夏から秋にかけて旬が続く野菜、茄子。
その濃い紫色は茄子の代名詞ですが、実は宮崎では戦後の頃まで、佐土原という地域で古くから栽培されていた淡い赤紫の茄子、佐土原茄子が広く親しまれていました。
ところが、栽培しやすくて収穫量も多く、見栄えの良い濃い紫の茄子が好まれるようになって、次第に忘れられていったのです。
その復活に取り組んだのが宮崎の農家の人々でした。
最初の一歩は農業試験場にわずか100粒ほど残されていた種で、なんと発芽したのは、たったの4粒。
そこから育てた苗を託された農家の外山晴英さんが、試行錯誤の末にやっと実らせて収穫したとき、「こんげ美味しい茄子は、もっとみんなに食べてもらわんといかん!」
と痛感したといいます。
その後、外山さんは「佐土原ナス研究会」を設立。
初代会長に就任して、10名ほどの農業の仲間達と懸命の取り組みを続けますが、収穫量が少ない上に、形や大きさにバラつきがあり、出荷できる茄子はわずか。しかも馴染みのない佐土原茄子は安くしか売れず苦労の連続でした。
しかし「宮崎の伝統野菜を絶対に絶やさない」という熱い思いが実り、県外へ出荷されるまでになって、今ではその美味しさが、福岡の人々も魅了し始めています。