今年も桜前線が北上中ですが、病害虫に弱いソメイヨシノの寿命は60年から80年ほどとされる中、樹齢137年、日本最古といわれるのが青森県の桜の名所、弘前城で、毎年見事な花を咲かせる1本のソメイヨシノの銘木です。
明治になって間もなく、りんごの栽培と普及に取り組み「青森りんごの開祖」と謳われる菊池楯衛が明治15年に植えたものですが、旧弘前藩士であった菊池は廃藩後、荒れ放題となった弘前城に胸を痛め、千本のソメイヨシノを寄贈して植樹。
ところが、当時は「城で花見酒とはもってのほか」と切られたり引き抜かれたりして、多くは成木にすらならなかったと言います。
しかしその後も同志によって植樹が続けられ、さらに「枝は切らぬもの」とされた桜に、りんごの栽培で培った剪定を軸とした「弘前方式」と呼ばれる管理技術を導入して、弘前城を擁する弘前公園の桜を、たくさんの花を付ける見事な桜へと育てました。
今日、樹齢100年を超える桜は300本を超え、多くの専門家から賞賛されるまでになったのです。
菊池が72歳で亡くなったのは大正7年4月。
その翌月の5月に開催された第一回観桜会は、101年たった今も、多くの人々が訪れる「弘前さくらまつり」へと続いています。