昨年7月の九州北部豪雨災害で、ホタルが激減した東峰村では、「残ったホタルは村の希望の明かり」と、今年も恒例の「宝珠山ほたる祭」を開催しました。
そのことを聞いて思い出すのは、36年前の長崎大水害からホタルを復活させ、今も放流を続けている「伊良林小学校ホタルの会」の皆さんです。
昭和57年7月、長崎は記録的な豪雨に見舞われ死者行方不明者は299名に上り、伊良林小学校でも児童3名、保護者7名が犠牲となり深い悲しみに包まれました。
そうしたなか、鉄砲水が発生し、人命を奪った御手水川に、慰霊の思いを込めてホタルを飛ばそうという声が住民たちから上がりました。
以前は家の中にホタルが入ってくるほどであった伊良林。
水害で変わり果てた川にホタルを呼び戻そうと、学校に「ホタルの会」が設立されました。子供達を要に親や住民らが加わり、ホタルの幼虫の飼育から川の清掃などの取り組みが始まります。
それから10年後、数々の困難を乗り越えてついに御手水川にホタルが復活しました。ホタルの会は今も、子供と大人が一緒になって川掃除やホタルの放流を続けています。
復興にかける思い、命を尊ぶ心はホタルの輝きとともに子や孫へ受け継がれているのです。