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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/16「女性数学者の生き方」

大正2年のきょう8月16日、東北帝国大学に3人の女性が合格しました。
それまでの大学は旧制高校を卒業した男子のための学校で、女性が大学に入学することはありえませんでした。

日本初の女子学生になったのは、黒田チカ、丹下ウメ、そして牧田ラクの3人。化学を専攻した黒田と丹下は卒業後、生涯独身を通してそれぞれ植物学、栄養学の研究で優れた業績を挙げました。
一方、数学を専攻した牧田ラクは在学中に論文を発表。黒田や丹下同様、将来が期待されていました。

ところが、大学を卒業したラクは、ほどなく新進気鋭の画家と結婚をします。
彼女は「結婚によって数学の研究を捨てては、せっかく女子に門戸を開いてくれた大学に申し訳ない」と、師範学校で教鞭を振るいます。
が、それも1年で退職。夫は妻が職を持つことに反対だったのです。

専業主婦になったラクは、それでも家庭で数学はできると考え、専門書を取り寄せて研究し、論文を発表。これは世界的な数学雑誌に紹介されています。
それが日本初の女子学生としての牧田ラクの唯一の業績でした。

晩年、ラクはこう語っています。
「私が主人の犠牲になったといいますが、とんでもございません。私は主人と共に生きようと決心し、自ら選んだ喜びの道として歩んで来たまでのことなのです」。