3月3日のゲストは寺岡呼人さんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手はこはまもとこです。

今日のゲストは先週に引き続き寺岡呼人さん。 #寺岡呼人

先週はジュンスカイウォーカーズでデビューして30年、そしてソロになって25年という節目の年に発売された2年半ぶりの新しいアルバム 「LOVE UNLIMITED」を中心に、アーティスト寺岡呼人として興味深いお話をたくさん聞くことができました。

お話しの間もさりげない気遣いやフッと息を抜くユーモアを交えながら自身の音楽についてわかりやすくお話してくれる呼人さん。「かっこいい大人だなあ」と感心する瞬間もたくさん。そして、ほんのちょっと寺岡呼人さんの音楽と人柄に触れることができました。

今週は先週に引き続きニューアルバムのお話などもうちょっとお聞きしつつ今度は「プロデューサー 寺岡呼人」について、またまた意外なエピソードなども聞くことができましたよ。
 

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/YOHITO2_onair
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


2月7日、ご自身の50歳の誕生日に発売されたニューアルバムが『LOVE=UNLIMITED』。

バラエティに富んだ素敵なアルバムですが、こはまが個人的に気に入ったのはアーシーなサウンドで伸びやかに歌われる「種まき人」。

人知れず誰に褒められるでもなく大地に根ざし未来のために黙々と種をまく誇り高き人。フランスの作家ジャン・ジオノの「木を植えた男 」の絵本を思い起こしました。

「人間だからこそ畑を耕してその場所をずっと守り続けていき、次の世代に引き継がれてまたその場所を守っていくみたいな、そういうことは人間しかできないなと思ったし、この年だからこそ歌えることだと思いますね」

そういう意味でアルバム収録の大人は最高!とやんちゃに肯定するロックチューン「大人はEぜ!」もこの歳になればこそ歌える大人のナンバーですね。

「『大人は持ってるんだぜ特別な"アレ"を』って言うサビが出てくるんですが、それって元をたどると僕が中3の時にきいたRCサクセションの『つ・き・あ・い・た・い』っていう曲なんです。『アレを持ってたら(俺は差別しない)つきあいたいぜ』て一節があって「アレ」は歌の中では出てこないんですけどね、僕なりの忌野清志郎さんへのオマージュと言いますか

少し呼人さん嬉しそうです。

そういえば作詞家寺としての寺岡呼人さんは、歌詞の物語やユーモア、余白の使い方など、ちょっとさだまさしさんの歌詞にも通ずるような気もします。

「今回、自分のバースデイライブにさだまさしさんに出ていただいて『さだまさしの前にさだまさしはなく、さだまさしの後ろにさだまさしはいない』って紹介させてもらったんですけど、改めて実感しましたね。僕例えば植村花菜ちゃんの「トイレの神様」とか去年は はなわくんの「お義父さん」で僕なりのさだイズムを継承してるつもりがあったんですけど、やっぱりとてもかなわないなーってつくづく思いましたね」と親交の深いさだまさしさんを評してくれました。

さて、そんな呼人さんですが、ジュンスカ、ソロアーティストとしての活動はもちろん、大ヒットした植村花菜さんの『トイレの神様』、ゆず、K、矢野まきさん、ミドリカワ書房、グッドモーニングアメリカ、さらに大ヒットしたはなわさんの『お義父さん』そして八代亜紀さんなどなど...プロデューサーとしても大活躍。

後半はそんな呼人さんのプロデュース作品から1曲ピックアップして、プロデューサーとしての寺岡呼人を紐解いていただきました。

自身で選んだその一曲はゆずの「月曜日の週末」。
荒々しい疾走感に溢れた初期の人気曲のひとつ。呼人さんはゆずには「夏色」「少年」「雨と泪」などデビュー以降、数多くの楽曲を手がけています。その出会いはデビュー前にさかのぼります。

横浜の伊勢佐木町に路上でやってる二人がいるんだけどちょっと見に行かない?って言われて、まだお客さん3人ぐらいしかいない頃に行きましたね。
当時、小室哲哉サウンド全盛みたいな時代だったのでゆずのちょっとレイドバックしたフォークは入る隙間がなさそうでした。でもその隙に入り込めたらインパクトはあるだろうなあとは思いましたね。売れるとか売れないとかってそれは全然わかんなかったですけども。」

そして、実際にプロデュースするにあたってもストリート出身ならではの苦労があったそうです。

「今の若い人達ってインディーズだって普通にレコーディングできる時代じゃないですか、だからプロでデビューする頃にはみんなも手慣れたようにレコーディングできるんですね、ところがゆずの二人は路上しか知らないんで、レコーディングスタジオも知らないんですね」

そこで呼人さんは少し頭を悩ませる事になります。

「実はレコーディングは『クリック』っていう耳元で鳴っているメトロノームみたいなガイドを聞きながらテンポをあわせてレコーディングするんですね。でも二人はやったことないので、それに合わせてギターとか弾けるわけがないし、逆に無理して合わせようとナーバスになると持ち味の勢いだったりを無くしちゃうと思ったんですね」

その結果、思いもよらない意外な方法でレコーディングされたのです。

「この曲よく聞いてもらったかわかるんですけど、まずこの二人にスタジオで路上でやってるのと同じ感じで(一発録りで)歌ってもらったんです。それが終わってから、ドラム、ベースがその音源に合わせて録音したんですね。だからズレズレなんです実は(笑)。本人たちはマイペースでビミョーに早くなったり遅くなったりするもんで、ドラムも歌詞を見ながら「ここで走る」とか「ここで突っ込む」とか「後ろに行く」ってメモしながら、何度も何度もドラムをたたいてるんですけどそれでも合わないんですよ(笑)」

疾走感ありますもんねえ。

疾走感ありすぎてぜんぜん合わないっていう(笑)。でも音楽の不思議というか魅力というか、テンポにあえば感動するとか売れるのかっていうそうじゃなくて。勢いとかそれ以上のプラスアルファがあるからその音楽って素晴らしいと思うんですね。その人たちのフレッシュさをより大事にするかっていうその代表がこの曲です」

まさにプロデューサー寺岡呼人の原点で、今に通じる信念がこの曲に詰まっているというわけです。

「僕自身もプロデュースは、はじめてだったんで毎日合宿みたいで楽しかったですね。でも、もう二度とこういうレコーディングは本人たちもできないと思うし、僕もできない」そういう意味でも得難い思い出の一つでもあるんでしょうね。

自分の色を出すのではなくアーティストとコミュニケーションを取りながら持ち味がなんなのかという所をすごく大切にする、それが寺岡呼人流のプロデュース術っていうところでしょうか。

「なるべくその人と話して面白いとかもうちょっと出そうよっていうかんじです。植村花菜ちゃんとかも過去の楽曲を聴いても素晴らしかったんですけど、本人の話のほうが全然面白んですよ。それがまったく曲になってなくってね。『なんでそのおばあちゃんの話も曲にしないの?』ってところからはじまったり。まあ、そういうやり方が誰でもってわけではないんですが。当たりハズレで言うとハズレも多いんですけどね」

「最近はK君もそうですけど、そういう言いたいことをまず二人で決めてから曲を作る、というやり方になってきましたねどんどんどんどん。でもやっぱりゆず出会ったのは大きいと思うし、そんなことがあればこそだと思いますね」


4月にはそんな盟友の一人Kさんを迎えてのプレミアムライブも控えています。

寺岡呼人ツアー 50歳/50祭 プレミアム

4月1日(日) 「寺岡呼人とK〜新曲披露もしちゃいます」
福岡 Gate's7 ※プレミアムゲスト:K
open/start 16:30/17:00

4月3日(火) 下関Live & Bar RedLine SHIMONOSEKI  
open/start 18:30/19:00
寺岡呼人 OFFICIAL WEBSITE (外部リンク)


この夜のためだけの新曲が披露されるとか。
「K君とはこのために曲を作ろうっていう風になってまして、今絶賛作ろうとしてる。けどできてないっていう(笑)。」

こちらもとても楽しみですね。

2週に渡ってお届けした寺岡呼人さんとの音解。
自分の年齢と向き合って自分の年齢とキャリアでしかできない音楽を突き詰めていきたいアーティスト寺岡呼人、アーティストの魅力を100%出せるよう自分のキャリアを惜しみなく提供する多くのアーティストに慕われるプロデューサー寺岡呼人。そんな2つの顔を知ることができたように思います。

最後に本当に楽しいお話をいっぱいしていただいた寺岡呼人さんから皆さんに。

「今年、30周年そしてソロで25周年で50歳ということがわかりやすい年なんですけども、これからもどんどんどんどん新しいことに好奇心持って挑戦していきたいなと思っております。福岡、下関のライブも是非足を運んでいただきたいなと思います」

そういえば、今回の番組で寺岡さんの口癖?に気が付きました。
   
「どんどんどんどん」。
いつも前向きに前向きに前進前進。2週に渡ってお話を聞きながらいかにも寺岡呼人さんらしいなあって思ったんですがいかがでしょう?

寺岡呼人さん、ありがとうございました!

  

次回3月10日は大橋トリオをお迎えします。どうぞお楽しみに。