ちょうどこの時季、北海道の広大なジャガイモ畑は美しい花の季節を迎えます。
かつてこの花を愛したことで知られるのがマリー・アントワネットですが、実は庶民にジャガイモを食べさせるための王妃のキャンペーンであったといわれます。
当時のフランスは飢饉が相次ぎ食糧不足に苦しんでいたにもかかわらず、庶民はジャガイモを「気味が悪い」と食べようとしなかったのです。
しかし、ジャガイモの食糧としての優秀さを知る薬剤師パルマンティエの進言を受け、ルイ16世と妻のマリー・アントワネットはジャガイモの普及に乗り出します。
華やかな宮廷のサロンで、ルイ16世はジャガイモの花をボタンホールに飾り、王妃は髪飾りにして、たちまち貴族の間に観賞用としてジャガイモの栽培を大流行させます。
さらにジャガイモを王立の菜園に植え厳重な警備をつけて「王の食べ物を盗んではならない」とお触れを出すと、夜は見張りを引き揚げさせたのです。
好奇心に駆られた人々にジャガイモを盗ませるためでした。
この作戦は大成功でジャガイモは庶民に普及したといわれます。
国民を飢餓から救おうとした王と王妃。
フランス革命に命を奪われても、二人の思いはジャガイモの花が今に語り継いでいます。