5月20日のゲストは 藤原道山 さんです。

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この回をもう一度聴く!
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員の方が聞くことができます)

毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手は香月千鶴です。

今回お迎えしたゲストは尺八奏者、藤原道山さん。

10歳より尺八を始め、人間国宝 故初代 山本邦山さんに師事。以降現在に至るまで数々の受賞歴と演奏歴を重ねて古来の伝統を継承しつつ、一方で日本国内のみならず海外でもオーケストラやポップス、ジャズとのコラボレーションなど尺八の可能性を大きく広げる演奏活動を続ける藤原道山さん。

にこやかにスタジオに入って、爽やかに「自分は海派」などと海から受けるインスピレーションのお話などしている様は今の男性そのものなんですが、全体からは凛とした風情を感じるのはやはり背負っている伝統と傍らにある尺八のせいでしょうか。

番組ではまずその尺八について、今回、道山さん自らマイクの前で実演していただきながら解説。意外と知らないその構造や秘密などについて教えていただきました。

みなさんは尺八についてどれくらいご存知でしょうか。

楽器の中でも最もシンプルな楽器の一つ尺八。
竹の中でも真竹の根っこの部分だけを使って作られるそうです。つまり竹1本から1つだけしかできないんですね。とても贅沢。

その竹から切り出した竹筒は、穴が開いているだけの吹口に、前に4つ、後ろに1つの穴があるだけ。
たったそれだけでフルートと同じオクターブと、豊かな音色を響かせるのは本当に不思議です。

その秘密は「息と指と首」。

息でオクターブと音色をコントロール。
指で穴を微妙に調整することで音階を。
首で横にふってビブラートを、縦に振ると音の高さを表現します。

尺八奏者の方は首を振っているイメージがありますけど、『首振り八年』というようにまた重要な技法だったんですねえ。

シンプルな構造の楽器をいくつもの演奏者の磨き上げられた技術、技巧で一体となって鳴らすことで、あの情感あふれる音色と演奏が作り上げられるのですね。

そんな尺八の魅力を存分に味わうことができる道山さん自らピックアップした一曲はKOBUDO -古武道-の「百花繚乱」。

この華麗で雅な楽曲の原点は、道三さん自身の平安神宮での公演。満開のしだれ桜の下で演奏した美しい想い出が元になったそうです。

かつて谷崎潤一郎も「細雪」の中でその美しさを讃えた平安神宮のしだれ桜。風がそよぎ、そのたびに雪のように舞う桜吹雪の中でたおやかに響く尺八の音色。

道山さんはその美しさに感銘を受けて帰りの新幹線の中で慌てて楽曲として書き上げたそうです。

さらにこの楽曲は、長唄の代表的な一曲「元禄花見踊」を一旦解体して再構築したというもの。

元禄時代の花見風景、その風俗と気分を華やかな総踊の形で表した「元禄花見踊」を、現代の道山さん自身の美しい花の中での公演の風景の記憶に重ね合わせた、技巧と遊び心溢れる美しい曲となっていますね。

その解説を受けて改めて聞けば目の前で元禄と平成の美しい桜の風景が重って、思わずため息が出るようです。

スタジオでも実感したのですが、目の前で実際に聞く尺八はCDなどで聞く音色とはまた違う迫力にあふれています。ぜひ目の前で観て聞いて欲しいと思います。

そんな尺八とマリンバによる世界最小オーケストラ、藤原道山×SINSKEのコンサートも間もなく。

藤原道山×SINSKE 「四季 -春夏秋冬-」

2017年07月07日(金)
開場:昼13:30 夜18:30/開演:昼14:00 夜19:00
お問い合わせ:ヨランダオフィス・チケットセンター(10時?18時)
TEL 0570-033-337
ヨランダオフィスWEB(外部リンク)

「四季折々にちなんだ作品も披露したいと思っています。ぜひ生でその音に接して欲しい」

と、道三さんも気合十分のよう。楽しみですね。

藤原道山オフィシャルサイト (外部リンク)


来週6月3日も、ひきつづき藤原道山さんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに。