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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2017年10月21日「リンカーンのツケ」

アメリカ合衆国 第16代大統領エイブラハム・リンカーン。
少年時代は家が貧しかったため、学校教育をほとんど受けていません。
しかし寝食を惜しんで独学して弁護士となり、28歳でイリノイ州スプリングフィールドに法律事務所を開業します。
とはいっても、この町にやって来たときは寝る所もなく一文無しの状態。
それでも生活に必要なものを揃えようと雑貨店に入りました。

彼が選んだ雑貨一式を見て、年老いた店主は「ざっと17ドルだね」と告げました。でもリンカーンにはそれを支払う余裕がありません。
そこで彼はこう言いました。
「17ドルは安いとは思いますが、あいにくお金が足りません。僕はこの町で法律事務所を開きます。それが成功するまでツケにしてもらえれば助かります。でも失敗したら永遠に払えないことになります」
店主はあっけにとられましたが、青年の悪びれない率直な態度に好感を持ち、こう答えました。
「お客さん、店の2階に小さな物置部屋があるのだが、わしといっしょに暮らすのはいやかね?」
その言葉を聞くや、リンカーンは2階へ駆け上がり、それから顔を輝かせて戻ってきて、こう言ったのです。
「やっと引越し先が決まりました」

貧乏な青年リンカーンが大統領にまで上りつめた裏には、生来の話の巧みさ、そして、なぜか人を引きつけ信頼感を与える魅力があったのです。