アメリカでは毎年12月になると、貧しい人々に匿名で20ドル札を配る男性が現れ、いつしか「シークレットサンタ」と呼ばれるようになりました。
いったい誰なのか、それが判明したのは2006年11月のこと。
がんで余命わずかと宣告されたラリー・スチュワートさんが、実は自分だと告白したのです。
若い頃、仕事に失敗して無一文になったラリーは空腹に耐えかねて無銭飲食。お金を落とした振りをすると、店員が20ドル札が落ちていたと手渡してくれたのです。
それで支払いを済ませたものの、ラリーは20ドルが店員の善意であったことに気がつきます。
その後のラリーの人生は山あり谷あり、辛い谷底もありましたが、支えとなったのは20ドルの善意の記憶でした。
そして、ある年の12月、ふとしたきっかけで20ドルのプレゼントを始めると、不思議なことにラリーの人生は上り坂に転じ、実業家として成功。
家族の応援も受けて、シークレットサンタの活動は27年間も続けられたのです。
思いやりの心が広がることを願って告白したラリーさんは、大きな反響の中、翌年の1月に58歳で亡くなりました。
生前、彼が設立したシークレットサンタ協会の会員資格は、少なくとも1回、他人へ親切な行いをすること。
今も世界中から申し込みが絶えないといわれます。