毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はこはまもとこです。
今回のゲストは先週に引き続き押尾コータローさんです。 #押尾コータロー
先週は2月20日にリリースされた、ソロ名義として2年3ヶ月ぶりとなるオリジナル・フルアルバム、「出会い」で紡がれた『Encounter』について楽しいお話を合間合間に押尾さんの実際にギターを演奏しながらお送りしました。
今週はアルバムから一曲をピックアップしてそこから押尾コータローの音世界を紐解いていきます。
さらに押尾サウンドの秘密を、押尾コータローさん自ら解説するギターミニミニ講座に生演奏も!
今回はぜひタイムフリーでそんな演奏も聞きながら合わせてお楽しみ下さい!
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→ FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)
今日はいつものドライビングミュージックも押尾コータローさんのナンバーから。
『Encounter』から風を運んで来てくれるような軽快で爽やかなナンバー「teardrop」です。
ここでは押尾さんの車好きとカーオーディオのお話を聞くことができました。
「考えてみるとドライビングミュージックなんですよね、僕の音楽って。すごく車で聞くのが好きで。サウンドチェックもカーステレオで聞くんですよね。車に乗るとエンジン音だったりとかいろんな音の中で聞きながら、それを考慮した上での低音の再現度とかをもうちょっと低音あげた方がいいかなとか。
そうですね。僕は車が好きなもんで『ああ気持ちいいな』って音を届けたいんですね。 もし電車好きだったならきっとヘッドフォンで考えたかもしれないですね。
車って大音量出せるんですよ。家で大音量出すと『すみません、時間も時間なんで』って苦情が来たりしますよね(笑)。割と車は許されたりしますんで、だからカーオーディオに凝ったりする方多いんだと思うんですよね。
ツイーター1個入れただけで世界観変わっちゃいますしね。音量を気にせずに割とかけたりするのはホントいいですね」
予想以上に車愛、カーオーディオ愛が聞けてしまいましたね。
さて、今日はアルバム『Encounter』から、押尾さん自ら1曲ピックアップしてじっくりその音の秘密を紐解いていただこうと思います。
押尾コータローさんの熱心なファンならずとも、あのサウンドはどう弾いているんだろう、弾いてみたい!という方も多いでしょう。
こはまさんが『「あのキラーン!」って音とか』というと、すかさず押尾さんが『これね』といってハーモニクスを披露。
そう。今日の解説は押尾コータローさんの実演付き!聞き逃がせませんよ。
選んでいただいた楽曲は「Cyborg」です。
「未来との出会いというか、いつかサイボーグと一緒に共存するかもしれない、実際もうすでにも共存してたりしますよね。
まあ我々最近、ロボットというともっと 無機質なものかなと思ったら、案外テレビとかで見ると顔の表情が、笑顔が作れますとか、すごいな、もうロボットと思えないって。近いうちに本当に人型のアンドロイでってかロボットができるんだろうなと思うんですけどね。
僕の作った曲のサイボーグは、一昔前の昭和の頃のカクカクっとした『ワレワレハ』って喋るようなそういうサイボーグですね。 無機質なかんじをアコースティックギターで表現したいと思ったんですね」
音がマットな感じというか無機質な感じがそういうことなのかなと思います。
「ミュート(音を響かせずに止める)なんていうテクニックも使っていますね」
それでは具体的にこの曲のポイントを教えて下さい。
そう言うと、押尾さん少し座り直してテンションが上りました。ここからは「押尾コータローのギター講座」の始まりです。
「まずはチューニングですね!(ポロロン)
まずはギターのチューニング(調律)が違うんですね。 どういうチューニングかって言うと、チューニングに名前がついているんですけど『DADGAD』っていう名前がついています。『ダドガド』って言われています。 これギターの一番太い6弦が「D」なんですね」
通常は「E」ですもんね。
「よくご存知ですね。で、5弦がA、4弦がD、3弦がG、2弦がA、1弦がD。これを続けて読むと『DADGAD』になるわけです(通常の調律はE-A-D-G-B-E)。要するに6弦と2弦と1弦を1音下げるわけです。するとどうなるかというとこういうチューニングになります」
実際に弾いてみせてくれます。
「まずこのチューニングにするところから始まるわけです。すると12フレット、7フレット、5フレット、4フレット、チューニングで普通のチューニングよりも綺麗なハーモニクス(倍音)が出るんですけど、まずはDADGAGにチューニングする勇気が大事ですね。
チューニング変えるのめんどくさい!って思うかもしれないけど、これをしないと押尾サウンドは始まらない(笑)」
するとこはまさん「そういうことなんですよね!押尾さんはオープンチューニング(開放弦の状態で鳴らした時に特定のコードが鳴るように調律する方法)ですから、この場合はDADGADっていうチューニングでやるってことですよね」と早くも優秀な生徒さんのよう。
うれしそうに微笑んで押尾さん「アボカドじゃないですよ」。
「そしてタッピングです」
次のステップ。
「今回イントロでやっているのが、ちょっとコンピューター的な『ピッピピーピー』みたいな感じの音ですが、あれは人差し指でこうやって4弦の12フレットを指で叩いている、これに左手で2弦の5フレットを押さえて交互に叩いてこれを無機質に叩いているとなんかこう感じがでますね」
その実演を見ていたこはまさん、思わず「押尾さん速いんですよ。練習すればするほど早くなっていくもんなんですね」とひとこと。
「はい。だれでも出来ますから。右手と左手のコンビネーションですね。ファミコンのコントローラーと同じ感じ。あれができたら大丈夫です(笑)」
と笑ってから、いよいよ押尾サウンドの真髄、あの1本のギターからいくつものパーカッシブな音が鳴る、その奏法を解説してくれました。
「右手でボディを叩いたりしますんで。手のひらの手首に近いところでボディを叩きながら弦を弾くんです。手のひらでボディを叩きつつ、中指と薬指を握り込んで弦を叩くと... (弾いてみせる)」
そうやると同時に音が出るわけですね。
「あわせて左手も弦を叩くんですね。右手左手右手左手と交互に... まそんな手順で、ドラムライクなベースサウンドドラムみたいなね」
あの押尾サウンドが眼の前で実演付きで!
リズムの表現がほんと幅広いです。
元々バンドでベースをやられていたことも大きいんですか?
「はい。確かにそれは大きいですよね。 ベースのスラッピング(パーカッシブな奏法)から得たものは大きいと思いますね」
押尾さんのあのギターはベース経験が生きているんですねえ。
そうやって私達が、押尾さんのギター演奏をパッと聞いた時にギ、ター一本でどうやってるんだろう?こんなのできないよって思うことが、こうやってキチンとひとつひとつ練習していって、右手左手それぞれのことを一つづつやっていけばできるようになるんですね。
「できるようになるんですよ。すごく楽しいんですよ、これができると。だからコレがわかった人はハマっていきますね。押尾コータローのギターでね」
さらにマットな音の低音というか、この「Cyborg」という曲では高音の優しい音もあるじゃないですか。そこの切り替えというのも印象深いですね。
「そうですね。緩急つけるあたりは日本的な感じもしますよね」
そんなふうに詳しく音の秘密を聞かせていただいて、それでは実際に「Cyborg」を聞いてみましょうとなるのですが、本日はなんと押尾コータローさんが目の前で演奏してくれました!
その演奏の素晴らしいこと。
こはまさんも「すごい!やっぱり目の前で見るとホントにすごすぎて」と感激です。これはぜひライブで見ていただきたいですね。
今回の『Encounter』はそんなアグレッシブなナンバーとともに美しいメロディの『FLOWER』なども収められています。
そんなナンバーでも同時に多彩なリズムで楽しませてくれます。しかもその間もメロディーはもちろん決して途切れることはない。やっぱり同時にメロディとリズムがそれぞれ同時に美しく刻まれることに、改めて驚かされます。
「バランスなんですね。やっぱり歌ありきなんですよね。ギターで歌ってる感じなんですよね」
そう言って、ギターを抱えて笑顔の押尾さんのギター講座もおしまい。
本当に濃密で、そして押尾さんの言葉とギターで語られる押尾サウンドの秘密の一端。とても充実した今回の音解でしたね。
今回のツアー。そんな知識を頭に蓄えて、改めて目の前で堪能したいと思います。
押尾コータローコンサートツアー2019"Encounter"
2019年03月23日(土)
ももちパレス
開場17:30 開演18:002019年04月05日(金)
広島CLUB QUATTRO
開場18:00 開演18:30
ツアーではいろんな会場で追っかけてくれるファンも少なくないようです。
「うれしいですね。もう本当になんか好きな人は一箇所だけだと思ったんだけどね。次も行きます!とか言ってる人も中にはいたりして、ほんと嬉しいですね。
今回は『Encounter』からの曲もやりますので、『Encounter』を聴き込んでもらえばより楽しんでいただけると思いますが、とはいえ『ライブ行ってからCD買う』って人がですね、なんの前知識なく来ていただいても納得行くライブしますんで(笑)ぜひ来て下さい。
2週間ほんとにありがとうございました。
みなさんも楽しんでいたけましたか?
今週は特にタイムフリーでもう一度ぜひ聞いてくださいね。念の為。
押尾コータロー オフィシャルサイト (外部リンク)
次週、3月23日は SEKAI NO OWARI をお迎えします。どうぞお楽しみに。