今年も鯉のぼりの季節を迎えていますが、昨年、季節外れの6月に鯉のぼりを掲げたところがありました。
宮城県石巻市の飯野川(いいのかわ)第一小学校です。
実はこの小学校は、東日本大震災の津波で全校児童108名の7割近くが犠牲になった大川小学校の近くにあり、被害を免れた大川小学校の児童が校舎を間借りして通っていたのです。
そんな子供達を見守っていた、飯野川第一小学校の日野峻(ひの・たかし)教頭の心に浮かんだのが、子供達の健やかな成長を願って掲げられる鯉のぼりでした。
「子供達に元気を取り戻してほしい。亡くなった子供たちにも捧げたい」
大川小学校の児童108名分と、幸いにも被害がなかった飯野川第一小学校の児童159名、全員分の鯉のぼりを揚げたいという日野教頭の思いは、避難所のボランティアなど多くの人々を動かしました。
さらに、ツィッターなどで呼び掛けもおこなわれて、なんと全国からおよそ2,000匹もの鯉のぼりが集まったのです。
そして震災から3ヵ月目にあたる6月11日、飯野川第一小学校では「こいのぼりまつり」が開かれました。
校庭には自衛隊の協力で300匹の鯉のぼりが、また、近くの北上川(きたかみがわ)にもロープが渡されて、たくさんの鯉のぼりが掲げられました。
子供達を思う温かな心が込められた鯉のぼりは、思い出の空を泳ぎ、いつまでも子供達を励まし続けることでしょう。