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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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6/1「ドイツさん」

『第九』・・・ベートーベンの交響曲第九番が日本で初めて演奏されたのは徳島県鳴門市です。
演奏したのは、なんとこの地に抑留されていたドイツ人捕虜たちでした。

大正時代、第一次世界大戦で日本は中国の青島に出兵してドイツ軍と戦い、約4700人のドイツ兵を捕虜として日本に護送。
その捕虜の内の約1000人が鳴門市に収容されていたのです。

ところがこの収容所では所長の方針で人権をとても尊重し、捕虜たちの自治的な収容所運営を認めていたので、彼らは自由で快適な暮らしをすることができました。
町の中へ外出もできるほどです。
地元住民も町で彼らに出会うと親しみを込めて「ドイツさん」と呼び、友だちづきあいする風潮が広がっていきました。

こうしてドイツ兵捕虜たちはスポーツや音楽、演劇などの文化活動をしたり、地域住民たちに向けて音楽教室を開いたり、パンやハム・ソーセージの作り方を教えるなどして交流を深めていきました。
そんな中、大正7年6月1日に本邦初公開されたのが、収容所内で結成された楽団と合唱団によるベートーベンの『第九』だったのです。

鳴門市では、きょう6月1日を「第九の日」と定め、毎年6月の第一日曜日に『第九』の演奏回を開催。
ドイツ人捕虜たちと町との友情の歴史を語り継いでいます。