毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。本日のお相手は香月千鶴です。
今日のゲストは大黒摩季さん。 #大黒摩季
数多くのアーティストのコーラスとして経験を積み、1992年「STOP MOTION」で歌手デビュー、以降「チョット」「夏が来る」「ら・ら・ら」「熱くなれ」などのヒット曲と活躍はご存知の通り。
久しぶりの対面に、香月さんも思わず「摩季ネエ!」と声を上げて歓迎です。
そんな大黒摩季さんがチョイスした今日のドライビングミュージックはスウィング・アウト・シスターの『Break Out』。
「あの人たちやっぱり洗練されていてポジティブだからオラオラゴリゴリしてるところがないし、あとはスタイリッシュですよね。このスウィング・アウト・シスターが出てきた頃、気分的にバブバブバブルでねー。みんなでよせばいいのに免許取り立てでなのにオープンカー借りちゃって。私はその頃ずーっとスタジオこもってたけどね(笑)。 世間はどいつもこいつもホテルをとってドンペリ開けて みたいな時代でしたね、石田純一さんは未だに靴下履いてないけど(笑)。そんな時代にスウィング・アウト・シスターはFMから流れてきたわけですよ」
いきなりの大黒節で90年台を回顧。
「目の前の現実が苦しい時は目をつぶって音楽聞くと違うとこに飛ばしてくれる」とにっこり。
今週の音解。やっぱり熱くなりそう。
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そんな大黒摩季さん、6年間の活動休止を経て8年ぶりのニューアルバム『MUSIC MUSCLE』、を12月5日にリリースしました。活動休止の間に経験したことや思うこと、そしてデビュー25周年を経て培われたすべてを注ぎ込んだ、圧巻の全27曲が収録されています。
「やっとできました! ボジョレーヌーボーなら熟成しちゃって普通のヴィンテージになったぐらいの感じですよ8年て」
渾身のオリジナル曲とともに大黒さんがレコーディング中、今年8月に亡くなったアレサ・フランクリンに捧げる2曲のカバー「Respect 」と「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」も収められています。大黒さんにとって格別思い入れの深い楽曲だとか。
「私が生まれて初めてね、自分の歌をふきこんだ「ROYAL STRAIGHT SOUL」ってオムニバスアルバムなんですけど、まだ二十歳そこそこの私が『Respect 』に挑戦してたんですよ。 その時、実は『A Natural Woman』を歌いたかったけど『お前にはまだ早い』と言われて、その曲は坪倉唯子さんが歌ったのね。 その唯子師匠が『Respect 』でも一緒にコーラスやってて。
そのころは私もう怒られまくりですよ。リズムが悪いだの『突っ込むんじゃないよと』か『低いよ!』とか言われて。 そんな30年前の自分にリベンジしてみよう、初心に帰ろう。 アレサにもdedicatedしようと思ってね」
そうして今回再び「Respect 」と今の自分なら歌えると「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」の2曲を当時と同じメンバーでカバーしようと思ったんだそう。
結果、錚々たるメンバーが集合しました。
「ポンタさん(村上ポン太)に斎藤ノブさんに、私大好きだったベースの青木智人さんはもう亡くなられていて、で智さんの代わりに高水健司さん、大仏さんって呼ばれてる名ベーシストが入って、当時と同じ小島さんがピアノとオルガンで入って、ギターが今の時代から私の相棒、原田喧太でやりましたね」
そのレコーディングもなかなか大変だったよう。
「死にましたね(当時と)キーが一緒で。でも当時の自分にリベンジなんで。なんとかなりましたね(笑) あの頃ならなかった倍音が鳴ってるから、あの頃よりかっこいいです。自分で言うのもなんですけど」と満足げ。
その渾身のカバーは実はボーナストラック、あとはすべてオリジナルです。そのオリジナルだけで25曲!
アルバムはDisc1を「FIGHTING MUSCLE」、Disc2を「RESTING MUSCLE」 に分かれています。
「とりあえずやるぞ!って時の自分なりのプレイリストってみんなあるじゃない?例えば今日はプレゼン大変だから負けてられないぞ!っていう日は、強い曲ばっかり流してアゲていくでしょ。
私もやっぱり6年間、歌えない時にユーザー側だったので本当に音楽をそういう風に使っていて。やる気、戦う気の「FIGHTING MUSCLE」はアゲてくれる曲中心」
一方の「RESTING MUSCLE」は大人の大黒摩季さんの新境地とも言える楽曲が揃っています。
「大人はもうね、なんか癒しを買っても癒えないの。結局。自分の中に何か判断基準があってそれが許さないからみんなね。お金かけても癒えない、ていうことがわかった。だから『赦し』。大人の赦しアルバムが「RESTING MUSCLE」 、もう休む!休ませる。いつしか女子も、自分自身に負荷をかけてキーキーやってる間に乾いちゃったりするでしょ。 だからまず自分を許してあげれば人も許してあげれるから。そうすると場も和むしね。 結局自分の中の呪いをおろしてあげないとね」
香月さんも「誰かに鎧を脱がせてくれるのを待っていてはだめですね」と同感。
「脱がせてくれるのを待ってたりすると、どんどん着込んだりするじゃない(笑)。そんな奇特な男性あんまりいないのよ。せめて重たいフリでもできればいいんだけど、キャリアの女の人は重たいフリさえしないからプライドがあって。 だから自分を赦してね」
そんな女性の気持ちを代弁するように「RESTING MUSCLE」はストレートなブルースサウンドの「女はつらいよ。」からはじまります。
「『どいつもこいつも人任せ、消えてやろうか』ですから(笑)」
Disc1の「FIGHTING MUSCLE」はこれぞ大黒摩季の「LOVE MUSCLE」からスタートします。
「テッパン系ですよね。 ウチのスタッフ女子二人が『摩季さん「熱くなれ」みたいのができてくれると盛り上がると思うんですけど』 ていうのを会うたんびに言われて。 そんなに言うかな!結構モリモリだよ、ゲップだよすでに(笑)だけど、最後の最後にやっぱり食いつかれたんですよ。 でまあ、たまにはスタッフの願いも叶えてみるか、みたいなってことで。仮タイトルは『熱くなる』って作ったんです(笑)」
そしてこの曲では大黒さんゆかりのすごいメンバーが集まりました。
「当時の同じ時代を共に過ごしたやつらを呼ぶと一層そうなるんじゃないかと思って。サックスは『熱くなれ』でも吹いたDIMENSION の勝田一樹でしょ。それからチームは違うけど、ZARDとか多くをやってた徳永暁人(doa)、徳ちゃんにアレンジしてもらって、同級生のWANDSの柴崎くん(柴崎浩)にギター弾いてもらって、それに大島こうすけ ね。 それでリズム隊はどうしようかなーと思ったら、東京スクールオブミュージック専門学校ってところで私、教育顧問やってるんですけど、副校長で渡辺敦子さん(プリンセスプリンセス、リーダー/ベーシスト)いらっしゃって式典のたびに敦子さんと京子さん(プリンセスプリンセス、富田京子)がいてね。会うたびに「いつか一緒にやりたいね」て言ってて、私プリプリは全公演追っかけて観てましたから、奥井さん(岸谷香)も許してくれるでしょうと。
あの二人って目をつぶって聞くと男なんですよ。 全然女の子っぽくないすごいアフターで強いし音太いし。アメリカのおじさんみたいなリズム隊みたいなんですよマジでね。
一方こっちのプリンスチーム? 柴ちゃん(柴崎浩)もギター界のプリンスだしこうすけとかもハデハデ軍団でしょ。だから下をグーンと抑えてもらいたいなって思ってて。じゃあぜーんぶ集めてしまえ90年台、イエーイみたいな。そしたらなんと全員集まってくれた」
大黒摩季さんの人徳ですよねえ。
「いやいや。やっぱり仲間?みんなそれぞれバンドも解散したりするから異常にアツいバンドになっちゃって。最後は、どいつもこいつも弾きまくってカオスみたいな状態になっちゃって、ミックス大変だった(笑)ぜひぜひこれは聞いてもらいたいですね。元気出ちゃいますから」
結果、今の音楽ファンはもとより90年台青春を送った人たちも感涙のアガる一曲となりました。
MAKI OHGURO MUSIC MUSCLE TOUR 2019
5月6日(祝月)福岡県福岡市民会館 大ホール
開場:17:00 / 開演:17:30
5月18日(土)広島県広島上野学園ホール
開場:17:00 / 開演:17:30
ライブも楽しみ。
「マッスルマッスルになると思いますよ! ジャケットの人に!」
そういえば今回のアルバムビジュアル。大黒さんの美しい上半身裸のバックショットです。「ほぼ修正なし」だそうですよ。カッコいいですねえ。
「ん。今ちょっとたるんでる(笑)。レコーディングしてたからうん。 でもコレくらい持っていかないとライブはバテますからね」
どうすればこんなに美しいスタイルになるのか、憧れますね。
「あなたカラオケでやってみなさいよ大黒摩季連発で25曲。こんな体になるって。メタボなおじさんたち!インナーマッスルができてくるとね内臓をちゃんとね支えてくれるので、縦に突き出たお腹は減りますよ! ジーンズのインチひとつ下がっただけでポジティブゲージ、ガーンと上がりますでしょ。大事ですよね自分のこと好きですパワーってね」
と、大黒摩季エクササイズのすすめ?なんか元気づけられちゃいましたね。
もとよりパワフルでいつも周囲を元気にせずにはいられない大黒摩季さんですが、今まで以上に生命力にあふれて快活に、あらゆることを楽しそうにお話する姿は、現在に対する感謝と喜びが溢れ出るようで、お話しを聴いているだけで元気になります。そして包まれるような優しさに心の芯が暖かくなるような安心感も。まさに今回のアルバムそのものだな。と実感しました。
まだまだ色々なお話し聞かせていただけそうです。
来週もお迎えしてさらに、大黒摩季さんの音世界をもう少し紐解いていただきましょう。
今週はここまで。とりあえず皆様にメッセージです。
「もうね、復帰できたその日から、歌えることが、当たり前のアーティスト活動が幸せでならなくて、人生で一番今がアーティスト活動が楽しいです。そんな私を見てみなさんもぜひぜひね、自分のふつふつとしているモノ一個だけでも毒出したり、何かに向かってくれたり、私っていうきっかけで何か気がついてもらえれば本望なのかなと思うので『MUSIC MUSCLE』、昔、家にあった薬箱みたいに、ここが弱ったな?と思ったらこの曲が出てくるみたいに使っていただいて、日々の暮らしのお役に立てれば本望です。
来週も頑張りマッスル」
期待してマッスル!
大黒摩季 公式 WEB SITE (外部リンク)
次週、12月15日は引き続き大黒摩季さんをお迎えします。どうぞお楽しみに。