6月23日のゲストは、ceroのみなさんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストはcero。 #cero
高城晶平、荒内佑、橋本翼のお三人がスタジオに来てくれました。

常に新しい音楽を追求してポップスの可能性を更新する西東京の三人組。
2015年のアルバム「Obscure Ride 」はネオソウルやジャズなど当時のブラックミュージックのトレンドをいち早く取り入れ見事に消化した傑作として熱狂的に受け入れられ多くの雑誌やメディアで年間のベストアルバムに選出されました。

ライブや新アルバムのプロモーションで多忙な皆さんですが、なんだかずっとニコニコして思いもかけないユルたのしい音解となりました。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口

(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


まずは荒内さんが選んでくれたドライビングミュージックはエイミー・ワインハウスの「Rehab」。
27歳でこの世を去った破滅型の天才シンガーソングライターの代表曲。

「先日長野に車でドライブに行ったんですが自分はいわゆる田舎というのが苦手で。あのう整頓されすぎてるのがなんか落ち着かないんです。そんな時にかけたのがこの曲で」

美しく整った風景に混沌の極みエイミーを投入。ってところでしょうか。そんなことを少し申し訳なさそうに話している荒内さんと苦笑いしている二人を見ていると、なんだか根っからの都会っ子ってエピソードだなあと笑ってしまいました。

ちなみに常にあらゆる方向にアンテナを張り巡らしているceroの皆さん、最近気になっているアーティストは?

高城さんは最近のお気に入りはライ・クーダーの新譜「The Prodigal Son」。
橋本さんは韓国の???(SESO/NEON)を聞いているとのこと、気になる方は是非チェックしてみましょう。

そんなceroの皆さん。
「Obscure Ride 」に続く四枚目のアルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』がついに先月発売されました。

前作の流れを引き継ぎながら、ブラジルやアフロ・ポップ、ワールドミュージックへと傾向はさらに広がり、むしろ原点回帰的な雑多でより高度な音楽をポップスのフォーマットに落とし込んだ意欲作。早くもヒット中です。

一聴していただければ分かるかと思うんですが、リズムにまず特徴があって、サポートメンバー含め8人で作り上げているバンドなので、そのリズムも声もいろいろ重層的な感じのアルバムになりましたね」

耳を澄ますとその多様なリズムが交錯し聞き慣れないリズムやグルーブが、有機体のように一曲の中に織り込まれていることに驚くはず。

そんなアルバムは荒内さんの手になる「魚の骨 鳥の羽」から始まりました。

「まず荒内君が作ってきたところから始まってるんですけど、この3年間で最初の1年間ぐらいは荒内君が勉強に費やしてたっていうか、今回はまず荒内君が学んだ研究報告として『魚の骨鳥の羽』を出してきた ようなところがあって。僕らはそれを後追いで一生懸命勉強するみたいな。前半はかなりそういう時間が多かったですね」

4拍子と3拍子の複雑なクロスリズムが聞く人の動物的な感覚を呼び起こすナンバー。それはたゆまぬ研究の成果でもあったんですね。

それにつけてもライブはもちろん、レコーディングだって大変そうな曲ばかり。演奏は実際大変なようで、

「コーラス練(練習)とかやったりしてね。あんまり今までやってなかったんですがリズム隊はリズム隊でコーラスはコーラスで集まって(合宿みたいに)練習したりしましたね。文化祭の準備みたいで楽しかったですけどね(笑)」

そういえばceroってどこか終わらない文化祭の準備みたいなイメージがあります。気がついたらプロならやらないような向こう側まで追求して嬉々としているような。そこが魅力でもありますね。

さて、そんなアルバムから一曲、さらに紐解いていただくべくピックアップしてくれたのは、アルバムの中でもひときわポップでストレートな楽曲「レテの子」です。

冒頭のドンドコドンドコ、ジャンプやジャイヴなどビッグバンド的な跳ねるリズムが楽しくて印象的です。

「この曲はネタ元、といってはなんですが山下達郎さんの「アトムの子」を下敷きにしてます。ジャングルビートをどこかに入れたいなというところからスタートしています」

確かに!だから「レテの子」?
確信犯的な引用などは従来からceroの得意技ですが今回のアルバムでは非情に珍しいナンバーです。ただジャングルビートの導入はこのアルバムに多面的な視点を与えて深みを与える意味もありそうです。

ジャングルビートっていうのはアメリカの人間がアフリカの音楽を真似たようなものですが、アフリカ音楽直系ではなくフェイクといってはなんですが(外から見た) 『エキゾチズム』なんですよね。

片や「魚の骨鳥の羽」とかはポリリズムだったりとかアフリカの音楽そのものを取り入れて作ったものと、この曲のように外から見たアフリカのビートみたいなものが期せずして同居しているところに面白みがあるかなと思うんです」

一方荒内さんは「この曲は2番で高いくんのボーカルがだんだんラップ的なアプローチになっていくところが すごくかっこいいなと思いました。ファレルみたいな」

高城さんも「そうそう、このときは作っている間にファレルの話もよく出てきていて、ファレル的な大きいポップスを一個入れたいという話も出てました」

橋本さんは「リスナーの1人として聴くと、すごくポップでハッとするような気がします。この曲のおかげでアルバム全体が聞きやすくなってると思います」

近作では音楽の革新的で学究的なアプローチに目が行きがちですが、最終的にポップスとして着地させるところにこそceroの魅力があります。そのポップスとしての本来のメロディとアレンジの魅力を突き詰めているのがこの曲といえそうですね。

福岡でのライブは5月27日にすでに終了しているのですが、緊張感と静かに燃えるテンションの素晴らしいステージを見せてくれました。そして、音楽に取り組んでいることが本当に楽しそうなステージのメンバーに微笑ましくもありました。

「今回のアルバム、ライブでもすごく楽しめる内容になってると思いますので、ぜひ今後もライブなどありましたら遊びに来てほしいです」

今回、素晴らしいアルバムを題材に興味深いお話をたくさん聞かせてくれたceroのみなさん。

実は放送ではそうでもなかったんですが、裏では最初から最後まで笑いっぱなし。

ひとえにちんがつまんない事で悪ノリしてしまいまして...申し訳ない! 結果ずーっとちん。も含めてヘラヘラ。
でも、とても愉快な今回の音解でした。

また懲りずにおいでくださいね。

ちなみに一番ツボっていたのは荒内さんでした。

cero official web site(外部リンク)

  

次週6月30日はサラ・オレインさんをお迎えします。どうぞお楽しみに。