毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。
今日のゲストはフレデリックの三原健司さん。#フレデリック
巷に音楽が溢れている今、個性的であることが困難なこの時代に、圧倒的に個性的で独創的な楽曲とパフォーマンスで人気のロックバンド、フレデリック。
そのバンドで唯一無二のボーカルで魅了するのが三原健司さんです。
だけどスタジオに入ってきた健司さんは至って爽やかで誠実そうな方。そんな健司さんがドライビングミュージックに選んだのは超個性的な伝説のバンド、BO GUMBOSの『トンネルぬけて』でした。
やっぱりタダモノではないみたい。
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1989年のファーストアルバム「BO & GUMBO」に収録されているこの曲。健司さんは1990年生まれです。
「リアルタイムではないんですけど、僕、SUPER BUTTER DOGっていうバンドがすごい好きで、ずっとルーツとしてもあるんですけど、ボーカルの永積さんのハナレグミで『トンネルぬけて』をカバーしたのをたまたま聞いた時に「この曲すごい曲だな」と思って。僕、最近運転免許取ったんですけど その時に一番はじめにかけたい曲ってなんなんやろ?って思った時にこの曲しかないやろって思って。」
いいお話。
そして、フレデリックの個性的な音楽のルーツの一端を垣間見たような気もしますね。
そんなフレデリックは先月、新曲4曲が収録されたEP『飄々とエモーション』をリリース。
表題曲『飄々とエモーション』はじめ、強力なナンバーや話題曲が詰まったこのEPですが、健司さん自ら「結構今までのリズムを大事にしてたフレデリックとはまたちょっと変わって、歌を軸にアレンジとかを変えていったりしてます」と語る、意欲作でもあります。
そもそものきっかけは4月に地元神戸で大成功だった初のアリーナワンマンライブだそうです。
「僕らにとって初めてのアリーナ公演っていうものを、思い出として残したくなかったんですね」
「残したくない?」ですか。
「ここがピークにしたくないっていうか、バンドとして初めてのものはやっぱりメモリアルなものになるじゃないですか。でもそこで、どういう方向を見せていくのかがこれからのフレデリックにもつながってくるなって思った時に、やっぱり新曲を一番最後にやりたい、披露したいっていう気持ちがあって今回の制作はずっと始まってたんですけ」
表題曲「飄々とエモーション」はまずタイトルの「飄々」という言葉選びが非常にユニークです。
「ライブやるにあたって、どういう歌詞、どういうメッセージを提示するのか。どうやったら先に進めるのかなと思った時に、この「飄々と」っていう言葉が出るのが何か面白いなって思って。
反面、飄々としているだけでもダメだなって思って。
飄々としている内側にはすごい感情がこもってますし、なんかウチのメン
バーって結構四人が四人とも負けず嫌いだったりしますし、でもそれが表に出るようなタイプでもないので、なんかそういう人間性も含めて飄々とエモーションしてる人たちだなっていうのもあったりとか。
結局なんかフレデリックの決意表明が新しくできたなと思ってて。 本当にここから何か始まるんじゃないかと、自分たちでも思えるような作品になりましたね」
「シントウメイ」は発売90周年を迎えるキリンレモンのあの「キリンレモンのうた」をモチーフにしたナンバー。CMでもおなじみです。
「いやもう光栄な話で。本当に俺の声で歌って大丈夫なんかなって思ったんですけど。 あんなに爽やかな清涼飲料水のメロディーをこんな癖のあるボーカルでいいのかなみたいな(笑)。
これはある意味挑戦状叩きつけてもらえたみたいなところで。じゃあもうそっちの爽やかな歌い方をするんじゃなくて『こいつの声なんやねん』って思われるぐらいにやってやろうととか、結構そういう風な気持ちで歌いましたね」
少し照れくさそうに笑う健司さんですが、結果フレデリックらしい一曲になりました。
そんなEPの中で健司さん自ら楽曲解説でピックアップしたのは、オリエンタルな雰囲気で新基軸でもあり、そしてフレデリックらしい一曲「NEON PICNIC」です。
「この曲を作る歌詞のきっかけは、僕らはツアーで台湾にも行ったんですけど、そこで見た街の風景とか。その台湾って夜市ってあるじゃないですか。屋台がいっぱいあってすごいイルミネーションも綺麗で。そういう時の思い出とかなんとか曲としてを取り込めないかなっていう話をした時に、この楽曲はできあがりました。メッセージ性っていうよりかは結構、情景というか風景を曲にしたみたいなとこありますね」
この楽曲では、健司さんの双子の弟でフレデリックの作詞作曲も担当している三原康司さんのボーカルも聴きどころです。
「サビの中で『君はなぜあの星に触れたこともないくせに」の1節目は僕なんですけどもその後の「ネオンライトの...』のあたりはベースの康司が歌っているんですよ。
フレデリックで大事にしてることの一つが、メインボーカルが歌うからこれはバンドなんだっていうような概念というかあんまり作りたくない。そういうのは大事にしていきたいと思うんです」
それにつけても、双子でも個性が異なるボーカルですね。
「歌い方とかも似てもないですし声質も僕よりだいぶすごい低いところがでるんですね康司は。でも二人でハモった時とかすごい綺麗に一致したりとかあるんですけど。
なんか僕もそのボーカリストとして康司が歌ってるニュアンスとか一つ一つのその歌に対する姿勢とかすごい好きで。そういう部分がかなりお互い切磋琢磨しあってる様子がこのNEON PICNICの中にあるんで結構面白いですね」
思いがけず、兄弟のちょっといいお話も聞けました。
そんなボーカルのみならず、この曲ではメロディが際立つ今までとはまた違う新しいアプローチが特徴です。
「この曲に関しては、そのメロディーをやっぱり立たすためにガッツリ楽器で足していくっていうわけではなくて、メロディに対してとかリズムを作っていく中の間、隙間を見つけてそこにギターフレーズを入れていくとかそういうことを大事にはしていますね。全員が隙間を埋め合うことで一緒に同じフレーズを作っていくっていうよりは、全員でバトンを受け継ぎ合うみたいな」
健司さんが話してくれる言葉の端々にバンドに対するふんわりとした愛というか、思いのようなものをすごく感じます。今のフレデリック4人がお互いを尊重しながら一丸となって、前へと進んでいる様子が伺えるようです。
そんな、今まさに前進前進のフレデリック。この秋から『FREDERHYTHM TOUR 2018-飄々とインセプション-』を開催。12月16日(日)に、『広島・BLUE LIVE』でのライブが決定しています。
「なんか本当に僕らの一番大事にしてることの一つがやっぱライブでもあったりとか。その音源とライブって全然別物だと考えていて。音源はその時点でのベストじゃないですか。それを越えて行くのはライブでしかないなと思っていて。音源のその一週間後にライブがあるんならもっと超えていきたいとか、そういうことを大事にしていて。ライブでは常に昔をずっと更新し続けて、お客さんの声も含めて進化していこうっていうの大事にしてます」
福岡での予定は今のところは未定ですが、現在は「第一弾」の発表ですね。
「第一弾て言ってるからなんかあるんちゃうかな!と思ってるんですけどね 。明るい未来が待っていると思います(笑)」
期待しましょう。
すごく軽やかな語り口ながら、今の自分達の思いや楽曲への思いを伝えようという意欲が伝わる健司さんのお話。今、バンドがとても良い状態であることも自然と伝わってきました。
後半は少し肩の力も抜けて笑顔もたくさん。とても楽しいお話を聞くことができました。
「バンドとして作詞作曲がその弟の康司なので、そういうところと別の、自分の目線として紐解いていくってあんまなかったので面白いなと思いました」
と、喜んでいただけたよう。
最後にリスナーの皆さんに一言。
「改めて一曲一曲を大事にしていきたいなって感じれましたし、それをライブでどんどん披露して進化するフレデリックをこれから見せしていけたらなと思っておりますんで、これからもフレデリックどうぞよろしくお願いします」
ありがとうございました。
フレデリック FREDERIC OFFICIAL WEB SITE (外部リンク)
次週8月11日はCRAZY KEN BAND をお迎えします。どうぞお楽しみに。