2月17日のゲストはKEMURI、伊藤ふみおさんです。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手はちん。です。

今日のゲストはKEMURIの伊藤ふみおさん#KEMURI

途中空白期や様々なこともありましたが昨年でデビュー20周年。
「P・M・A(肯定的精神姿勢)を掲げて日本にスカ・パンクシーンを定着させ今もなお牽引し続けるのがKEMURIです。

車の中で音楽を聞くのが大好きだという伊藤さん。
自らピックアップしたスティール・パルスについて笑顔で語る様子は、一人の音楽ファンそのもので微笑ましいです。
車に乗るのが大好き、ホント大好き。車でちょっと流れていく景色の中で運転してるうちに光や影も変わってくる中でで聞く音楽が一番好きです 。これぐらいのグルーブが最高なんですよね。コーラスワーク、リズムの組み方やコードまでいわゆるレゲエバンドとはちょっと違うという。影響も受けてますね」

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/2HqqqWM
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


最新アルバムはただいま発売中の通算13枚目のアルバム「Ko-Ou-Doku-Mai」。

孤往独邁=周りや他人の動向に左右されず、自らの信じた生き方を突き進むこと。まさに道なき道を歩んできたKEMURIにふさわしいそんな意味をもつアルバムです。

「最初のアルバムから20年以上たってるんですけど、ここに来て、こういう音楽をやったらKEMURIが一番良くなるっていう事だったら迷うこと無く思う存分やる、自分のKEMURI愛をどんどん昇華させていきたい、そんな思いだったりします」

私、ちんも世代が近いのでなんとなくわかるんです。 50過ぎて短パン履いてステージの上でやりたいことをやるぜ。と言い切る難しさや覚悟は20代とはまた違うものです。それを改めて宣言する力強さは今作のサウンドにも現れているような気がします。

「レーベルを移ったことも大きいし、それに今回日本で録音したんです。再結成した後はずっとアメリカのスタジオで録音してきたんですが、今回は環境を変えて日常の中に家族の顔を見てスタジオに通ってっていうね、そんな録音スタイルが影響したかもしれません」

「音楽は心のものですからね。」

そんな渾身のアルバムからピックアップしてくれたのは、タイトルナンバーでもある「Ko-Ou-Doku-Mai」。

「20年以上経過しても、音楽に対する思いとかってあんまり十代の頃と変わらないんですよね。ただ色んな経験したことによってやっぱり希望も絶望も夢もやっぱり心に刺さっています。そういったことを全部20年前のそのままストレートな言葉で表現できないかなと」

むせ返るような前向きなメッセージに溢れたこのナンバーは「雷響」「暴爆」「権謀」といった難しい熟語がパーカッシブに耳に響きます。

音ありきなんですけどね。外国人の人が聞いても発音しやすくて一緒に歌いやすいような日本語ないかなっていう。もちろん意味としてもぴったり来るものをあてました」

英語詞の多いKEMURIですがとりわけ日本語詞での伊藤さんは「音としての日本語」にこだわってきました。

前作「フリーダモッシュ」収録の「SAKURA」では古語、漢文調の日本語を駆使しながら、なんと歌詞に濁点を含む言葉を一つも使わずに、いかめしい表現のようで音として軽やかでスピード感のある日本語ならではの唄を構築してみせました。

「そうですね音楽ってリズムだと思うんですね。言葉(の意味)がリズムに勝るというか混ざりすぎては気持ちよくないですよね。」

またこのナンバーではギターが印象的。
KEMURIのナンバーではギターの音、フレーズに心惹かれることが多いように思います。

「イントロでのギターのリフで始まるんですけどピッチ感、音程感ですね、そこにこだわりました。まずピッチ感のいいギターを使うんですね。うちのギターはピッチに敏感で、その中でもやっぱりこの曲の雰囲気に合ったメーカーのギターでも何本かあるうちのピッタリのものを選んだんですよ」

あのーすみません。「ピッチ感」ってなんですか?

これには伊藤さんもちょっと苦笑い。

音程感ですね。例えばキーが Cの時にでもその中で微妙に高い低いがあって。それの振れ幅が少ないものを選びます。ベースとドラムを録音した上にギターを弾くんですけど、ギターだけが正しくてもしょうがなくてそこのベースとかドラムとかとどのピッチに合わせたらいいかっていうのもすごく大事。

アンサンブルの中で一番ピッタリのところを選ぶんです。」

うー。すみませんぜんっぜんわかりません...

「いやね、全然わかんないっすってこと山盛りなんですよ(笑)。今7人いるんですけどドラム、ボーカル、後はもう管楽器が三本入ってるけど大変なんですピッチ感合わせるのって。人数が多くなればなるほど大変。結構大変な思いをしながらみんなやってるんですよ」

そういった難しいポイントも長年の付き合いのあうんの呼吸で乗り越えているんですねえ。

KEMURI TOUR 2018【Ko-Ou-Doku-Mai】

2018年6月17日(日) 福岡 DRUM LOGOS
開場16:00 開演17:00

詳しくはKEMURI Official site (外部リンク)


いつだって文句なく楽しいライブも楽しみ。まして「Ko-Ou-Doku-Mai」で行くぜ!と宣言した今回のライブが楽しくないはずがありません。

「そうですねより激しくより楽しく、ひとことで言うとおもちゃ箱ひっくり返したようなライブになると思っています」

スカパンクのようなライブシーンで盛り上がる音楽はもしかしたら音楽として軽く見られることもあるのかもしれません。だけど、どのアーティストも日本人ならではの「日本語で歌うこと」、言葉との格闘や音楽としての完成度に対する厳しい戦いの歴史でもあります。

日本のスカパンクのオリジネイターのひとつであるKEMURIはずっとそんな格闘を続けてきたんですね。そんなところを今回少しでもお伝えできたら音解としても嬉しいです。

「もう本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。スカパンクって案外なんか乱暴な音楽と思われがちなんですけど、今日みたいな話しさせていただく機会がないんですよね。だからすごく良かったです」


次回2月24日は 寺岡呼人さんをお迎えします。どうぞお楽しみに。