戦国武将の肖像画といえば、多くが鎧兜姿の勇ましいものですが、福岡藩初代藩主 黒田長政は、膝元に十数冊の本が置かれたものが伝えられています。
長政は関ヶ原の戦いで東軍を勝利に導き、徳川家康から筑前52万石を拝領して大大名へと躍進しました。
その2年後に生まれたのが嫡男の忠之でしたが、大藩の藩主となり息子を持つ父となった長政は、勇猛果敢な武将から、読書家で教育熱心な父親という新たな姿を見せています。
長政の訓の中に読書に関するものがあり、儒学の四つの基本の書「四書」、中国の七つの兵法書「七書」、家族を結ぶ孝の精神を説いた「孝経」を声を出して読み、国の政治が正しく行われるよう学問を用いることが第一と説く一方で、多くの書を読み、知ったかぶりをするようでは「学問も邪魔になり候」と釘を刺しています。
幼い息子、忠之の教育係に送った手紙には、忠之にまずは「論語」と「和漢朗詠集」を読ませ、また兵法書の「六韜」より儒学の書「孟子」を読むことを優先すべきと命じるなど、徳川政権下で大藩の藩主を務めるために必要なものを見極め、息子に学ばせようとする親心が込められています。
昨日から読書週間が始まっていますが、子供に読ませたい、あなたの一冊は何ですか?