2月23日のゲストは引き続き DEEN、池森秀一さんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はちんです。

今回のゲストは先週に引き続きDEENの池森秀一さん。 #池森秀一

25周年を越えて今も新しい音楽を送り続けるDEEN。
そのプロフェッショナルの部分と、音楽ファンとしての一面について垣間見ることができて先週。

創作の刺激としてのタイアップやシングルなど、目からウロコの刺激的なお話を聞かせてくれました。さて、今週はどんなお話を聞かせていただけるのか。

まずは今週のドライビングミュージックは、DEENの『君が欲しい~Solo te quiero a ti.~』でスタートしました。この曲の雰囲気は?

「はい。スペインですね」

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


今週はまずは間もなく発売されるニューアルバムについてお話をお聞きしました。

3月13日発売の「NEWJOURNEY」。新体制となってからははじめてのアルバムとなります。

『テイルズ オブ ザ レイズ フェアリーズ レクイエム』タイアップの先行シングル「ミライからの光」、そして『君が欲しい~Solo te quiero a ti.~』ももちろん収録。

今回は世界各国の音楽の要素を取り込んだ作品なんですね。

「皆さんを僕がパイロットになってね、 音楽を通じて世界帰国にお連れしますというテーマでアルバムを制作しました」

アルバムはプロローグとなる「Departure」ぞして「ミライからの光」からスタートします。

「『ミライからの光』はJ-pop。じゃあ日本からスタートしましょうってかんじで。
アルバム全体は音楽紀行ですね。10曲なんでもちろん全世界というわけにはいきませんけど」

日本からスタートした旅。
アルバムには世界各国の音楽を取り入れた楽曲が並んでいます。もちろんDEENお得意のラテンサウンドも。

「僕、ラテンの音楽ずっと好きだというところもあったりするので。今回はよりスパニッシュな感じで歌詞なんかもスペイン語で入れたり。そこから北欧に行ったり、アンデス行ったり、 カリフォルニア行ってニューヨーク行って ハワイも入行って沖縄も行って。そういう各国の風を感じるそんなアルバムを通して、みなさんが旅しているような気分になればいいかなと思って作りましたね」

今回の「旅」というコンセプトはどういうキッカケから出てきたんでしょう。

今年から二人体制になって、新しい旅というテーマもぴったりという意味もありますし、旅を紐解いていったら音楽紀行というところで。もちろん僕らも音楽ファンとしてカリフォルニアの音楽に影響を受けましたとか、各国の音楽大好きで聞くじゃないですか。それでああ、これっていいかもしれないがと思ったのがきっかけですかね。 すごくフレッシュな気持ちで作ることができました

25周年を節目に新しい体制となったDEENの、そんな門出でもあり、新たな音楽の旅を続けていくという決意表明のようでもある今回のアルバム。

ひとところに落ち着くのではなく、音楽的にも新たなチャレンジがたくさんあるアルバムでもあります。

さて、そんなDEENサウンドはどうやって生まれていくのか。
今回は一つの曲を題材に、池森さん自身に解き明かしていただきましょう。

楽曲はもちろんアルバムのキーとなるナンバーでもある「ミライからの光」です。まずは楽曲の作り方からです。

「僕の担当としては歌詞を書いて歌うことじゃないですか。山根がもちろんメロディを書く。
DEENは100%、メロディができてからアレンジメントや歌詞を書くという作業なんですね。
先週もお話ししましたけど、今回で言えばタイアップで曲が生まれていくという課程を紐解いていくと、まず今回の『レイズ』のストーリーや展開を見ながら、16ビートの曲じゃないな、じゃあ、これぐらいのテンポにしよう、そんなやりとりを山根やスタッフを交えて。で、最初に決まったのは、じゃあ少しテンポをゆっくりして頭サビを歌から始めてみようか。そこからテンポ上げてイントロ1がきて歌が始まるという流れがまずありました。
そんなふうにこの曲は、間違いなくゲームの持ってる色から僕らが感じて作り上げた作品なんですね

なるほど。メロディと歌詞をすり合わせながら作り上げる作業ではないんですね。

「まずメロディができてからですから、それはできないですね。
最初にキーワードだけたくさんのストーリーが書かれてたりしたものとか、すごくいい表現とか物語の中にたくさんあるんですね。『テイルズオブ』シリーズなんて深い物語じゃないですか。するとこの言葉使いたいなーとか、それらを要所要所頭の中にインプットしておいて、メロディが上がった時にその中から『ああ、これいいなあ』とか当ててみたりという作業ですね。メロディがありますので限られた字数になってきますけどね」

今回の楽曲では、メロディに寄り添いつつも物語世界と池森さんの思いが一体となって見事にDEENの音楽として成立しているように思います。

「そういう意味で言えば、『ミライから光がきて』ってすごくポジティブじゃないですか。やっぱり、ゲーム自体もそうですけど すべてポジティブになっていくために、すごくダークなものとか悪いものが出てきて戦わなきゃいけないということは、当然降りてくるじゃないですか。 『ミライからの光』ではその表現がひとつ解決できたかなと思いますね」

一方で、池森さんとしても作詞として新境地の表現も可能になったと言います。

「僕たちは君を守るとか地球を守りたいとか。そうは言ってるけど人間は一人で生まれて一人で死んでいくよねっていう部分の掘り下げ方も、初めて書きましたね。DEENの作品の中ではそういった表現や「消す」とか「死」というような表現も初めて使いましたね。」

通常の表現では無意識にも意識的にも避けていた表現や展開、そういったものにもあえて切り込むことができるのも、外部からの刺激があればこそということでしょうか。

作詞するにあたってはどこから手をつけていくんですか?

僕はまずキーワードが欲しいんですね。サビの入り口とかの言葉がピックアップされれば書きやすい。そこが出てこないとなかなか書きにくいタイプなんですね。 今回も『ミライから光がー♪』が浮かんだので割合書きやすく、テーマもはっきりしましたね」

楽曲としての「ミライからの光」は、ゲームのテーマらしいドラマチックで壮麗なイメージの楽曲ですが、その構成とアレンジが見事です。途中で異例なほどたっぷりとインスト部分があり、ストリングスと相まってラストへ向けての華麗な展開が素晴らしいです。こういった部分は二人で相談して作り上げるんでしょうか。

「これは最近一緒にやってる若いミュージシャンで侑音ってギタリストがいて、彼にいろんなアレンジお願いしてるんですけど、これがなかなか見事なアレンジするヤツなんですよ。当然アレンジするにあたって僕らが、こうしたいああしたいってオファーをした上でなんですが。それ以上のものは返ってきましたね」

と、ちょっとうれしそうにお話してくれました。
新しい才能を見つけた!ってかんじなんでしょうか。

「見つかりましたよ。また素晴らしいミュージシャンと出会えたなあって思っています」

これからDEENが20年、30年と続いていく中でまたこんな新しい出会いが続いていくんでしょうね。

「そう感じましたね。うん。彼らと接していると僕たちも若くいられる。彼らは彼らで、こういっちゃなんですけどねすごく勉強になるっていうか(笑)。彼らは僕らの音楽聞いてきた世代でもあるから。まだまだ一線ではないところで急にピックアップしたんで、彼なんかも『ええ、いきなりやるうんですか』って。そういうところがあったみたいなんで。こうしようああしようという中で、以前の作品はこうやって作ってきたんだよってな話をして、それは彼にとってすごく刺激的みたいで。でもね、彼はそれ以上のものが返ってきますから。マジリスペクトって感じです(笑)」

DEENを聞いてきた若い世代、それよりも下の若い世代。
そんな人達とも、お互いに刺激を受け合いながら時に師匠として仲間として、新しい音楽がまた生まれてくるのだろうと思いました。

そして、この楽曲のキモはもちろんヴォーカル。ここはヴォーカリスト池森秀一としても、詳しいところを聞かせてほしいところです。
そこで、この曲のポイントなどお尋ねしたんですが。

「この作品はサビがずーっと高いんで、カラオケで歌うときは気が抜けないですね(笑)ブレスの位置も2小節に一回。ブレスの位置を間違えると、最後の『今羽ばたくよ。Let it go!』にたどり着けないかもですね(笑)」

ちょい照れ隠しもあったのか、歌う場合のアドバイスをいただきました。これには思わず大笑い。でも参考にしたいところ。

そうやって改めて「ミライからの光」を聞くと、池森さんの解説した部分が際立って、やっぱりくっきりと輪郭が立ち上がるように違って聞こえます。いつものことながら面白いですね。

すると池森さん、突然「これは作品的には100点です(笑)」と満面の笑顔。「これ、DEENじゃなくて他のアーティストの作品として聞いたとしても音楽人として『おお良くできてんなあ』って思うポイントがいくつもあります」

そうして、今回のお話全体をまとめるように、全体を俯瞰して解説してくれました。

「いきなり歌から始まる。このまま続くかなと思いきやテンポアップして、弦も入る。どこに行くのかな?ってワクワクしてきて歌い出すと、ポーンと落ちてちょっとダークな言葉が飛び込んできます。

ブリッジ、サビにつなげるメロディとかもよくできてて、で2番に行く前のブリッジ。そこから2番から3Cに行くまでのなんとも言えない雰囲気。歌ってる最中、どうしても聞いている方は歌詞が飛び込んできて歌詞に耳が行くと思うんですよ。あ、前向きに生きるってことはこういうこともある、ああゆうこともある、だから前向きに生きなきゃいけない。そういったことをね。間奏の部分で自分の人生に置き換えて聞くことができるような意味でのあの長さ。あそこは見事ですよね」

お見事で!ありがとうございます。

そんな「ミライからの光」から始まる音楽の旅。ニューアルバム「NEWJOURNEY」3月13日の発売が待ち遠しいですね。

「これはまさにいい音で、サウンドピュアディオのセッティングでじっくり聞いてほしいですね。」

最後までサービスたっぷり。
そういうと笑顔の池森さんです。

2週に渡ってお届けしたDEENの音解。
長年に渡って第一線で活躍するアーティストが常にフレッシュでありつづける秘密と、その楽曲ができるまでの課程を聞くことができて大満足。

それらを、肩のこらない語り口で気を配りつつも、楽しそうにそして詳しくお話してくれる池森さん。一瞬、眼の前の方がDEENの池森さんであることを忘れそうになるくらい距離が近づいたような気がして、こちらも楽しく聞かせていただきました。

ちなみに池森さんが個人的に好きな国ってどこですか?
すると、こんな答えを返してくれました。

ほんっとミーハーですけどハワイが好きです。『Aloha』って曲も入ってますけど、ハワイの風を強く感じてもらえるようにアルバムバージョンはしかけてありますよ」

そういうとフッフッフとまた笑顔。
それは好奇心旺盛な音楽マニアの少年のようでもありました。

  

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次週、3月2日は フジファブリックをお迎えします。どうぞお楽しみに。