4月13日のゲストは、長澤知之さんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はこはまもとこです。

今回のゲストは福岡出身のシンガーソングライター長澤知之さん。 #長澤知之

2006年に"僕らの輝き"でデビューして13年目。
個性あふれるメロディと歌詞、そして唯一無二の声。それらが渾然一体となって他に比べるものがない独自の音楽を紡ぎ続けて支持を受ける長澤さん。

実はエフエム福岡との縁も深い長澤さんは、あちこちに笑顔を振りまきながらおずおずとスタジオに入ってきました。

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そんな長澤さんがまずドライビングミュージックにチョイスしてくれたのは、DREAMS COME TRUEの『晴れたらいいね』でした。

「曲そのもののウキウキするのもそうなんですけど、歌詞がこう親孝行してるような感じの曲じゃないですか。それでとってもキュンときちゃって。『幼稚園最後の日は爪に赤いインクをこっそり塗った私、叱って泣かせたあなたにも』って歌詞があって、それが小さい娘が大人の女の人になって、それでこういう風にまた一緒にドライブに行こうよ、とか言ってるのがなんかキュンときちゃって」

いままで数知れず耳にしたこの曲が親孝行の曲?そんなふうに聴いていなかった私たちは長澤さんの視点にあらためてハッとさせられます。

「最後に『晴れたらいいね』って3回繰り返すところがホントにかわいくて。 なんかこう顔を覗き込んで『晴れたらいいね』って言ってる様子が伺えるというか。天真爛漫な感じがしますよね」

とニコニコ。
のっけから長澤さんのワールドにグイッと引き込まれたような気分ですね。

そんな長澤知之さん、3月20日にアコースティック・ミニアルバム『ソウルセラー』をリリースしました。

全編を通してミドルからバラードをメインとしたアコースティックサウンドではありますが、その中身は弾き語りはもちろん、打ち込みやバンドサウンドまで長澤さんらしい多彩な音世界が広がっています。

こはまさんも『一曲目『あああ』からもうほんとにビックリ です』と大絶賛。

「すみません。脅かすつもりはなかったんです」

福岡での活動から十数年たって、今でも変わらずこういうフレッシュな歌詞が書けるっていうのがすごくいいなぁって思うんですけど?

「そうですね。エフエム福岡にカゲロウのように出入りしていたその時から(笑)

同じなのは、自分が好きな音楽をやれてたらいいなっていう。ギターを持った時の衝動だったりとかはそのまま来ているところはありますね。それがある種幼稚な部分であったりもするんですけど。ただそれがやっぱり好きで、さっきの『晴れたらいいね』もそうですけど、グッとくる音楽に出会えた時の喜びであったりとか、そういうものを作れたらいいなと思いながらやってますね」

そんな変わらない部分がある一方、今回のアルバムを聴いてみても音の広がり、世界の広がりはやはり経験を重ねて変化、熟成されたようなところもありますよね。

「そうですね。アコースティックミニアルバムとは謳っているんですけど、作っている内にこういう事やりたい、ああいうことやりたいっていうのが貪欲に出てきてしまって。アコースティックってだけじゃなく、やりたいものはじゃあ入れちまおう!そういう風な感じで自分の気持ちに素直になって作っていった感じはしますね」

年齢と経験を重ねることで音作りにも変化はあったそうです。

「昔はそういうアレンジだとかそういうものをぶっきら棒に、あれ入れたいコレ入れたいでガガガガって入れていただけなんですけど。それはその時なりの僕の答えだったんですけど、 今十何年たって、ある程度バランスをとって一番伝わりやすい方向だとか音の配置だと考えるようになりましたね」

このアルバムには4ヶ月連続で配信リリースされた4曲も収められています。アルバムの最後を飾る「金木犀」では世界的なアンビエントアーティストのChihei Hatakeyamaさんを迎えて、アコースティックサウンドに浮遊感が加わり不思議な世界が広がっています。

自分のそばにいる人、身近な人の存在、その存在の大切さをすごく感じるような美しいナンバーです。

「そうですね。金木犀の香りって僕大好きなんですけれども、金木犀が香っている時に思い出す懐かしい風景であったり、そういう言葉にならない気持ちっていうものをどうやったら音像化加できるかなって思いながら作ってたんですね。そういうキュンとなる琴線というものをそのまま音に乗せたらどうなるだろう?っていうことを考えて作っていました」

実はこのあとも出てくる「キュン」は今の長澤さんにとって大切なワードのよう。

こはまさんも「キュンとなるっていうのは色んなキュンがあると思うんですよね。いろんな心模様の機微が含まれたキュンが伝わってくるなあと思いますね」とそれを多彩な音で表現することを強調。

「ありがとうございます。そうだと...最高っすね!(笑)」


そんなアルバムをさらに紐解くべく長澤さんご自身に選んでいただいたナンバーは「歌の歌」です。

この曲はアコースティックギターから始まって、まずキラキラしたギターの音が印象的。そこから少しづつ色々な楽器が入ってきて世界が広がっていくようなナンバーです。

「キラキラしてるっていうのは大事にしたいなと思ってまして、先程お話した『キュン』じゃないですけど、そういったものが僕の中ですごく大事で。
音楽をやる時もそうですけれども、生きていて心に栄養を与えられるものって、僕の中では音楽であったり、絵であったり、映画であったりだとか色々しますけど。僕は音楽を作っていく中でちっちゃい頃に聴いた童謡だったり親父が鳴らしてたクラシックだったり、そういうキラキラしたキュンとするポイントのあるものの思い出に育てられ、救われて生きてきたので、自分も音楽で(そういった部分を)伝えたかったところもあります。ラジオで聴いた音楽を自分でカバーして声に出して歌うとき、そういう自分が本当にキラキラしていく感じの曲を『音楽っていいね』っていうつもりで書いたつもりです。あ、つもりって2回言っちゃいましたね(笑)」

一気にそう話して笑顔の長澤さん。
今の長澤知之さんの音楽の核の部分を垣間見せてくれたような気がしました。

こはまさんはやっぱりこの歌でも個性的な言葉の選択がとても気になります。
「私この歌詞の最初の『限りある時間を可愛いものにしよう』っていう『大切にしよう』じゃなくて。この表現がキュンときました。 こういう言葉ってどうやって思いつくんですか? 」

「自分の当時の気持ちになったりだとか、そう感じている言葉を選んでるんですかね。あまり考えずにストレートにいこうと思っていますね」

そして、この曲は進むに連れリズムと楽器が重なっていき合唱のように広がっていきます。印象的なコーラスも低いパートと自分のメロディーに対してのパートをご自身で歌っているんですね。

「そうですね。多重録音でがんばりました(笑)」

そして、大きな一つの和になるような素晴らしい楽曲、長澤さんの魅力が詰まった一曲だと思います。

そんな『ソウルセラー』がリリースされたばかりなのですが、なんとこの秋にはこのアルバムと対を成すように、今度はバンドサウンドのミニアルバムのリリースが決定しています。

「こちらはガツガツやるやつで」

と、嬉しそう。

アコースティックでやる感じとバンドでやる感じっていうのは全然違うものですか?

「そうですね。『ソウルセラー』の場合はアコースティックギターで弾き語が多いんですけれども、バンドサウンドになるとアンサンブルが重要になるんで、よりドラマティックで多彩になりやすいと言うか、他のプレイヤーの方達の個性がガツッと出たりだとか。それをどうやって組み合わせていこうかとかそういうふうに考えていくのでそれはそれで面白いです。

最初はアコースティックギターではじめたんですけど、しばらく経ってすぐバンドサウンドに切り替えてバンドやったり、またアコースティックやったりを繰り返していて。どちらの美しさも大好きなので楽しみですね

終始おだやかに、少し恥ずかしそうに自身の音楽を紐解いてくれた長澤さん。
最後に今回の感想を尋ねてみました。

「あの、とてもあの緊張していました(笑)。 (エフエム福岡は)思い出が多いもんで。『ソウルセラー』のタイトルチューンじゃないですけど、色々ここでお世話になった人だとかいらっしゃるんで失礼がないようにと思っておりました(笑) 」

そういえばスタジオのガラスの向こうのスタッフや関係者もいつもと比べてちょっとニコニコ。アットホームな雰囲気だったかもしれませんね。

最後に長澤さんからひとこと。
「長澤知之です。僕はこういう音楽をやっておりますので、もし聞いてみようかなって思う方がいたら聞いてみてください。よろしくお願いします」

そう言うと少し肩の荷をおろしたようなはにかんだ笑顔を見せる長澤さんでした。

  

長澤知之 Official Web Site (外部リンク)

次週、4月13日は MONKEY MAJIK をお迎えします。どうぞお楽しみに。