自然が織りなす神秘に、古今東西、人々は幾度となく魅了されてきました。
「The Snowflake man」と呼ばれたウィルソン・ベントレーもその一人。
雪の結晶の美しさに心を奪われ、その写真撮影に生涯を捧げました。
今から150年余り前の1865年、彼はアメリカ・バーモント州の豪雪地帯の農家に生まれました。少年時代、顕微鏡で雪の結晶を観察した時です。
ベントレーは後に語っています。
「奇跡のような美しさでした。この美しさが人の目に触れないことは残念だと思った」と。
その価値を認める人の少ない時代、両親は当時大変高価であった顕微鏡付きのカメラを贈り応援したのです。
瞬く間に溶ける雪の結晶を写真に納めるのは容易ではありませんでしたが、厳寒の中、懸命の努力と工夫を重ね、20歳の時ついに成功します。
以来、農業の傍ら、ひたすら撮り続けた写真は5381枚に上り「雪の結晶に同じものは存在しない」ことを発見しました。
そしてアメリカ気象学会の援助により写真集が出版。ベントレーはその年、66歳で生涯の幕を閉じたのでした。
ベントレーの写真集は世界の科学者に多大な影響を与えました。
一度味わった感動は一生消えない。いつまでも人の心に残るのだ。
ベントレーの人生が、そう語りかけてくるようです。