6月とともに季節を終える蛍。
ところが、これからシーズンを迎えるのが長野の志賀高原・石の湯のゲンジボタルです。
標高約1600mと日本一高い場所に生息地があり、5月から、なんと時には10月まで、日本一シーズンが長い石の湯のゲンジボタルは国の天然記念物に指定されていますが、この蛍を見出し大切に育んできたのが、元高校教諭の三石暉弥さんです。
37年前の昭和53年に長野西高校に教諭として赴任した三石さんは、多くの生徒が蛍を見たことがないことに驚き、生徒達と蛍の研究や保護に取り組むのですが、そこで石の湯のゲンジボタルに出会ったのです。
三石さんは教諭を退職後も長野ホタルの会、会長となって研究を続け、蛍の生息地の上限とされる標高をはるかに上回る石の湯が、温泉がわいて水温が適度に保たれること、蛍が10月になっても舞うことなど、他の生息地にない独自の自然環境や生態を次々に発見。
こうした努力が実って、平成20年に国の天然記念物に指定されたのでした。
絶滅の危機すらあったという石の湯のゲンジボタルを、生徒やホタルの会の仲間、地域の人々とともに復活させた三石さん。
「子供達に自然の素晴らしさを伝えたい」と、83歳の今も、蛍の保護に意欲的に取り組んでいます。