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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/8「魔法の鉄橋」

佐賀と瀬高を結ぶ国鉄佐賀線が開通したのは昭和10年。
この鉄道が筑後川の河口を渡るために造られた鉄橋が、「昇って開く」と書く昇開橋(しょうかいきょう)です。
有明海に注ぐ筑後川には大型の船が行き来するので、航路を妨げずに列車を渡らせる特殊な橋が必要でした。
橋の設計を担当したのは鉄道省の技官・坂本種芳(さかもとたねよし)。
彼のアイデアは、橋の中央部24mの橋桁を左右のタワーに沿って線路ごと垂直に持ち上げて船を通し、列車が来たらその橋桁を元の位置に下ろして通すという仕組みでした。

完成した昇開橋を見て地元の人々はびっくり。
レールで繋がっている筈の橋桁がぐんぐん空高く上がっていく様は、魔法でも見たような驚きだったのです。
2年後のパリ万博では、日本の科学技術を代表する作品として、この橋の模型を出品しています。

ところで、橋の設計者・坂本種芳には、鉄道省の技官の他にもう一つの顔がありました。それは手品や奇術をするマジシャンとしての顔。
アマチュアながらマジックで世界的な賞「スフィンクス賞」を受賞するほどの第一人者でした。
そう。彼が設計した昇開橋は、見る人々をあっと驚かすマジシャンの発想で思いついたものなのです。

佐賀線は後に廃線となりましたが、昇開橋は壊されることなく重要文化財となって、種も仕掛けもある坂本マジックを現在も披露しています。