毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手は香月千鶴です。
今日のゲストは大橋トリオ。 #大橋トリオ
ジャズを基軸にしつつも様々な音楽を取り込み、コラボやカバーで世間を唸らせながら常に心地よい極上の「J-POP」を送り続けている、一人だけども大橋トリオ。
いつも穏やかで落ち着いているイメージの大橋さんですが、スタジオでもそのまんま。
「音楽を聴くので一番好きなのは、ドライブ中なんですよね。なんでかって言うと、爆音じゃないと車だと音楽として聞こえてこないですよね。スピーカー飛んじゃってるんですけどね(笑)」
そういってまずは挨拶代わりに紹介してくれたドライビングミュージックはDawesの『When My Time Comes』。
「最近のバンドなんですけど移っていく景色にフィットするというか、なんかすごいちょっと古臭いウエストコースト感があって気持ちいいんですよね」
気持ちの良い声で、静かに楽しそうに音楽の話をする大橋さんは、肩の力が抜けて大橋トリオの音楽同様味わい深い。そんな印象でした。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/OHASHITRIO_1
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)
さて、大橋トリオといえば先月、2年ぶりのオリジナルフルアルバムオリジナル・フル・アルバム『STEREO』をリリース。
CMソングやテーマ曲でおなじみのナンバーや、グラミー賞受賞楽曲を手掛けた英国の著名エンジニアDan ParryがMIXをした「VENUS」、布袋寅泰さんがギターで参加した「Embark」など全11曲を収録。いつも以上に風通しがよく自由に思えるナンバーが揃っています。
「最初は『ダンス』にしたかったんですよ」と笑う大橋さん。
「アルバムコンセプトを考えて結局失敗するってのは毎回のパターンなんですが、えーっと、今回も案の定失敗しました(笑)」
結果できあがったのは、いつものようにバラエティに富んで名曲ぞろいのアルバムです。
「自分が純粋に聴きたい曲をですね。あと音楽的に満足いく曲っていうのをアルバムに一曲は入れたいんですよ。それに色んなタイプの曲もね。いずれはコンセプトとかちゃんと一貫したものを作りたいなとは思いますけどね。サムデイ(笑)」
緻密にコンセプトを立てて組み上げるように音楽を作るのかな?と思っていたのでちょっと肩透かし。タイトル「STEREO」の意味を尋ねるとまたまた意外なお答えが。
「これもぶっちゃけるとジャケットのデザインを決めてる時にデザイナーの人が「STEREO」って仮で入れてたんですよ。それ見てカッコイイな、かわいいなって、ここにいれちゃおうって。それで結局正式タイトルでいいなってことで」
「アナログをよく聞くんですね。そういうのを目指しているってのもあります。後付けですけどね(笑」」
少しシャイにへへへーっと笑っている大橋さんを見ると、10周年を越えて今、音楽と自然体で楽しく付き合っているんだろうなあ、とこちらまで嬉しくなってしまいます。
そんな想像は間違っていないようで、この春から全国15会場を回るホールツアー『ohashiTrio HALL TOUR 2018』のお話は、音楽活動がとても充実期に入っていることを伺わせます。
「今回のメンバー全員が親友ぐらいないい仲間なので、一緒にいて楽しいしストレスがないんです。ライブの間の空いた中日なんかでも、みんなで出かけたりとか全然できるんですよね。 そのメンバーになって12年。最近、お客さんの反応も変わってってきたんですよ。こっちが楽しんでるっていうのを純粋に伝わってて、それでいい反応が返ってくるんだなっていう。 だから最近はライブはやりたくて仕方ない っていう」
福岡のライブも間もなくです。
ohashiTrio HALL TOUR 2018
2018年4月8日(日)福岡市民会館
開場:17:00 開演:18:00
※ohashiTrio Official Website (外部リンク)
そんな充実期の新しいアルバム「STEREO」から大橋さん自らピックアップしてくれた一曲はピアノとギターの繊細なアンサブルと相まってあまりにも美しいナンバー「birth」、アルバムの7曲目に収録されています。
「7曲めて大事なんですよ、なんとなくですけど。松任谷由実さんのアルバムって7曲目に絶対いい曲入ってるっていうイメージがあるんですよ。ご本人が大事にされてるんだろうなっていう」
といきなり松任谷由実さんと「7曲目」についてアツくお話が始まりました。
「ユーミンの場合は7と10。『冬の終わり』っていう曲は『TEARS AND REASONS』ってアルバムの確か7番目ですよ。それにあわせて、いつも僕はずっとベースを弾くんですよアルバム一枚。気持ちよくって。」
「なんか自分が気に入る曲が7と10が多いなあっていう。ちょっとメロウ系なんですよね。それを7と10に持ってくるっていうのがあるのかもしれないですけど。もしかしたら間違ってるかもしれないけど、でも7はそう」
そんな大橋さん曰く「いい曲枠」の7曲目にこのナンバーを置いたのは、もちろんこの曲が今回のアルバムの中でも重要な思い入れが深いナンバーだからですね。
「ダンスっていうテーマをやめて、最初に作ったのがこの曲なんです。
(先ほど言った)音楽的に満足したいなっていう曲がこれなんですけど。10年やってきて音楽家として僕は進化したいなっていう思いが強いんですけど、そんなことを思っている時に、この曲がわりとパッとできたんですよ。普段、降りてくることはないんだけど、これは恐るべき速さでできたんですよ。これは天からの何かなんじゃないかなみたいな」
大橋トリオの音楽を問われると大橋さんはいつも「J-POP」と明確に答えてきました。そのうえでJ-POPの枠を越える音楽を追求してきた大橋トリオ。このナンバーはまた新しい挑戦でしょうか。
「僕、J-POPという中でやらしてもらってるんですけど 。J-POPの中にこんな曲があってもいいのだろうかっていう冒険的な曲ではありますね」
音楽的にも工夫をこらされています。
「メロウなピアノと途中から急に出てくるエレキギターの『パラーン』というフレーズ、これは降ってきましたね。なんとなく弾いたら、もうこれだ!みたいな。 そして、最後の最後にドラムがやっと出てくるんです。すごい優しい、触るような繊細なタッチで、だけど存在感はあるっていうドラムが。待ってましたっていう感じで。これはすごく気にいっています」
結果、またひとつ新しいアプローチの今後の大橋トリオを占う一曲となりました。
気がつけば、すっかり自分の音楽を笑顔で楽しそうに語ってくれていた大橋さんです。
「音楽のことをちゃんと話すっていうのはいいですね」
まだまだ、大橋トリオの音世界についてのお話は尽きないようです。
来週も引き続き大橋トリオをお迎えして、さらに音世界を紐解いていきます。
次回3月17日も引き続き大橋トリオをお迎えします。どうぞお楽しみに。