6月16日のゲストは Official髭男dism、藤原聡さんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」

今日のゲストはOfficial髭男dismから藤原聡さん。
音解では昨年11月4日以来、約半年ぶりの再登場です。#Official髭男dism


まずはいつものドライブミュージックでスタート。
なんですが、藤原さんがピックアップしたのは、なんと谷村新司さんの「サライ」。

「機材を乗せていつも長距離車移動するんですけど。 運転をしているベースの楢崎が東京に近づくといつもかけるんですねこの曲を」

グランドフィナーレ!24時間テレビの。

「はい(笑)なので遠征と言えばサライで。そのサライをバックに反省やら未来の話をすることが結構あってわりとサライはエモいというか(笑) 感情がこみ上げると言うか」

笑っちゃうんですが、聞いているとたしかにエモいなあ、なんて思ったりして。

そんなわけで、今日の音解はなぜか雄大なフィナーレからスタートしたのでした。泣けますね。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


インディーズながら卓越したポップセンスと歌詞、激しくもキャッチーなステージでまたたく間に人気者となった「ヒゲダン」ことOfficial髭男dismですが、わずか半年の間に状況は大変化。

世間の人気は留まることなく、あっという間にメジャーデビュー。しかもいきなりヒットソングの登竜門月9ドラマ『コンフィデンスマン JP』の主題歌です。

インディーズのアーティストが月9のテーマソングに抜擢されるのって非情に珍しいのでは。

「そうですね。制作をされてる方が主題歌を担当するアーティストを探していて、偶然聞いてくれたらしくて。その時にこいつらだと思ってオファーしてくださったそうです。音で選んでくださったことが本当にアーティスト冥利に尽きるというか本当に意外だったし嬉しかったですね」

目の前の藤原さんは前回と変わらず控えめで普通にニコニコ笑ってお話しているんですが、結構すごいお話です。

そんな強力なシングルも含む13曲を収めたファーストアルバムが4月に発売された『エスカパレード』です。

新旧のブラックミュージックをベースにした心躍るダンスナンバーと、「美メロ」としかいいようのない端正に練り上げられた日本のポップソングらしい極上のミディアムからスローナンバーが詰まった一枚。個人的には2018年のポップソングのアルバムとしてはベスト級の素晴らしい作品です。

ほんとにグッドメロディをとにかく作りまくったなあと思います。13曲ともメロディーがいいし歌詞のはまりとかメッセージ性とか、そういうところに本当に妥協なくなくこだわり尽くした楽曲かなと思っているので。アルバム一枚聞いていただきたいアルバムができたな、と思っています」

さらにこのアルバムを深く理解するべく、1曲ピックアップ。 藤原さん自身が選んだのは、アルバムの冒頭を飾るしっとりとしたナンバー『115万キロのフィルム』です。

「一番大きなこだわりポイントは『バランス感覚』です。この曲って歌詞が先に出来上がったんです。自分が男性として映画をずっと撮影しているかのように相手のことを愛おしく見守って、これからも二人でいろんな体験をして行こう。それが自分たちの人生の映画になるんだね。というすごくロマンティックで物語性のある歌詞なんです。だけど曲調も相まって、ちょっと子供っぽいというか中性的と言うかそういう風になっていくなあ、っていう歌詞だったんですね」

ここまで流れるように一気に。
歌詞が甘めなので全体が甘くなりすぎないように、藤原さんが工夫したのは歌い方です。

あえてちょっとキーを下げてるんですよね。自分の声は割合高い方なのでもうちょっと下げて、男性から『これからもよろしくな』と男らしく出したいってことなんですね。歌い方もあえてザラついた歌い方にしていて。声を張ると密度が増すんですね。今回は密度を増さずに、喋ってるように歌うように心がけてて、そうすると息の成分とかが声に入ってくる。そういう歌い方なんですね」
 
藤原さんはこういう微妙な音楽の話をわかりやすく言語化するのが本当にうまい。とてもわかり易いです。

しかし、このしっとりしたナンバーからアルバムスタートというのはどういう意図が?

「この曲が一曲目に来る意味は、これから始まりますよっていうオープニングを飾るにふさわしいと思いましたし、もうひとつ、前作にあたる「レポート」っていうミニアルバムの最後のナンバーが「トレーラー」という映画の予告編という意味の曲なんですね。で、予告編で終わったなら次は本編、映画で始まるべきでしょ!っていことでこの曲ってことでもあります」

なんと前作からのつながりもあるわけですね。
そうなると『115万キロのフィルム』というタイトルにも深い意味がありそうです。

「フィルムで人生を撮影したとして、20歳から80年間でフィルムの長さが115万kmになるんですね。で、それくらいあれば二人のこれからの人生を収めることができるよね。って意味もこめているんです」

「(そんなロマンティックな歌詞)だからこそ、男性らしい声の出し方、キーの設定などにこだわらないと自分の伝えたい事がちゃんと伝わらないなと思ったのでこだわったんです」

なるほどなるほど。


Official髭男dismは「ノー・ダウト」のように、メインストリームのブラックミュージックをいち早く取り入れたアッパーなダンスナンバーもある一方、丁寧にメロディを紡いで繊細な歌詞を丁寧に歌うポップソングも魅力です。

僕、J-POPが好きなんです。かたやブルーノマーズとかマイケルジャクソンにも影響を受けていて、同じコード進行というかループを回してその上で展開していく洋楽的な楽曲もやりたいんですが、コードに縛られることなく、グッとくるコード進行を使いながらメロディの良さと歌詞で物語を訴えていくって音楽も自分の中で理想のバンド像として』やっぱり欠かせなくて。なのでこういう(J-POP的な)曲も必ず同じディスクに入っていることは、自分の中ではすごく意味のあることなんです」

こうやってお話聞いていると、本当に頭の良い方だなあと舌を巻きます。
どんな方向からどんな質問をしてもわかりやすく、そして欲しい答えを的確に言葉にしてくれます。加えて、自分たちの音楽への愛とそれを伝えたい情熱のなせる技でもありますね。

そんな情熱が一気に開放されるのがOfficial髭男dismのステージです。
先日5月にDRUM Be-1で行われたライブでは、そんなクールな一面から一転、冒頭30分で汗が飛び散る若さ爆発のステージを見せてくれました。

「ライブはすごく楽しくって、CDとやっぱアレンジをちょっと変えたりするんです。それって例えば CDって割とクローズドな環境で聴くもんですけど、ライブって大人数で音楽を共有するものじゃないですか。だから同じ音を必ず出さなきゃいけないものじゃないよなって最近思っていて。最近はライブならではのアレンジっていうのを積極的にやるようにしていて、それが結果的にショーとしていいものになることに一役買ってるんじゃないかなと思いますね」

このあとも、ヒゲダンの福岡でのライブ、続々決定しています。どうぞお見逃しなく。まずは夏の風物詩、NUMBER SHOTに参戦決定です。  

NUMBER SHOT 2018

7月21日(土)?22日(日)海の中道海浜公園 野外劇場
※Official髭男dismは22日に登場です。
NUMBER SHOT 2018 (外部リンク)

Official髭男dism one-man tour 18/19

1月26日(土) DRUM LOGOS

その他詳しくはOfficial髭男dismオフィシャルホームページ(外部リンク)にて


「今日も楽しかったですね。本当にどこでも話してない話をこの番組でさせてもらって本当に嬉しいです」

そう言って嬉しそうにニッコリ笑う藤原さん。
隙がない!そんな風に思いつつも、ステージでのやんちゃな子供のように喜びを全身で表現する藤原さんも思い出したりして、音楽も人もなんて魅力的なんだろうなあと感心しきりの私達でした。

またスタジオにやって来てくれるのが楽しみですね。

  

次週6月23日はCEROをお迎えします。どうぞお楽しみに。