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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年1月19日「登山家の遠足」

いま中高年女性の間で1000m級2000m級の山に登山する人が増えていますが、そんな女性クライマーに大きな影響を与えたのが、登山家の田部井淳子さんです。

昭和50年、世界最高峰のエベレストに女性として世界初の登頂に成功。
その後はモンブラン、キリマンジャロ、マッキンリーなどを次々と制覇し、平成4年にはコーカサス山脈のエルブルスの登頂をもって、女性で世界初の七大陸最高峰登頂者となったのです。
このとき田部井さんは53歳。その後62歳まで世界各地の7000m級の山を登り続けました。

さらに77歳の時には、東日本大震災の被災者支援のために東北の高校生たちと富士山に登山。
これが最期の登山となり、その年の平成28年、田部井さんは癌で生涯の幕を閉じました。

亡くなる2年前の春、彼女の姿が福岡県八女市の山里にありました。
この日、彼女は八女の広々とした茶畑や農村のあぜ道、竹林の森などを巡る遠足を楽しんでいたのです。

世界的な登山家に「遠足」はいまひとつイメージが湧きません。
そう言われると、田部井さんはにこやかに こう答えました。

「登山はひたすら頂点をめざして歩くけど、遠足は自然の風景を楽しむために歩く。
 目的は違いますが、自然の中を歩いていくと新鮮な驚きや発見があるという楽しさは同じ。
 私にとってはエベレストが山なら日本の山里も山、森も山ということです。」