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提供:創価学会
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2018年6月16日「焼酎メッセージ」

建物を棟上げする際、その年月日や施主や大工の棟梁の名前などを書いた板を屋根裏に取り付ける「棟札」というものがあります。
最近ではこの風習は減りつつありますが、伝統的な日本建築の神社仏閣ではいまも棟札という風習が守られています。
古い建物の棟札は、地域の歴史や文化、暮らしぶりを伝える重要な資料となることもあります。

鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社。
昭和29年に本殿を解体修理したところ、屋根裏から棟札が発見されました。
そこに書かれていたのは「永正4年再興」の文字。
つまりこの神社は16世紀以前に建てられたことが分かったのです。

さらにもう一つ、棟札ではなく柱に釘打ちされていた木の板を剥がしてみると、その裏にはこの神社を修理した日付けの墨書きがあり、大工の名前も添えられていました。

実はこの墨書きにはまだ続きがありました。
次に書かれていたのはなんと「施主が大変ケチで一度も焼酎を振る舞ってくれなかった。とてもがっかりした」というメッセージだったのです。

奇しくもこの墨書きの発見によって、鹿児島では16世紀にすでに焼酎という酒が庶民の間で飲まれていたことが明らかになり、焼酎という文字が初めて登場した文献となりました。
いまも昔も変わらない、鹿児島の人々の焼酎愛が生んだ歴史的発見でした。