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提供:創価学会
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2018年5月12日「ガリバー、日本へ」

英国の船乗り、ウィリアム・アダムスが日本に漂着し、徳川家康に謁見したのは1600年のきょう、5月12日です。
数学や航海術など豊かな知識を備えたアダムスは家康の厚い信任を受けて徳川幕府の外交顧問となり、250石の領地を与えられ、三浦按針と名乗りました。
日本の歴史上唯一の外国人武士、青い目の侍となったのです。

日本ではアダムスはよく知られた存在ですが、彼は帰国することなく日本で55年の生涯を終えたので、英国で彼を知る人間はほとんどいません。
そんなアダムスのことを本にして広めたのは、作家のジョナサン・スウィストです。

代表作『ガリバー旅行記』は架空の国々を訪れる物語ですが、唯一実在の国が登場しています。それは日本。
「日本の東の港に着いたガリバーは江戸で日本の皇帝に拝謁した」と描かれているのです。
それはまさに、アダムスが家康と相見えたことから青い目の侍になる人生が始まった瞬間。旅行記を書くにあたってスウィフトは、アダムスが英国の妻に宛てた手紙に目を通して練り上げたそうです。

ガリバー旅行記になぜ日本が登場したのか。
スウィフトにとって鎖国政策で他国と交流がない未知の島国・日本は、アダムスからの手紙を通して、リリパット国やラピュタ王国と同じような、理想郷に近い国だと想像したのかもしれません。