毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手は香月千鶴です。
今日のゲストは片平里菜さん。
福島県出身、2011年ギターを握ってわずか2年で10代限定の夏フェス「閃光ライオット2011」で審査員特別賞、2013年にメジャーデビュー。以降、同世代の女性を中心に熱い支持を受けるだけじゃなく幅広いジャンルのアーティストからも愛されるシンガーソングライター。
誠実に自分の音楽と向き合ってきた片平さん、去年12月におよそ2年ぶりとなる待望のサードアルバム『愛のせい』をリリースしたばかりです。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→http://bit.ly/RINA_onair
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員の方が聞くことができます)
今回のアルバム、25歳の等身大の女性としてのリアルな感情を飾ること無く歌って、過去2枚のアルバム以上に内面から出るメッセージ性が強く打ち出された11曲が収められています。
タイトルナンバー「愛のせい」では「愛してしまえば裸になるあなたの前では」というショッキングなフレーズから始まりますが、まさにこの曲がアルバムのコンセプトになっているそうです。
「今回のアルバムはより言葉を大事にしたフォークソングでありたいなと思っていたんです。25年間生きてきた私が歌えるラブソングを書こうと。
『愛のせい』っていうタイトルナンバーに至るまではそんなことを考えながら自分と向き合って曲を書きつづけていたんですね」
結果出来上がった11曲はバラエティに富んだ曲と歌詞で片平さんの様々な面が表現されています。
「気性が激しいんでしょうか。自分の感情をそのまま毎回自分に表現したいなと思ってると結構キャラクターがばらついてしまいました (笑)消化不良の感情もそのまま表に出せてすっきり(笑)」
理性的に自分の言葉を選びながらも、時折屈託ないキュートな笑顔を見せてくれて、今回のアルバムでやりきった喜びが伝わってくるようです。
そんなアルバムの中から片平さん自らピックアップしてくれた一曲は、アルバムの最後を締めるまさにフォーキーなナンバー「からっぽ」です。
「福島が地元で上京して一人暮らしを始めて3,4年経つんですね。
東京という街を当時は『何もないな』って思った瞬間があったりして。いろんなものを手にしたんですけど結果『からっぽ』て言葉にしっくりきたんですね」
「でもなんか最近東京の町で、以前より人との距離が近く感じられるようになって、だんだん変わってきましたね。それは多分、虚しさを感じていたからこそ人を求めるようになって、その人との距離の近さに気づけるようになりました。なんかそういった東京の生活感とか匂いとかというものを包み隠さずこの曲で出したいなって思ったんです」
一人東京に出てきて感じた強烈な違和感と孤独、その先に感じる人恋しさや「自分の場所」と認めた瞬間に感じる愛おしさ、そんな繊細に変化していく気持ちが紡がれた歌詞を活かすメロディとアレンジはあくまでシンプルです。
「メロディーは洋服だなって感じはしていて、言葉が自分の気持ちとか精神的な部分。だから今回は着込まずに自分の気持ちを伝えることを大切にしたいなって思いました」
歌詞を大切に、片平さんの魅力的な声を活かすようにたっぷり余白を取ったサウンドはとても大人っぽくて味わい深いものです。
「メロディーに言葉が左右されないように。メロディーに言葉をはめていくんじゃなくって言葉が引き立つようにメロディーにのせたいなと思っていたので、メロディーがあるようなないような話しかけるような歌だったり。『フォーキー』ですね(笑)」
さらにそんな「歌」を際立たせるのに一役買ったのはサウンドプロデューサー 石崎光さんとの強い信頼関係にもあるようです。
「もう自分の言葉とメロディーの骨組みが決まったら、後の肉付けは光さんにもお任せして。返ってきたアレンジはしっかり言葉の意味とか意図も読み取ってくださって。
アコギ主体ではあるんですけど、言葉に呼応するように例えばサックスの暖かい音だったり、ポイントではあえてノイジーな音だったり的確に意図を具現化していただけました」
そんな様々な思いと工夫をこらして出来上がったのはシンプルでまっすぐ届く25歳の女性のリアルなメッセージです。
お話している片平さんは、本当に等身大の25歳の女性そのもの。
自分の中にある言葉をすべてきちんと表に出そうと、ふいにスッと空間を見つめて考えて、それからこちらを見据えてそのままスーッと心に入ってくる言葉でお話してくれます。
多分、今は表現者として一人の女性としてとても充実しているんじゃないかな。そんな人ならではの前向きな空気がとても心地よいです。
そんな充実のアルバムをリリースして、新しい年2018年の抱負は?
「そうですね。まず最高に良いアルバムができたので、そのアルバムの曲たちを生でみんなに届けられるような一年にしたいと思います。ライブをたくさんしたいと思っています。わーって生でさらけだして、皆さんに体感してもらいたいと思います」
そうやって笑う片平さん。
片平里菜さんの2018年、これは絶対見逃せない年になりそう。応援していきたいですね。
片平里菜 OFFICIAL WEB SITE(外部リンク)
次週1月20日 はキセルをお迎えします。どうぞお楽しみに。