毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。
今日のゲストは先週に引き続きバンバンバザールのお二人。
福島康之さんと黒川修さんの二人。
考えてみるとゲストでもありますけど、お相手のこはまもとこも加えてエフエム福岡のパーソナリティ2人がいるわけですし、福島さんも勢いヒートアップ。番組史上、かつてないほど笑いいっぱいの賑やかな音解となりました。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→ FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミア会員 の方が聞くことができます)
今週は黒川さんが選曲したドライビングミュージック、Valentin Elizaldeの『EL VENADITO』からスタート。こはまも初めて聞く曲です
この曲には、今よりちょっと若きお二人がかつて訪れていた西海岸での思い出エピソードがありました。
「2004年からしばらく、僕らバンバンバザール一同で東京でレコードショップをやってたんですね。でそのころ買い付けにアメリカの西海岸よく行ってて。ラジオを流しながら『最高だね―』なんて。ラジオで流れるスペイン語が博多弁に似てるね―なんつってスペイン語に親近感をもってたんですけどね」
「その耳でフリーマーケットに行ったら。めちゃめちゃご機嫌なスペインの音楽が流れてくるんですよ。でこれは何だっつったら北島三郎みたいなおじさんが、『おいハポン』と、『お前コレ知らんのか』と、『バレンチンエルザルデに決まっとるだろうが』と(笑)。
そのおじさん(北島三郎さん似)から買って それ以来車の中でこれを爆音でかけながらアメリカ中駆け回ったんですよ」
爆笑のエピソードのフル版はぜひタイムフリーで。
この曲について黒川さんから一言
「日本ではほぼ手に入らないと思いますが、ぜひどうぞ!」
さて先週に引き続いて5年ぶり15枚目の新しいアルバム「えとらんぜ」から、今日は1曲ピックアップしてお二人に紐解いていただきましょう。
この一曲からバンバンバザールの音楽すべてに通じる楽しさの秘密、お二人の信頼関係、そして音楽に対する向き合い方まですべてが見通せる楽しいお話がたくさん聞けました。
選んでくれたのはこのアルバムの1曲め、カラフルで楽しくちょっと切ない「Stranger(feat.Inotomo)」です。
こはまも車の中で聞いて「ストレンジャ~♪」から始まる美しく切ないボサノヴァナンバーで、大変お気に入りだそう。
そんな中で気になる点も。
クレジットを見ると「Stranger 日本語バージョン」という表記を発見。じゃあ日本語バージョンじゃないストレンジャーがあるんですか?
「実はですね。このストレンジャーのバックトラックはもう10年前に録音したものなんですよ」と福島さん。
この曲にまつわる数奇な運命について披露してくれました。
「ブラジル人シンガーのですねCatiaさんという女性シンガーがいらっしゃるんですけど、その人が10年前ぐらいに来日した時にセッションで作った曲なんですね。日本語で書いたんですが、外国人の方が日本にやってきて迷子になる、みたいなイメージの曲ですってことを伝えてポルトガル語で歌ってもらったんです」
そうしてサウンドができあがったものの、
「出来上がった時点で、これバンバンバンの曲だろうか?ってなったんです当時」。
当時のお二人にはなんとなくフィットしないということで、そのままに。
それから10年。
拠点も福岡に移り、今回のレコーディングの間のツアーで、かつて住んでいた東京で宿泊。まわりが外国人だらけで所在なさや違和感を覚えた福島さん、ハッと気づいたそう。
「この感じ知ってる!」。
「東京に住んでたから東京に泊まることはなかったじゃないすか。だから、東京ってのやっぱこういう町なんだなっていう風に思ったりもしたし、実際、地下鉄に乗ったり空港に向かったりとかする光景のようなものはもともと思いっきり自分が書こうとしてた世界だったんですね。
福岡でもストレンジャーになってるし東京でも福岡から来てる人間になってるし」
それから、その日の夜に日本語の歌詞を手直してすぐに録音したのだとか。
ずいぶん長い間お休みさせていた楽曲は、福岡に移り住むことで今回のアルバム全体のテーマを象徴するような一曲に成長したわけですね。
ちなみに今回Catiaさんがフィーチャリングしたナンバーも「ポルトガル語バージョン」として「Stranger (feat. Catia Werneck) by Ban Ban Bazar」で世界デジタルリリースされました。
さらにこの曲はサウンドにもたくさんの秘密が。
黒川さんが大正琴を弾いている?
「そーなんですね。あのね、ツアーで車で日本全国回るじゃないですか。その時にリサイクルショップあるじゃない。あそこに入って掘り出し物さがすのが好きなんですね、楽器とか。 プロミュージシャンとしてあるまじき行為ですけど(爆笑)」
楽器屋さんじゃなくって?
「まともな楽器屋さんには行きませんよ。 だってまともな楽器しかないですから(笑)!以前ちょっとイベントで見かけた大正琴アンサンブルがすごく気に入っていたんですよ。知ってます?ベース大正琴とかソプラノとか。普通に買うと結構するんですけど、ハードオフのジャンクコーナーなら2000円です(笑)」
改めて聴いてみてくださいね。冒頭からこのナンバー、ハードオフの大正琴大活躍です。
「2000円のソプラノ一本と2500円のテナーその2本が入ってます!」
ちなみに尺八もジャンクコーナーで買ったそうですが、結局キーが合わずに断念したとか。
このあたり、面白話でガンガンスタジオを沸かせていますけど、アーティストとしてありきたりでつまらないことは絶対しないぞという、いかにもバンバンバザールらしいこだわりも感じられるエピソードでもあります。
そして、それもお二人の間の信頼感と阿吽の呼吸があればこそ。
「そうですねえ。日本と世界とか、福岡と東京とか、オリエンタルなものと南米のものとか、異国のものを混ぜたいなという気持ちがあったので(大正琴も)「リーダーちょっと前買った大正琴入れてみません」っていったら「いいね」って言って終わりで」
そんな並外れた遊び心も結局、聞けばわかるようにとろけるような美しいナンバーの強い武器にしてしまうんですから、見事です。
大正琴だけではありません。
この曲、その大正琴のフレーズからはじまりますが、その後からは南米のカヴァキーニョっていう小さな弦楽器に変わったり。スキャットはInotomoさんじゃないなあ、と思ったら実はオリジナルのCatiaさんの声だったりもします。
一聴しただけでは、ただ美しく軽快でサウダージ感覚あふれるこのナンバー1曲の中に、こんなにいろんな工夫と遊びが込められているんですね。
◯ッホタッチで描かれた美しくて洒脱な中洲の風景があしらわれたジャケットもそう。
パリの路地にあるカフェテリアかと思いきや、中洲の屋台街ではないですか。
隅から隅までバンバンバザールの工夫と魅力が詰まったアルバムなんです。
佐賀城下Jazz Festival 2018
2018年5月3日(木)~ 5日(土)
※バンバンバザールは5/4(金)の出演です。
詳しくは公式WEBでご確認を。
2週に渡ってお送りしたバンバンバザールの音解。 いかがだったでしょうか?
周囲を笑顔にせずにはいられないお二人、絵インターテインメントとしての音楽の楽しさが人としての魅力とイコールなんだなと思わされました。
と同時に、その裏にはアーティストとして一貫して一筋縄ではいかないこだわりの音楽性と、驚くほど客観的でクールな視点が流れていることもよく分かりましたね。
たくさんお話していただいてありがとうございました。
「そうですねえ。つい喋りすぎてしまいますねえ」と福島さん。
黒川さんも、またぜひスタジオに来てくださいね。
「またというのは来週のことですか」
...さすがなんであります。
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来週5月5日は、スキマスイッチを迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。