9月15日のゲストは SIRUPです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストは SIRUP。 #SIRUP

関西クラブシーンで名を馳せたシンガーKYOtaroは、東京に拠点を移して歌とラップ、日本語と英語の間を自由自在にフロウするSIRUPへ。

ルーツであるR&B/ソウルそしてメインストリームのHIPHOPをベースに、変幻自在なボーカルとグルーヴィーなサウンドで今注目のアーティスト。

トンガったアーティスト像を思いつつスタジオで待機していると、やってきたSIRUPは礼儀正しくて気さくなお兄さんでした。ちょっと安心したりして。

ちんとの最初の会話は、「SIRUPさんって呼びます?」「いやもうSIRUPでもう(笑)」という不思議なやりとりからスタート。なんすかね、なんか不思議な会話ですよね。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


今日のドライブミュージックは、Brasstracks feat. Xavier Omärの『Stay There』でスタート。メッチャクチャかっこいいサウンドにSIRUPもついでにちんも上機嫌です。

「ブラストラックっていうトランペットとドラムの人なんですけど、チャンス・ザ・ラッパーの『No Problem(Chance the Rapper ft. 2 Chainz & Lil Wayne "No Problem")』をプロデュースして有名になって、僕、全リリースチェックしてるんですけど最近だとこの曲が好きで、めちゃくちゃ気持ちいいんですよ。まさにドライビングミュージックかなと」

チャンス・ザ・ラッパーはSIRUPに大きな影響を与えた人の一人。常に新しい音楽へアンテナを伸ばしているSIRUPの音楽と人を紹介する最初の曲としてはバッチリ。

そんなSIRUPの新しい音源は昨年リリースして話題となった『SIRUP EP』につづく2nd EP『SIRUP EP2』です。

5月に先行デジタルリリースされた『LOOP』を筆頭に前作よりさらにパワーアップした全7曲が収録されています。

「今回も前回と一緒で、今作りたいサウンドと伝えたいメッセージをどんどん曲として作ってまとめたものになるんですけど、 今回は前作がリリースされて、それを聞いて呼応してくれたトラックメーカーの人だとか出会った人達とバンバン作っていった感じですね

その言葉通り、色々な才能と制作していくのはSIRUPとして活動する上でのテーマでもありそうですね。

前作では小袋成彬氏率いるTokyo Recordings、今作に至るまでYaffle、小島裕規と、音楽シーンの次世代を担う面白い才能が集まっている印象です。

「そうですね元々のコンセプトの中にもそういう概念が入ってるそんな感じです。前にあった人とやらないとかはないんですけど、どんどんできるだけいろんな人と作って、いろんな自分も引き出してもらえますし。その人とセッションして生まれるものとかをもっと大切にしたいなと。 自分がチャレンジしようと思う気持ちがだいぶ大きくなってきたんかなと思いましたね」

SIRUP自身もそういった才能とさらに活動の幅を広げています。
例えば今回のサウンドの要にもなっているSoulflexはSIRUPも参加するクリエイティブクルーです。

「バンドとしてのリリースとかも今年はずっと毎月曲出してるんですけど、バンドがいてラッパー、シンガー二人ではトラックメイカーもいるんですけどカメラマンと絵描きもいたりとか。なんかこう面白いものやろうっていうグループですね」

最新のHip-Hopシーンやクラブサウンドを取り入れながら、歌うようにラップし、ラップするように歌う。これもまたアメリカのチャートを席巻している流れに呼応しつつ、しっかり日本のポップスに昇華させたナンバーが揃っています。

そんなEPの中からSIRUPが、象徴する一曲として選んだのは自然と体が揺れるダンサブルなナンバー「Do Well」。

「この曲は、あの本当にただただ楽しんで欲しいなって思って作った曲で、メッセージ的にもこの曲を聴いてたら、色んな事どうでもよくなるわ、なんとかうまくいくやろ!みたいな意味で作ったんです。

直感的な単語の羅列とかをいっぱいしてるんですけど、僕の中でポジティブなクリエーションのことをずっと言ってるみたいな感じのリリックで、多分何言ってるかほとんどわかんない感じかもしれないんですけど(笑)全体でフィーリングで聞いてくれたら楽しめるんじゃないかなと

この曲についてのすごく面白いリリック=歌詞の取り組み方は、次の「どんなサウンドでもワードがしっかり耳に入ってくる」という感想に対する答えの中でさらに明確になります。SIRUPが考えるサウンドと歌の関係について。

「なんかスタンスの話になっちゃうんですけど。SIRUPを始めて踊れる楽曲にしたいのが一番なんですけど、歌詞がすごい先行して歌詞ばっかり聞いてぐってなるよりは、踊れるけど歌詞もちゃんと入ってくるというか、サブリミナル的にメッセージが伝わってくるのが、音楽として直感的でいいんかなと思ってるんでそれをスタンスとして守ってる感じはあります」

時に文章をそのまま伝えるのでなく、音楽とワードが密接に絡み合うことで「ひとつの楽曲」としてメッセージや詩情を伝えるのがベスト。ということでしょうか。

この曲ではSoulflexチームによるサウンドプロダクションでクールに盛り上げます。それにつけても全体にサウンドの直輸入感というか質感にやはり耳が惹きつけられます。

「こだわってるかもしれないですね。あのーもちろんフィルターは通しているんですけど、スタンスとしてこういうHip-Hop、R&Bならその上で自分の色を出していたいんで、できるだけその直輸入的なサウンドに近づいていくようには気にしてます」

近年、世界のトレンドを旺盛に吸収するというよりは、少し内向きに影響を受け合うことも少なくない国内の音楽の世界で、こういうスタンスは頼もしいです。

もうひとつSIRUPを特徴づけているのはそんな世界のR&Bやクラブミュージックとリアルタイムに共振したマニアックな一面もありながら、作品としてのキャッチーさを外さないところでしょう。
例えばこの曲なら印象的な「♪Da Da Da Da,Do Well」と繰り返されるウキウキするようなフレーズ の繰り返しは、楽しくてこの曲のポジティブなメッセージを際立たせます。そして、そこにも意識的で、きちんとした考えがあるのでした。

「好きに音を作っているもんで、もしかしたら(とっつきにくい)耳馴染みがない要素とかもいっぱいあるかもしれないんですけど、(その分)サビでちょっとポップでキャッチーなものを置いて、みんなで歌ってライブとかも楽しめるかなって。自分自身がそういうスタンスが好きなんですけど、あの、皆ライブで一緒に歌ってほしいなと(笑)

そう言ってヘヘヘと無邪気に笑うSIRUP。スタイリッシュでマニアもうならせるサウンドではありますが、同じくらい本人の人懐っこさが音に表現されているということなのでしょう。SIRUPの丁寧で穏やかな語り口に耳を傾けていると、結局根っこがポップな人なんだろうなあとも思えます。

尽きることのない音楽のお話。
始終、穏やかで理知的なSIRUPは、音楽への深い愛情と熱意が感じられて、普通の言葉にリズムがあります。とても気持ちのいい時間でした。

それでは、最後に番組中、SIRUPの一面を垣間見ることができた一番笑えたやりとりを紹介して今日はおしまいにします。

---SIRUPって英語の発音がすごい良いじゃないですか?

「でも、しゃべれないんですよ(笑)。マジで今勉強してますね。
この前、ついに韓国でライブしたんですけどそれが初めての海外でして(笑)。韓国の若い世代の人って結構。英語結構喋る人いるみたいで、ガンガン話しかけてこられるんですけど『センキューセンキュー』って(笑) ややこしいんですよね。めっちゃ発音だけ勉強してるんで」

最高でしょ。

  

SIRUP - SIRUP OFFICIAL SITE (外部リンク)

  

次週、9月22日はAimerを迎えします。お楽しみに。