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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/22「オシム氏の祖国愛」

熱戦続くサッカーワールドカップ。
日本は5大会連続の出場ですが、今大会で初出場を果たした国があります。

ボスニア・ヘルツェゴビナ。
1992年に旧ユーゴから独立したものの、民族対立から内乱が起きて20万人もの犠牲者を出しました。
現在のボスニアにはイスラム系、セルビア系、クロアチア系の3民族がいますが、その民族間の融和は進んでおらず、ボスニアのサッカー協会には3民族それぞれの会長が存在するという異常事態。
このことを問題視した国際サッカー連盟は、2011年にボスニアの加盟を取り消す処分を下したのです。

「このままではボスニアからサッカーが失われてしまう」
と、祖国のために立ち上がった男がいます。
それは、かつて日本代表の監督を務めたイビツァ・オシムさん。
彼の願いは、ボスニアがワールドカップに出ることで一つの国の3つの民族が融和すること。
脳梗塞の後遺症が残る不自由な体でボスニアに駆けつけ、3民族それぞれの協会や政治家を説得して回ったのです。

彼の熱意は人々の心を動かし、ボスニアのサッカー協会は一元化され、3民族混成の代表チームが実現。
連盟に再び復帰したボスニアが去年のヨーロッパ予選でブラジル大会出場を決めた試合会場のVIP席には、72歳になるオシムさんの姿がありました。
ボスニアが勝利した瞬間、彼はハンカチで目頭を押さえていたそうです。