に岡崎体育のミュージックビデオの一節を歌う)
もうちょっと喉をベントさせずにふわっとさせるというか。私、人の歌唱法を見て真似するのが大好きなんでそれを目指してやったという。抜く感じがカッコイイなって

この楽曲の独特の軽さはそんな歌唱法の絶妙のコントロールにもあるようです。

最初のOASISの話を思い出します。
歌うという事に関して完璧にコントロールしたい。ただその話しぶりはどのゲストの方とも違います。まるでギターやベースの話をするように「声」のお話をする。そして、そんな話をしているときの真央さんは溢れるように言葉が溢れ出してとても楽しそうです。

阿部真央さんにとってはすべては自己表現するためのすばしい道具。そんな風にも思いました。

そして、そんな表現を一気に爆発させるのがライブということになるでしょうか。

阿部真央ライブハウスツアー2018"Closer"


4月20日(金) 福岡DRUM LOGOS
開場18:00/開演19:00
阿部真央オフィシャルサイト (外部リンク)


「最近はホール規模が多かったんですけど、今回は約7年ぶりのライブハウスツアーで何よりもライブハウスならではの良さを感じてもらえるライブにしたくって。来年10周年に向けてファンの方ともう1回グッと近づいておきたいなと思っての今回なので、福岡でも楽しんでもらえればって思います」

阿部真央の人懐っこくてカジュアルでいて実は考え抜かれた音楽とその人柄に魅了された今回の音解。阿部さんは忙しい中でも疲れも見せず肩の力が抜けていて、よく笑い、あけっぴろげで細やかに気遣いもしてくれます。まるで友達同士のような雰囲気でちょっと踏み込んだ質問にも誠実に答えてくれるのです。

そして、終わって思ったんですけど、阿部真央の音楽の秘密を上手に引き出してほくそ笑んだつもりだったんですが、実はこちらが彼女の術中にハマっていたような気もします。
また阿部真央にやられた!のかも?

次の登場を心待ちにしておきますね。

  

次回3月31日は斉藤和義さんをお迎えします。どうぞお楽しみに。