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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2017年10月14日「片足無料」

「足の袋」と書いて足袋。
日本の伝統的な履物ですが、普段は着物を着ない現代の私たちにとって足袋は馴染みのないものになってしまいました。

足袋が一番売れたのは昭和10年。
2億5600万足が販売されたといいますから、すべての国民一人一人が2足の足袋を買っていたという計算になります。

そんな足袋の礎を築いたのが、大阪・堺の商人・辻本福松です。
明治の半ばまで足袋は職人が手縫いで作っていたため、1日に一人で3足作るのがやっと。値段も高く、庶民はおいそれと買うことができませんでした。
そこで辻本は、足袋を大量生産できれば安く提供することができると考え、苦労の末に足袋専用のミシンを発明したのです。

ミシンは爆発的に売れて、足袋はいっきに大量生産されるようになり、それを機に辻本自身も足袋メーカーを興すのですが、売り方も発明家らしい奇想天外なもの。
なんと左右で一足の足袋の片方だけを町中の家に投げ込んだのです。
片方を無料で贈ることで、残りの片方を買いに行けば客は半分の値段で足袋をそろえることができるというわけです。

この戦略が大当たり。
昭和10年に足袋が2億5600万足売れましたが、その4割が辻本の会社が製造したものでした。
そして現在も足袋を作り続け、全国に出荷しています。