3月30日のゲストは SEKAI NO OWARI のみなさんでした。

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毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。お相手はちんです。

今回のゲストは先週に引き続きSEKAI NO OWARIのみなさんです。 #SEKAINOOWARI

Fukaseさん、Saoriさん、Nakajinさん、DJ LOVEさんからなるSEKAI NO OWARI。
先週は2作同時に発売したニューアルバム、「Eye」と「Lip」を中心にいろんな話を聞かせていただきました。

今週はさらにその音世界を紐解いて行きました。
そこで見えてきたのは結成して10年を超えてもなお、実験や遊びを忘れない姿勢と、長年連れ添ってもなおゆるぎないグループの絆でした。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→  FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


さて、今日はドライビングミュージックもニューアルバム『Lip』から『蜜の月』をチョイス。

今回のアルバムの中でもとりわけヌケが良く叙情的な楽曲。まさにドライブにはピッタリ。

「(Fukaseさん)割とバンドってかんじがしますね。最初に曲と歌詞があって、なんかアレンジはその歌詞だったりとか曲の持ってるメロディーに忠実にアレンジしたと言うか。背伸びもせず、あえてミニマムにもせず、アレンジも言葉だったりするものから引き出された、凄い等身大っぽい曲だなと思います

今までのSEKAI NO OWARIの楽曲には意外と無いタイプというか新鮮な気もします。

「(Saoriさん)そうですねすごく新鮮でした。というのも、そもそもFukase君はこの曲を SEKAI NO OWARI でやろうと思って作っていなくて

「初めて言いましたけど。ま、どこでやるつもりなんだって話なんですけど。セカオワに渡そうと思ってた曲じゃないんですね。実はこれを入れることになったのは予想外だったんです。本当は他の人にに歌ってもらおうと思っていたんです」

とてもいい曲ですよね。

「なんか自分たちのイメージに合わないなって思ったんですけど。でも、イメージってのも何かあれだなと思ったんですよね。自分でイメージ決めるのは良くないことだと思ったので。自分が自分のイメージを作ってたんだなと思ってやっぱSEKAI NO OWARIでやろうと思ったんですよね

そんなお話を聞いていると、今回のアルバムは今までにない曲も多く、それは自分たちでSEKAI NO OWARIを改めて見つめ直した結果でもあるような気がします。結果、アルバムは新鮮でとても風通しのいい作品になりました。

もちろん、完成にいたるまではそれぞれの楽曲にそれぞれの変遷や苦労があったようです。

例えば「Eye」の冒頭を飾る「LOVE SONG」。ある種の怒りと若い世代へのメッセージが割合ストレートに表現されているこの曲も、紆余曲折があったよう。Saoriさんが教えてくれました。

「Fukase君の歌詞を書いてくれて、私が最初のモチーフを持っていってNakajinと一緒に曲を作ってたんですけど、Fukase くんが自分で歌詞を書いたのに『全然気に入らない』って言い出して、 説教くさくなっちゃったから変えるって言って。それであの歌詞も何度も書き換えて、アレンジももうちょっとゆっくりにしてアンダーグラウンドな方向へどんどんどんどん走って行ってたんですけど」

「そうね。なんか途中からすごいゆるーいHip-Hopになったりしたよね(笑)」

「楽曲があがって一番最初が今の状態ですけど、(試行錯誤した上で)やっぱり最初がアレンジと歌詞が一番エネルギーがあったなぁと思ってFukaseくんを説得して、絶対最初のバージョンがいいよって言って。まあ色んなことやったんですけど、結局最初に戻ってくるっていう。バンドはボーカリストが歌うので、歌詞はこっちの方が良いよって意見してそれが通るというのは、なかなか普通のバンドだったり他のグループではあまり聞かない話かなと思うんですよ。なので皆で話し合って良いものは良いって風に皆で言える状況があるのは、すごいいいバンドだなって改めて思いましたね。」

確かに。傍から見るとFukaseさんってことクリエイティブに関しては頑固そうですね。

「Fukaseくんてハタから見るとすごく気難しくて頑固そうで。ね。(Saroriさん)」

「暗い部屋にいそうで。よく言われるんですけど、僕すごいフレキシブルな男なんですよ」

「でも、ホントにそう思います。すごいフレキシブルで。でも絶対通したいことがあるときは、そこにちゃんと理由があって熱があって、それもちゃんと説明してくれて。でもそうじゃない時に例えばメンバーの言うことを聞きたくない!俺が歌うんだから!指図するなみたいなことは絶対ないですね。すごく尊重してくれます。(Saroriさん)」

「それは寂しがり屋から来てるんですね。 論破してしまうことって寂しいなって思ってしまうんです。論破しちゃうと壁ができてしまうじゃないですか、勝った方と負けた方と。より仲よくやることを最前提で動きたいと思うタイプなんで、そうなんですよ。友達失いたくないんですよ(Fukaseさん)」

全員がそれは誤解だとちょっとだけ温度高く説明してくれて、このやりとりには少しグッと来てしまいました。メンバーの結束の高さというか、それはやはり根っこの部分で信頼関係の深さを感じる一瞬でしたね。

Fukaseさんが一言「本当にねやっぱり幼稚園から知ってたりするんで裏の顔とかないわけですよ。裏も表も全部知ってるので(笑)」

いいお話。

さて、この2枚のアルバムからもう一曲ピックアップしていただいて、今度は音についてじっくりとお話伺いました。

選んでくれた1曲は「Eye」のラストを飾る「スターゲイザー」です。

シングル「Rain」のカップリングとしても先に発表されていた楽曲ですが、音楽集団としてのSEKAI NO OWARIの新しい代表曲とも言えるナンバー。耳を澄ますと不思議な音がいっぱい入っています。

まずはFukaseさんが解説してくれました。

「この楽曲はですね。まずベースが2本入っていて、1つはシンセサイザーの303というベースシンセサイザ、もうひとつは普通のベースとはちょっと違うカーボンでできたベースです。これはパワーコードで弾いていて普通単音で弾くんですけど、今回は和音で弾いていて、それにヴィンテージのファズをかませていてかなり低音重視のものになってます」

ドーンドーンという音が印象的ですが、あれ、ベースなんですね。 

「ベースなんです。この曲ギター入ってないんですよ。 ついにギターが全く入ってないので、Nakajinが困るわけなんですけど(笑)ライブではNakajinは打ち込みをやってるんですけど。ギターだと思われるんですけど、これはベースなんですね」

すごく不穏な雰囲気を醸し出すベースの音、とても印象的ですが、もうひとつピアノともうひとつ別のトイピアノみたいな高い音の鍵盤の音も気になります。

「(Saoriさん) あれはピアノの弦をピックで弾いている音なんです」
グランドピアノの蓋をパカっと開いて。 ギターのように弦をピックで直接弾いたってことなんです

へええ。そういうのってスタジオで遊んだり試してみたりしながら思いつくものなんですか?

「それは確かにそうですね」
「Saoriちゃんが急に思い立ってピアノを色んな方法で鳴らしてみたいって。88弦ギターってことですよね(笑)。 ま、ハープ的な感覚ってことですかね。」
「ハープより少し硬いかな」

楽しそうに皆さんが口々にその時のお話をしてくれます。

「間奏のあたりで入っている『カーン』「ストーン」みたいな音もピアノなんですね(Nakajinさん)」

「なんて説明したら良いのかわからないんですけど、『ストーン』っていう。なんかその音はピアノの弦を全部3人がかりで手で押さえて、音が響かないようにして、ペダルを踏んでその状態で鍵盤を弾くという。 鍵盤が弦を叩く音そのもので、それがボディで反響する音なんです(Saoriさん)」

じゃあレコーディング中はメンバー全員でピアノに集まって...

「そうそう。『まだそこ音鳴ってる!』とかいいながら(笑)」
「ギターで言うところのミュート弾きとおなじで、88弦ギターなんでミュートも大変という(笑) 」

なんと!想像するだけでちょっと笑ってしまいそうですね。

そして、この曲ではFukaseさんのボーカルも独特の無機質でサンプリングのような不思議な効果がかかっています。

「ぶつ切りにしていて、トラックが2つあって、交互に録っていくというかんじなので。歌詞を音節ごとに区切って録っていくという。

スターゲイザーという曲は感情を入れてしまうと成立しない曲だと思っていたので。できるだけ淡々と日常をすごしている感じとベースソロの対比があの曲の特徴的なとこだったので、人間味を極限まで減らしたいってかんじでしたね」

「スターゲイザー」のMVでは欅坂46の平手友梨奈さんのダンスも大変な話題になりました。

本人に振り付けをお願いしたんですけど、僕もカメラが回るまで見たことがなかったので、カメラ越しに初めて見たんですね。一発撮りです。メンバーも見た時にすごくいいねって言ってくれて(Fukaseさん)」

「最初に彼女のダンスを見た時にホント涙が出てきました(Saoriさん)」
「いいものができたなぁって、すごく感謝してます」

本当にひとつの曲が出来上がるまでというのは、その裏でそれぞれにドラマがあって、アーティストとそれを取り巻く人々のアイディアと努力が惜しみなく注がれていいることがよくわかります。

そんな渾身のニューアルバムが発売された上での、今回のツアーも期待が高まりますね。

LIVE TOUR 2019 「The Colors」

広島県・広島グリーンアリーナ
2019年5月3日(金・祝) OPEN 17:00 / START 18:00 
2019年5月4日(土・祝)OPEN 16:00 / START 17:00

福岡県・マリンメッセ福岡
2019年6月1日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
2019年6月2日(日)OPEN 16:00 / START 17:00

※詳しくは SEKAI NO OWARI 公式サイトでご確認を


2週に渡ってお届けしたSEKAI NO OWARIの音解。いかがだったでしょうか。
「なかなか話せないことを話せて楽しかった」とメンバーのみなさんの感想です。本当にありがとうございました。

最後にFukaseさんから皆さんにメッセージです。

「ライブは『Colors』ということで今までと違ったライブになると思います。僕たち毎回ライブは毛色が変わってくるんですけど、今回もまたちょっと一味違ったものになると思います。また福岡に戻ってこれることもすごく楽しみにしてます。アルバムはいっぱい聴き込んできてほしいですね。新曲も多分たくさんすることになりますので」

ライブ会場でお会いしましょう。

  

SEKAI NO OWARI 公式サイト

次週、4月6日は 大西順子さん をお迎えします。どうぞお楽しみに。