毎回、素敵なゲストをお迎えして、その音世界を紐解いていくプログラム「SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)」 。今週のお相手はちんです。
今日のゲストは先週に引き続きNONA REEVES の西寺郷太さん。
プリンスに始まり、あんまりにも楽しい話が盛り上がりすぎてしまったので急遽延長戦の2週目です。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く!→ http://bit.ly/NONA_onair2
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員の方が聞くことができます)
NONA REEVES は20周年。
今年3月に20周年記念ベスト・アルバム「POP'N SOUL 20?The Very Best of NONA REEVES」をリリース、さらに10月25日、20周年記念NEWアルバム『MISSION』をリリースしました。
今週も引き続き、このアルバムのお話からです。
この『MISSION』には、ゲストボーカルに原田郁子、いつか、曽我部恵一が参加した新曲を含む11曲を収録している話題作。そしてNONA REEVESのポップスの集大成のような素晴らしいアルバムですがレコーディングにもこだわりがあったようです。
「今回のポイントとして生音でレコーディングすることにこだわったんですね。 かつては生でレコーディングすることが当たり前だったんですが、今となってはデジタル、しかも全てパソコンの中で出来てしまうような時代になってむしろスタジオで生にこだわることが贅沢になっちゃったんですね。そんな時代だけど、だからこそもう一回普通に戻ろうと」
そして、そのきっかけが今や伝説となった2014年のグラミー賞でのダフトパンクのパフォーマンス。
ファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャース、ネイサン・イースト、オマー・ハキム、ポール・ジャクソンJr.、クリス・キャスウェルといったアルバムに参加した超豪華メンバーを率いてのパフォーマンスは「ON AIR」のサインランプも鮮やかに、かつての(今となっては)贅沢なレコーディング風景を模したもの。
80年代の音楽を現代に蘇らせて一大潮流を作った「RANDOM ACCESS MEMORIES」への共感も当然あったであろう郷太さんの気持ちを動かしたんですねえ。
そんな気持ちと3人のキャリアを注ぎ込んだ、自ら自信作と胸を張るアルバムから郷太さん自らピックアップしたナンバーは「記憶の破片 feat .原田郁子」。
アルバムの中でもとびきりの美くしいバラード。
かつてのレーベルメイトでもある原田郁子さんとの素晴らしいデュエットナンバーです。
二人の魅力を最大に活かされるように作られたナンバーとおもいきや、最初は違ったんだそう。
「実は最初、僕一人で歌う予定で作られたナンバーなんです。曲も出来上がって演奏も終わった段階でスタッフからこれ女性とのデュエットにしたら?と提案されたんですね。だけどこの曲は自分の声で歌うことを想定して作ったので、女性となるとキーもまた違うんですね」
だけど、いいかもなあと思った郷太さん。そこからがマジック。
「相手は原田郁子さんと決めて、原田さんの過去の音源からキーを抽出しました。すると高い音の限界は「シ」の音「B」が普通に出る、さらに一番上の「ド」の一番高い「ハイC」は苦しめですが、それがかっこ良いいんです。じゃあハーモニーに「B」と「C」が頂点になる美しいメロディを新たに作りました」
だから1番はもともとの通り、2番では原田郁子さんの美しい声が映えるメロディとよく聞くと、実は1番と2番のメロディが違うんです。まるで数学。よーく聞いてみてくださいね。
そこに原田郁子さんのあの魅力的な声と技術が加わって、郷太さんの計算以上に素晴らしい仕上がりになりました。
作詞に関しても裏話が。
「この曲は原田郁子さんとの共作なんですけど、自分が歌う男性のパートを郁子ちゃんが、彼女が歌うパートは僕が詩を書いたんです。やっぱり僕らもキャリア重ねちゃってるんで、どうしても自分のカラを抜けられなかったりするんで」
つまり、シンガーに徹することでより新鮮な聴き応えを目指したというわけです。
原田郁子さんとは最初にデビューした時期のワーナーミュージックで、若きキリンジも含めてお互いに自分たちの理想の音楽を追求しようと悪戦苦闘していた頃の同級生のような仲。そういう意味では20年ぶりの同窓会みたいなところもありそうです。
福岡でのライブは11/3に「NONA REEVES 全国ツアー "MISSION 2017" 」が行われたばかり。
ちんも拝見しましたけど幅広い年齢層のファンが会場にギッシリ集まって、おのおの体を揺らしながら大騒ぎ。本当に楽しいライブでした!
郷太さん、来年はまた新しいことを考えているようですよ。
「今僕らカフェライブってスタイルのライブも各地で行っていて、福岡、九州でもできないかなって今思ってるんです」
どこかウチでやりたい!ってお店のオーナーや関係者の皆さん。どうですか?
そんなわけで2周にわたってお送りした今回の音解。
曲の間もずーっと音楽の話が楽しくて、個人的にはまだまだお話したいことたくさんあったんですけど、さすがにお時間です。
音楽の話をしている郷太さんは音楽のプロとしての豊富な知識でプロフェッサーみたいな方かな?とも思ったんですけど、実際は音楽好きの永遠の少年のよう。
時々「ごめんなさい。長くなちゃって。わははは」なんて気を使ってくれながら止まらぬ音楽愛。こちらも楽しくてどんどん話は続きました。
またぜひ来てくださいね。
次はジャニーズとアイドルと草野球のお話でも。あ、音楽じゃないですね。
NONA REEVES Official Website (外部リンク)
次週11月25日はフラワーカンパニーズをお迎えします。どうぞお楽しみに。