「人魚姫」や「マッチ売りの少女」など数々の名作が世界で愛読されるデンマークの童話作家アンデルセン。
実は貧しい家庭で育ったアンデルセンは充分な教育を受けられませんでした。
独力で道を開こうと、14歳で家を出ますが、貧しさは続き、時には死を覚悟するほどの挫折を繰り返します。
それでもアンデルセンは諦めず、出世作となる恋愛小説「即興詩人」を30歳で出版。反響を呼びました。
しかし、続けて出版した初の童話集は「才能ある作家が子供のおとぎ話など書いて」と批判を受けたのです。
当時、童話は文学としてはまだまだ認められていなかった時代でした。
ところが高名な物理学者でアンデルセンの支援者であり親友でもあったエルステッドは「即興詩人は君を有名にしたが、童話は君の名を不滅にするだろう」と励ましたと言われます。
アンデルセンはその後も童話を書き続け、70歳で亡くなった時、葬儀にはデンマークの皇太子から子供に至るまで多くの人々が詰めかけ別れを惜しみました。
世代を超え国境を越え、童話を愛される文学に育てたアンデルセン。
その業績を称えて誕生した国際アンデルセン賞は児童文学のノーベル賞と言われ、今年は「魔女の宅急便」の角野栄子さんが受賞しました。
アンデルセンの心は、これからも受け継がれてゆくのです。